第16話
「それはよいが……そう致さばそなた、私をそなたの側に仕えさせてくれるか?」
「そこの処よ。如何してそなたを、私の側に置くのだ?」
「……それは、母君様の仰せゆえ致し方ないのだ」
「母君様?……ああ、かのお妃様か?」
今上帝は帳を丁寧に下ろすと、単衣を正して
「かの?かのお方かどうかは知らぬが、母君様のお言葉は絶大なのだ。なんと言うても大神様の、一番のお気に入りであるからな。それはそれは大きな力を要し、我が鸞一族の頂点におられるお方なのだ」
「ほう?さほどのお方であったか?」
今上帝は寝所の端に置かれた、畳に腰を落として聞いた。
普段は仕える女官が、座したりしているのだろう。
「そうなのだ。そして神でもあるからな、母君様のお言付けは絶対なのだ」
「ほう?絶対?……それは真に絶対なのか?違えれば如何様な事となるのだ?」
まだまだ幼い雛瑞獣は気づいていないが、今上帝の笑顔は決して親しみを溢れさせたものではなく、どちらかと言えばよからぬ事を考える、悪戯者の浮かべる笑顔と言っていい。その様な事とはつゆとは知らぬ雛瑞獣は
「はて?如何様な目に遭わされるであろうか?」
と、やはり間の抜けた事を言う。
それがまたまた、今上帝のツボを刺激する。
「……しかしながら、かの大神様の覚えめでたく、ご誕生の
余程怖いのだろう、先程からの顔の赤みが消えて、それは惹かれる程に白い肌が現れた。
この宮中の女達は、
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