“別次元”

はっ!意識が戻った。横にはサンが居た。


「ようこそ!別次元へ!」


サンはさっきの光に負けないくらいの眩しい笑顔で言った。辺りを見回すと、サンと同じようなヒト型の生物がたくさんいた。僕はまて、その光景に唖然としていた。


「彼らも別の次元に行ってたんだよ。きみたちが住んでるいるのは、その数ある内の1つだよ。ここは、次元ワープセンターと言って、自分の行きたい次元に行くことができる所なんだ。」


「………」


自分の見ている光景に驚きすぎて、返事もできない。ものすごい数のドアが並んでいて、次々にヤツらはドアを開けて入っていく。


「ここの次元ワープセンターは特に規模がでかい所だから、設備も充実しているんだ。行ける次元数も多いんだよ。きみたちの住んでる次元に行くことができるのはここのワープセンターだけなんだ。」


「“ここの”ってことは、他の場所にもあるの?」


「うん。あと数十ヶ所かなぁ。」


す、すうじゅっかしょ?そ、そんなに要る?疑問だらけで、上手く頭が回らなかった。


「じゃあ、手続きを済ませないといけないから、僕に着いて来て!」


そう言うと、サンはスタスタと歩き始めた。僕も頭の中を整理しながらサンの後を追った。


僕とサンは、空港の入国手続きの場所のような所で手続きを終え、次元ワープセンターの外に出た。サンと同じであろう種族の生物たちがいっぱいいた。僕たちと同じように彼らも生活していた。僕は何度もその光景を疑ったが、現実だった。そして、酸素はあるらしい。なぜって?それは、息が苦しくないからだ。


「お腹空いたでしょ?僕のお気に入りのお店があるんだ!案内するよ!!」


サンは言った。


「えっ…あっあぁ…ううん。」


自分の見ている光景に夢中で、返事が上手くできなかった。情報量が多くて、頭がパンクしそうだった。


店に向かう途中、僕はあらゆる所に目をやった。彼らが暮らしている建物はとても、風情があった。高さが全て等しく、まるで建物が整列しているみたいだった。また、車のような物も走っていた。他にも、ランニングをしている者もいれば、子供と思われる者たちは、サッカーに似た遊びをしていた。本当に僕たちの生活によく似ていた。


「ここだよ!“バラジーのクッキングタイムって言うんだ!」


サンは店のドアを開けた。「カラン、コロン、カラン」とドアのベルが鳴った。


「いらっしゃい」


店の奥から低い声が聞こえてきた。

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