第339話 第十五階層『太古文明遺跡』

 それらは一見して大きなさそりのような姿をしていた。

 だが、金属製の甲殻は真っ当な生物のそれではなく、無機質な瞳の水晶体は比喩でなく赤い光を灯していた。そんな怪物を見た風来の才媛は場違いなはしゃぎようを見せていた。

「機甲種か! 随分と珍しい奴が出てくるじゃないか! これは元から底なしの洞窟に居た奴かい、クレストフ?」

「そういえば太古の遺跡跡でいまだ稼働していた奴らがいたかもな。しかし、こいつらも魔窟の影響を受けて性能を増しているぞ! 並みの機甲種じゃない!」


 魔窟第十五階層『太古文明遺跡』。

 機械技術の発展が最高潮にあった太古の時代、動物を模して作られた自律型の拠点防衛兵器が今なお稼働を続けている。機械技術の廃れた現在ではほぼ再現不可能と言われる人工物。現代では機甲種として、希少な種族の一つとして認められている。

 太古の時代では魔導との関りなどない存在であったろうが、今では魔窟を漂う幻想種に憑依されて機械魔獣と化していた。元の戦闘能力からして高く厄介な相手だったものが、魔導の力を得てより強度と攻撃力を増している。それでも――。


「真正面から突っ込んでくるだけなら、戦略的に攻めてくる複腕多頭の魔像アスラゴーレムほどの怖さはないよね!!」

 どぅっ!! と翠色の闘気が地を走り抜け、蠍型の機甲種を跳ね飛ばしてばらばらに分解していく。その隣を金色の闘気が暴風の如く駆け抜けて、これもまた機甲種をものともせずに圧壊させていった。気持ちのいい戦いぶりだ。

 純粋な正面戦闘において、一流騎士のゴルディアとレリィの二人を止めるだけの力は機甲種になかった。その上、俺と風来の才媛が攻勢術式と防衛術式を織り交ぜて援護し、討ち漏らしはメグが戦棍で確実に叩き潰して回っていた。

「うぅ~ん、私の出番ないわぁこれ。休んでいていいのかしら?」

「私も機甲種とは相性悪いから、任せたわ」

「ああ……勿体ないなぁ……希少な機甲種が次々壊されていく……」

 メルヴィとミラは既に観戦を決め込んでおり、ムンディ教授はいつも通りの平常運転だった。


 出現した機甲種をあらかた倒し尽くすと、太古の遺跡に静けさが戻った。

「結構な量の希少金属レアメタルが素材として手に入ったな。魔核結晶は小さいものしかなかったが、金属の方は売ればかなりの金額になる」

 機甲種という特徴もあって魔獣としての性質は薄いのか、得られた魔核結晶は澄んだ青緑色で上質なものの、指の先に乗る程度の大きさしかない。代わりに大量の金属素材が後に残されていた。幾らかは売らずに取っておいて、装備品の基本素材に使用してもいいくらい高品質の希少金属だ。

「この旅が終わったら、メグ今回の稼ぎで悠々自適の隠遁生活を送るのです……。あ、でも都会の甘味は捨てがたいので、都市郊外に一軒家持つのもいいのですぅ……」

 十五階層ではメグもそれなりの数、機甲種を倒している。レリィやゴルディアも倒した全ての数を利益とするわけではなく、同行者全員にある程度は分配されるので、この場にいるだけでもかなりの稼ぎだ。メグが言っていることもあながち夢物語ではない。慎ましやかな生活を送るなら十分に食っていけるだけの財を得られているだろう。

 ムンディ教授も戦闘に積極参加はしていないが、機甲種の残骸から得られた希少金属を送還術で保管庫に送るなどの作業は手伝ってくれるので、相応の報酬が分けられている。もっとも、ムンディ教授の場合は「なんとか傷を少なく機甲種を確保できない?」などと無茶な要求もしてくれるので、そこは現物支給で報酬とさせてもらっていた。


「そろそろのはずだな……」

 太古の遺跡がここにあるということは、送還の門が見つかってもいい深さにまで潜ってきたはず。

 魔窟化したことでどこまで当てになるかわからない予想だが、不確定要素をいくら考えてみても仕方がない。この辺りにあるはずと考えて探すしかない。

「思っていたよりも複雑で広大な洞窟だね。昔からこんなに広かったのかい?」

「いや、魔窟になってから拡大したようだな。風来は送還の門らしき反応を探査術式で探ってくれ」

「そうは言うけれど、都合よく送還の門の反応を捉えられるとは限らないよ? せめて、送還の門に特有の固有波動でもわかればいいんだがね」

 風来も探査の専門家とはいえ、目標物がどんな反応を返す性質かわかっていなければ探し出すのは難しい。

「魔導因子の不自然な途切れを探れば見つかるかもしれないね。送還の門は常に別の場所と時空を繋げているから、反響型の探査術式ならそこだけ空間に穴が開いたような反応になるはずだよ」

 ムンディ教授の助言に従い、俺達は風来の才媛による先導で探索を続けていく。


(――流れる風の行方を掴め――)

風洞探査ふうどうたんさ!!』

 風来の才媛から発せられた風の流れが、複雑な魔窟の構造を解き明かさんと全方位に向けて吹き抜けていく。

「……これは、やはり想定以上に広いね。というか、魔窟でここまでの規模のものは探査したことがないのだけど……? どういうことだろうね。この魔窟はクレストフを奥へ導こうとする一方で、ひどく冷酷に侵入者を排除しようとしている。まるで底が見えない複雑さだ」

 風来の額から汗が流れ始める。術式の負荷が相当にかかっているようだ。

「クレストフ君。これはどうも普通の探査方法では、目的地に辿り着けないようになっているのではないかい? 何か、送還の門へ辿り着くための鍵が必要なんじゃないかと僕は思うけど」


 鍵、か。もしこの魔窟が本当に俺に対してだけ特別な意図を持っているとしたら、この先には俺しか辿り着けない仕掛けがあるということだろうか。

 だが何だ? 他の者にはなくて、俺ならば手に入れられる鍵。特別な術式だろうか? 試してはいなかったが、俺の探査術式でないと見つけられない鍵があるとか。

 そう思って、『天の慧眼』『猫の暗視眼』『鷹の千里眼』『魚の広角眼』まで全ての術式を試してみたが、これといって効果はない。

「他に何があるって言うんだ……。……うん?」

 もう一度『天の慧眼』で辺りを見回していたときだった。相変わらず魔窟の壁は魔導因子の成分が濃厚で見透かせないが、目の端に映ったレリィの胸元にもぞもぞと動く存在を見つけた。

「レリィ、お前また地の精ノームを抱え込んでいるのか?」

「え? わっ!? ちょっと、変なところ覗かないでよ! ノーム? あー、小さいのが鎧の裏に隠れていたみたい」

 俺に背を向けてから胸元を探ったレリィは、鎧の隙間から小さなノームを引っ張り出した。

 そいつはバタバタと暴れてレリィの手から逃れると今度は俺の顔面に飛びついてくる。


「ぶっ……!!」

 顔面に飛びついてきたと思ったら、すぐさま蹴り足でもって地面に降り立ち、わたわたとしながら洞窟の奥へと逃げていった。

「おいこらっ!」

 そのまま姿をくらますかと思ったノームだったが、こちらを煽っているのか洞窟の曲がり角からちらちらと姿を見せて注意を引いてくる。

「なんだあいつは……まるで誘うように――」

 誘うように。

 そういえば、これまでもこの魔窟で遭遇した魔獣や何かが俺を導いてきたのではなかったか。だとすれば、ここに至り送還の門への道案内となるのは、もしかすると彼らなのかもしれない。


「……風来、広域探査は一旦中断だ。あの地の精ノームを追跡する。『追跡子トレーサー』を使ってくれ。それと魔窟の構造把握はこれから進む道だけでいい」

「考えがあるみたいだね。そういうことなら術式の負荷も少ない。動きながらでもできるだろうね」

 切り替えが早い風来の才媛は、特に疑問を挟むでもなく立ちあがり、無造作に小さなノーム目掛けて『追跡子トレーサー』の呪詛を撃ち込む。目に見えない何かを埋め込まれたことにノームも気が付いたのか、びくんっと体を竦ませてから辺りをきょろきょろと見回していた。

「よし、追跡開始だ」

 俺が一歩を踏み出すと同時に、追跡子を埋め込まれたノームも魔窟の奥へと移動し始めた。

 そうして道を進んでいるとそこかしこの穴凹からノームが顔を出す。進めば進むほど、確実にノームの数は増えていった。

「どうやらこれが正解の道らしいな」

 たぶん、この階層に着いた時からノーム達は道案内をするつもりだったのだろう。俺がノーム達に意識をやりさえすれば、鍵は自動的に開いたのだ。



 探索を始めてしばらく、地の精ノーム達の導きによって俺達は一つの深い縦穴を発見した。底の見えない不気味な穴だ。

「見覚えのある縦穴だわね」

「この穴で間違いないだろう」

 かつての底なしの洞窟を知る俺とミラは、この縦穴が秘境へと通じる道だと一目でわかった。

「この先に『宝石の丘ジュエルズヒルズ』への道に至る『送還の門』がある」

 俺の言葉に、その場にいる誰かがごくりと喉を鳴らした。

 今回の旅の目的は『宝石の丘ジュエルズヒルズ』に到達することではないが、伝説の秘境が間近に迫っている事実は誰にとっても興奮することだった。


(――あざなえる縄の如く、銀の梯子はしごとなれ――)

『銀鎖の長縄!』

 銀糸で編まれた長い縄が絡み合い、闇を湛える深き穴へと垂れ下がる。

「行くぞ」

 一言促せば率先してレリィとゴルディアが深い縦穴を下りていった。銀の縄に軽く手をそえるだけで、ほとんど落下と変わらない速度で穴の奥底へと消えていく。


「お二人ともせっかちなのですよー。せめて明かりくらい灯していかないと、死霊の類でも漂っていたら面倒なのです!」

 片手に聖火を宿した戦棍を持って、メグもまた深き穴へと下りていく。明るく見えた聖なる炎も穴の底まで至れば心細いほどに小さな光だ。

「それじゃあ僕も行こうかな」

「やーん、暗くてこわーい。クレスお兄さ~ん。一緒に下りて~」

「馬鹿なこと言ってないで早く下りなさい。こんな縄梯子、二人で一緒に下りられるわけないでしょ」

 物怖じすることなくムンディ教授が縄梯子を下りていき、メルヴィが俺に向けて片目をぱちりと閉じてから、その後を追った。ミラも特に気負うことなくメルヴィの後からゆっくり下りていく。


 最後に風来の才媛が大げさに準備運動をしながら底の見えない縦穴を覗く。

「いよいよ武勲詩としてうたわれし宝石の丘ジュエルズヒルズの道のりを、私もなぞって行けるわけだね。前回は参加できなかったから、今回の機会に恵まれて私はわくわくしているよ」

「浮かれるのは勝手だけどな。ここから先は地獄だぞ」

 風来の才媛は敢えて銀の縄には掴まらず、持ち前の術式で体を浮遊させながら縦穴を下りていった。

 全員が穴の底へと降り立ったところで、俺も素早く銀の縄を伝って下りていく。メグが掲げる炎を目印に、落下速度を調整しながら暗く深い穴の底へと滑り降りていった。



 縦穴を下りて進んだ先、洞窟の中に大きく開かれた空間があり、そこに岩壁をくりぬいて造った部屋が並ぶ。

 底なしの洞窟、下層部拠点。

 かつて宝石の丘ジュエルズヒルズを目指した者達が、送還の門を前にして英気を養った拠点である。

「やれやれですぅ。都合よく一休みできそうな場所があるじゃないですかぁ~」

「そう悠長に休んではいられそうにないけどな」

 呑気なメグの提案は残念ながら叶うことはなかった。


 拠点の奥から、透き通った結晶髑髏の餓骨兵三体が姿を現して、送還の門へ至る道に立ち塞がる。

 かつて錬金術士クレストフによって、送還の門を警護するために作り出された守護者達。公にはなっていないが、宝石の丘ジュエルズヒルズの存在が確認されてから数多の冒険者が後に続けと彼の秘境を目指したが、その多くが底なしの洞窟の半ばで力尽き、ここまでどうにか危難を避けて辿り着いた数少ない実力者も三体の餓骨兵を前にして命を落としていた。

 三体はそれぞれ緑柱石エメラルド黄玉トパーズ紅玉ルビーの結晶で体が構成されている。得物は緑柱石エメラルドの棍棒、黄玉トパーズの両手剣、紅玉ルビーの槍と三者三様だ。


「あうっ……。なんだか、妙な悪寒を感じるのです……。こいつら死霊系の魔獣なんですかねぇ。うぅぅ、浄化しないと、浄化……」

 記憶が曖昧ながら、一度は殺されかけた相手だ。本能的な恐怖がメグの体には染みついているのだろう。それでも戦う意思はいささかも萎えてはいない様子である。むしろやる気が充足している感じだ。

「レリィとゴルディアでそれぞれ一体ずつ、俺とメグで一体を相手取る。他は邪魔になるから手を出すなよ。近接戦になる。あまり長引かせたくもないから、最初から全力でやるぞ」

「短期決戦だね……。他の魔獣も特にいないみたいだし、出し惜しみはなしってことかな。前に戦った奴とは少し違うみたいだけど、また変な木の根っこと合体したりしないよね?」

「問題あるまい。例え化け物に姿を変じようとも、我が闘気でもって切り払うのみ」

「う~っ! やってやるです! 悪霊滅殺!!」


 各自が己の敵に向かい合うと、餓骨兵もまたそれに応じるように武器を構えた。向こうからは積極的に攻撃を仕掛けてくる気配はない。奴らの行動原理は送還の門の守護なのだろう。こんなところだけ魔獣化する前に俺が与えた命令を律儀に守っているようだった。


 敵が戦闘前の猶予を与えてくれるというなら、その時間は最大限に使わせてもらう。

(――置き換えろ――)

鮮血紅化せんけつこうか!!』

 紅玉ルビーの魔蔵結晶を強く握りしめて発動の意思を伝えると、皮膚表面に血液が滲み出すようにして、紅玉ルビーで構成された六角板結晶が全身を覆っていく。闘争本能が刺激され、血が熱くたぎるような全能感が体を満たしていった。

 両腕に紅玉ルビーの結晶が大きく成長していき、巨大な鉤爪を持った真っ赤な剛腕が生み出される。攻撃のための武器であると同時に、盾にもなりうる紅玉ルビーの腕は、切れ味よりも質量と硬度で敵の体を破壊することを前提に生み出されたものだ。

「粉々に叩き潰してやる」


 誰の合図を待つでもなく、俺が飛び出した瞬間にはレリィ、ゴルディア、メグが同時に飛び出し、三体の餓骨兵も動き出した。

 紅玉ルビーの餓骨兵が高く跳び上がり、赤い魔力光を帯びた槍で頭上から襲い掛かってくる。あの槍には恐らく『流血の呪詛』が込められているはず。他でもない俺が仕込んだのだ。あれを生身の体に受けるわけにはいかない。それゆえに『鮮血紅化』の術式を選んでいた。体を隙なく防護するこの術式ならば、流血の呪詛を恐れることもない。

 餓骨兵の落下速度が最大になる前に、俺もまた跳び上がって空中で迎撃した。巨大な赤い腕を振るって裏拳で槍の先端を強引に弾き、体を捻って回転の勢いのまま餓骨兵を剛腕による平手打ちで地に向けて叩きつける。


 すかさず戦棍を携えたメグが、餓骨兵の落下する地点に潜り込んだ。

(――世界座標、『聖者の蔵』より我が手元へ――)

『聖なる篝火をここに!』

 浄化の炎を宿した戦棍を両手で目一杯にぶん回し、落下してきた餓骨兵の頭部を打ち砕く。赤い閃光を発して、真っ赤な結晶が煌めきながら粉々に砕け散った。

 そこへ真上から急降下した俺が餓骨兵の腰部めがけて両拳を叩き込み、餓骨兵の体を分断する。

『……異界座標、煉獄より我は喚びこむ。あらゆる亡者を灰と化すもの。主の慈悲深き光の下で、魔に憑かれし、さまよえる魂に安息を……』

 頭部を失って、上半身だけでなお立ち上がろうとする餓骨兵に対して、メグによる追撃の呪詛が放たれる。

『煉獄浄火!!』

 俺が素早くその場を飛びのいた瞬間、餓骨兵の体が眩い炎に包まれた。餓骨兵の体を構成する紅玉ルビーに無数の罅が走り、爆ぜるようにして割れ砕け、赤い結晶の残骸は灰のような白い粉へと変じて燃え尽きた。



 俺とメグが紅玉ルビーの餓骨兵へ向かうと同時にレリィとゴルディアも闘気全開で飛び出していた。

 出し惜しみなしの全力といっても無駄な闘気の放出はなく、淡い翠色の光に包まれたレリィは風のように地を滑って緑柱石エメラルドの餓骨兵へと肉薄する。餓骨兵もまた退くことはなく正面から、緑柱石の棍棒で殴りかかっていく。互いの間合いに入るより前、地を蹴り瞬時に加速する餓骨兵。空中で棍棒を振りかぶり、身を捻りながら踊りかかってくる。

 常人ならば唐突な加速に対応しきれず頭をカチ割られているところ、レリィは冷静に餓骨兵の動きを目で捉えていた。餓骨兵の突撃、その準備動作よりも更に早く一歩を踏み込み、翠の閃光となって餓骨兵の胴を真鉄杖で打ち抜く。餓骨兵の肋骨、緑柱石エメラルドの結晶体が弾け飛ぶ。レリィは既に餓骨兵の後ろまで駆け抜けており、餓骨兵が振るった緑柱石の棍棒は空を切っていた。


 ここへ来てレリィは更なる成長を遂げていた。

 餓骨兵が体勢を立て直すより早くレリィの追撃が炸裂する。翠色の閃光が走り抜ければ、餓骨兵の肩が砕け、足が折れる。反射する一筋の光のように洞窟の壁を縦横無尽に駆け抜けるレリィ。緩急を付けた機動力で敵を翻弄する能力を持っていた緑柱石の餓骨兵に対して、レリィは完全に速度で圧倒していた。

 それはいっそ美しい光の芸術であるかのように、閃光が走る度、緑柱石の破片が宙に煌めいて飛散する。まだ、もっと速く、さらに速くと加速を続ける翠の閃光に削り取られ、緑柱石エメラルドの餓骨兵はついに跡形もなく粉砕されたのだった。



 ゴルディアと黄玉トパーズの餓骨兵との戦闘は、まともな戦いにすらならなかった。

 お互い両手剣を振りかぶっての正面衝突。その最初の一合で勝負は決まった。

 魔力を帯びた黄玉トパーズの結晶は騎士の一撃さえ受け止める硬度と強度を発揮するはずだった。しかし、超一流の騎士であるゴルディアの黄金の闘気は餓骨兵の強度を上回り、全力の一撃をもって真正面から餓骨兵の持つ黄玉の両手剣ごと本体を縦一文字に断ち割った。


 かくして、送還の門の守護者三体は打ち倒され、拳大の緑柱石エメラルド黄玉トパーズ紅玉ルビーの魔核結晶が残された。

 それらは勝利者を称えるように美しく光り輝いていた。

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