第10話 戦闘(告白)開始
哲也はフィールドの地図を前に説明を受ける。
「今回のフィールドは中央に障害物が多い。左右を抜ける感じとなる。作戦としては両方に戦力を分けるか。片方に集中させ、フラッグは最低限の守備で相手の足止めをしている間に物量で押し切るかだ」
リーダーの説明に哲也は尋ねる。
「どっちが良いんですか?」
「どっちもどっちだ。ハマれば、一瞬で終るし、逆にこちらがやられる。膠着した場合、今度は中央をどうにかしないといけなくなる。この中央をどうするかも大きな問題だな」
「相手がこの中央を突破してきたら?」
「開始のダッシュでもこれだけ込み入っていると時間が掛かるけど、こちらが中央を完全に無視すると賭けたら、怖いな」
「こんな狭いフィールドでも難しいんですね」
「フィールドに適した人数でやるのがサバゲでもあるからな」
哲也はゲームとしてのサバゲの奥深さを感じ取った。
そんな哲也の様子を見ながら、チームの仲間はニヤニヤとしている。
そして、小声で話し合う。
「さて・・・俺としてはあっちの嬢ちゃんの味方がしたいけどね」
「やっぱりお前もそう思う?」
「だって、健気すぎるだろ?こっちの坊主は鈍感過ぎるし」
「そうだよなぁ」
「だけど、手抜きをするのも違うしな」
「そうだよなぁ。難しい問題だ」
「だけど、坊主からしたら、負けた方が遥かに好条件ってなぁ」
仲間達は何だかやるせない気持ちを抱えて、ゲーム開始を待った。
ゲーム開始のブザーが鳴らされる。
それを聞いた瞬間に全員がダッシュをする。
サバゲにおいて開始ダッシュは基本中の基本だ。
なるべく良いポジションを確保して、相手と対峙する。
もしくは相手の出鼻を挫く程に前進して、先手を取るだ。
哲也はリーダーの後を追う。
哲也の腕前では勝手に走っても出会い頭戦で勝てる見込みがないからだ。
リーダーは冷静にフィールドの右側中央手前に陣取り、哲也を後方に置いて、相手を待ち構える。だが、相手の姿はない。
「冷静だな。一気に駆け込んで来ないか」
今回の作戦は左右に二人づつ分け、中央を足止めのために1人を残す事にした。
戦力が分散される為、全滅を恐れて、一気に突破する事が出来なかった。
だが、姿が見えないと言う事は、敵はどこかに戦力を集中させた恐れがある。
こうなると判断力が大事になる。
目前に相手は居ないとして、敵フラッグに向かうか否かだ。
リーダーの後ろにはほぼ初心者の哲也。
支援として、脆弱そのもの。
だが、少しでも遅れれば、敵に突破される。
「哲也。一気にフラッグアタックをする。一気に駆け抜けるから一緒に走って来い」
リーダーは哲也にそう告げると駆け出した。
その時だった。
パパパパ
銃声がして、リーダーの身体にBB弾が数発、当たる。
「うわっ!ゲットぉおおおお!」
驚いたリーダーは慌てて、ヒットコールを叫ぶ。
哲也は駆け出したばかりだったが、慌てて、後戻りして、遮蔽物に飛び込む。
「よっしゃぁああああ!敵リーダーを討ち取った!」
叫んだのは相手チームのリーダーであった。
「摩耶!詩織!リーダーの近くにあんたらの目標も居るはず!このまま、戦線を突破するよ」
「おおお!」「はいぃい」
どうやらそこには摩耶と詩織も居るみたいだった。
最低でも戦力3人。たった一人残された哲也は絶望した。
戻って、フラッグの守備に・・・。
そう思って、下がろうとした時、遮蔽物にBB弾が当たる。
どうやらこちらが見えているようだった。
狙われている。
哲也はドキドキしながら銃を構え直す。
ガンコイ 三八式物書機 @Mpochi
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