君は、だれ?

数十分が経った。僕は目の前の光景に唖然としていた。その人間ではない何かは、自分の正体となぜここに来たのか、これからどうするのかを僕に丁寧に話していたようだが、全く頭に入らなかった。だって、目の前に未確認生物がいるんだもん。夢だと思って何度も自分の頬を叩いたが、覚めなかった。現実なんだ。自分でも信じられなかった。僕はもう一度、彼に話をするように頼んだ。


「おいらの名前は、サン。おいらはね、この地球の持ち主なんだよ。君たちとは別の次元に住んでいるんだ。」


と、意味不明なことを話された。「地球の持ち主」?「別の次元に住んでいる」?さっぱり分からない。


「それでね、今君たちの住んでる地球が危ないんだ。もちろん君たちもね。だから君に来てもらいたいんだ。」


まだ、話を続けている。もうお手上げだ。


「僕が行く?いったいどこへ?」


「別の次元にある僕のお家だよ。」


簡単に言ってるけど、かなりヤバイことだよね?別の次元?やっぱりこれは夢か?だとしたら、かなりリアルだ。頬を叩いても覚めないとは。でも、もし夢なら、行ってみようかな。内心、未確認生物の家には少し興味があった。


「そこへはどうやって行くの?その"別の次元"には。」


「おいらの乗ってきた次元ワープマシンでだよ。」


「それは、今、どこにあるの?」


「この家の屋根の上さ!」


屋根の上って、家が潰れたらどうするんだよ。コイツ常識無いのかな。まぁ、有ったら他人の部屋に勝手に入ってこないか。僕はおじいちゃんに貰った割りと新しいリュックにライトやカメラ、筆箱、ノート、それからお菓子を少し入れた。別の次元には何を持っていけば良いのか分からなかったから、とりあえず目に入ったものをカバンにいれることにした。


「よし!行こう!」


「じゃあ、屋根の上へ!」


僕はお母さんを起こさないようにゆっくりとドアを開け、音を立てずに階段を降りた。あれ?屋根の上にマシンがあるのに、なんで下に降りるのかな?サンは何も言わずに降りていく。黙ってついていくと玄関に到着した。


「じゃあ、行くよ!向こうではおいらのいうことを聞いてね。」


「???。行くって、ここ玄関だよ?」


「実は、屋根の上のマシンは嘘なんだ。きみ子供だから、そういうのに憧れてるんじゃないかな~って思ってね。そういう設定にしてあげたんだ。」


「子供扱いしやがって。僕は立派な中学二年だぞ!」


「ごめん、ごめん。さあ、行くよ。この玄関の扉を別次元に繋げてもらってる。」


「繋げてもらってるって、一体誰に?」


「次元ワープセンターだよ。まぁ、行ってみたらわかるよ。」


ドアを開けると、とてつもない強い光に襲われた。眩しさで何も見えなかった。サンは光に圧倒されている僕の手を引っ張って、別次元へと導いた。




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