第324話 第十階層『餓骨湖』

「はぁ……はぁああ……」

 闘気を抑えて座り込みながら、レリィが封印の髪留めを着け直す。

「お前、髪留めなしでも闘気を抑え込めるようになったのか?」

「へ? 今、あたしそんなことしてた?」

「闘気が尽きたわけじゃないよな?」

「かなり疲れたけど、まだ力は残しているよ」

 確かに先ほど、髪留めを着ける前に闘気が抑え込まれていた。超高純度鉄の鎧と真鉄杖によって闘気制御が精密にできるようになった効果だろうか。


「わざわざ髪留めを付け外しする必要はなくなるかもな」

 八つに結い分けられた髪の一房を手に取って、封印の魔導回路が縫い込まれた髪留めを改めて観察する。だいぶ使い古され、擦り切れてしまっている。レリィが俺の専属騎士になってからというもの、この髪留めが激戦の余波にさらされることも多かった。魔導回路の機能を失うのも時間の問題とみられる。

「でも今更、髪留めなしで生活するのは……なんか嫌かも」

 髪留めを弄られるのが気になったのか、レリィは俺の手から自分の髪を取り上げると、少し俯いて名残惜しそうに髪留めを眺めている。

「お前が面倒に感じないなら髪を結い分けるのは勝手だが、その髪留めも使い続けるには限界だろ。立体交差で複雑に編みこまれているから魔導回路の完全再現は難しいが、似たような髪留めなら作ってやれるぞ。自分で闘気を制御できるようになった今なら、もっと別の加護を込めた装飾品にするのもいいかもしれないな」

 しかし、レリィにとっては親の形見でもある髪留めだ。愛着があるのは仕方ない。いくら見た目を似せても、違うものは違うのだから代わりにはならないか。そう思ったのだが、レリィの返答は意外と素直なものだった。

「まあ、親離れするにもそろそろいい頃かもね。クレス、君が作ってよ。新しい髪留め」

 頬を赤く染めて、恥ずかしそうに笑いながら自分の髪を手に掬ってみせるのだった。


「ふぅ~ん……。そうやって、お兄さん色に染めていくのねぇ~」

「くふぁ~っ! メグはもう、恥ずかしくて見てられないのです! なんですか!? なんですか、これは!?」

「お二人とも……なんだか大人ですね」

 傍で見ていたメルヴィ、メグ、ヨモサの三人娘が口々に好き勝手な感想を言い始める。ミラとムンディも、どこか生暖かい視線でこちらを見守っていた。


「……髪留めは、追々な。それよりここをすぐ離れよう。最悪、魔導人形が復活してくる可能性がある」

「ここの階層主は倒したのだから、すぐに復活する心配はないと思うのだけど?」

「あんたらしくもない油断だな、ミラ。先ほどの巨岩兵、魔核結晶を落としたか?」

「そういえば見当たりませんよ! あれだけの大物なのに!」

 俺の指摘にヨモサが真っ先に反応した。魔石拾いは自分の仕事と考えているところがあるのか、慌てて辺りを見回している。

「もしも巨岩兵が幻想種によって動かされていただけで、この階層の魔導人形を生み出す根源がまだ破壊されていないとしたらどうだ?」

「それは……ふむ。つまりクレストフ君はこう言いたいのかな? この階層の敵は、魔石を体内に宿した魔獣ではなく幻想種に操られた魔導人形で、その幻想種を召喚している根源を取り除かない限り、何度でもあの巨岩兵は復活すると」

 ムンディ教授が素早く俺の言いたいことを理解してくれる。

「まさにその通りだ。新たな幻想種を召喚して憑依させるにも、多少の時間はかかるだろうが……。おそらく、通常の階層主が復活するまでの期間より、よほど早く巨岩兵は再稼働を始めると俺は予想している」


 魔窟は幾つかの階層に別れていて、それぞれの階層には『階層主』という魔物が存在する。階層主は階層の決まった場所にいることもあれば、好き勝手に徘徊している場合もある。階層主を倒すと、その階層の魔獣達は一時的に攻撃性を弱めるが、一定の期間が経過すると階層主は復活してしまう。より下層を目指そうとするならば、うまく階層主との戦いを避けるか、あるいは階層主を倒してから復活する前に次の階層を踏破することが、効率的な攻略方法となるわけだ。その復活までの期間は明確に決まっているわけではないが、最短でも十日ほどは復活しないのが一般的である。

 しかし、この階層の『機能』そのものが階層主と同等のものであるとしたら。それが精霊機関のように時間経過で魔導因子を生み出し続けるようなものであればどうか。幻想種召喚に必要な魔導因子を貯めさえすれば、再び巨岩兵を操って動かすことができるようになるのだ。階層主を十日ほどで復活させうるような魔窟が、その為の準備期間に数日もかかるとは思えない。幻想種召喚の機能を果たすだけならば、一日あれば十分に魔導因子を蓄えられるだろう。


「そうだとしたら悠長にここでお喋りしている理由もないわ。さっさと次の階層へ進むわよ」

 ミラの号令で全員が大空洞を足早に去る。俺の見立てでは丸一日程度は復活に時間がかかるだろうと予測しているが、魔窟という不可思議な環境では何が起こるかわからない。あるいは数刻で巨岩兵が再稼働するなどという恐れもある。

「あー、でもそうなるとメグ達、今回はタダ働きな感じです~。あれだけ死にそうなくらいの危険を冒したのに、なんだか勿体ないですよー。どっかわかりやすいところに、幻想種召喚用の魔石が埋まっていたりしないですかね~?」

 ガンガン、とそこら辺の壁を叩いてみるメグだったが、当然そんなわかりやすいところに第九階層の心臓部があるわけもない。

「この階層の労働に関しては俺からの特別報酬ってことで、あとで色を付けておいてやる。だが、巨岩兵を倒したのはほとんど俺の攻撃によるものだからな? そのことは考慮しろよ」

「わかっているのです~! 言ってみただけなのです。はぁ~、やれやれです。どこまでいってもクレストフお兄様は守銭奴なのですよ~」

 こいつぶん殴ってやろうか。

 この減らず口はどこか、過去に俺と契約していたお調子者の精霊を彷彿とさせるのだった。


 そんなくだらないやり取りをしている間にも魔窟の様相は大きく変わってきていた。ひんやりとして妙に湿気を帯びた空気が奥の方から漂ってくる。次の階層へと移って魔窟の状態が変化しているのだろう。硬く、剥き出しな岩肌が続くばかりの広い洞窟。暗くて奥が見えにくいが、天井からつり下がった岩の柱があるばかりで他には何もない寂しい空間である。

「こんな何もない洞窟の奥で生きていける生き物いるのかな?」

「魔窟だからな。生態系も糞もなく魔獣共は湧いてくるぞ」 

 魔窟ダンジョンには無数の魔獣達が溢れかえっているが、彼らは飢えて死んだりすることがない。異界から魔力を吸収して自らの糧としているため、食事の必要性がそもそもないのである。この狂った異界空間の中では、何をするでもなく、ただ縄張りへの侵入者を襲う思考に囚われた魔獣共の無益な営みが永遠に続いているのだ。


「ふ~む。奥に進むほど湿度が上がってきているね。水場があるのかな?」

 ムンディ教授が環境計測用の魔導具を取り出して、気温や湿度、酸素濃度などを計測している。魔窟の環境というのは必ずしも人間が生存できる環境になっているとは限らない。魔窟の攻略に慣れた者は、魔獣よりも先にまず魔窟の環境に注意を払う。天然の罠ほど無慈悲で強大なものはないのだから。

「底なしの洞窟のときは地下に川が流れていたな」

「水浴びできないかな? 巨岩兵との戦いで土と砂にまみれちゃってるんだけど」

「あー! 賛成~!」

 こんな真っ暗で薄気味悪い環境でも相変わらず呑気なことを言っているレリィと、それに賛同するメルヴィ。ヨモサやメグも周囲を警戒して慎重に進んでいるなか、大声で話したり、全く緊張感がない二人である。


「水の流れる音が聞こえてくるわ。クレストフの坊やが言う通り、川が流れているのかしら」

 耳聡くミラが水の流れる音を聞き取る。俺にはまだ聞こえないが、ミラの魔導人形の体は五感の代わりに探査系の術式を数多く標準装備しているので、それによって知覚しているのかもしれない。

「水の音……。そうだとしたら、ここはもう第十階層に入っているのかもしれないな」

 階層が変われば新たな脅威が立ち塞がる。俺の呟きに恐ろし気な様子でヨモサが体を縮めていた。確か第十階層には大きな地底湖があるという話だった。

 辺りを見回せばいつの間にか所々に小さな水溜まりが散見される。少し大きな溜まりを覗いてみれば、そこは地下から水の湧き出す小さな泉となっていた。

 泉に浸るように幾本かの植物の根が伸びていて、先へ進むにつれて次第に根の数も増えていく。

 あちこちの岩壁の隙間からは滲みだした水がちょろちょろと流れて、小さな川を形成していた。


「待て」

 俺は洞窟のある地点を通過した時、既視感を覚えて立ち止まった。

「どうしたのクレス? こんな何もないところで」

「いや、この辺りの風景には見覚えがある」

 近くを流れる川はもっと勢いがあったように思うが、洞窟を支える石柱の位置や人工的に掘られた坑道の形にどこか懐かしいものを感じる。

 俺が立ち止まって周囲を見回していると、どこからともなく現れた毛むくじゃらの地の精ノーム達が、洞窟の一画にわらわらと集まってきた。

「あ! ノーム! しばらく見てなかったけど、ずっとあたし達の後ろを付いて来ていたのかな? ん? どうしたの?」

 レリィが毛鞠に手足が生えたような一匹の地の精ノームを両手で抱え上げて声をかける。地の精ノームはもぞもぞと身動ぎしてレリィの両手から逃れると、すぐにまた洞窟の一画、岩壁の前へと向き直った。


「この壁……まさか」

 一見して何の変哲もない岩壁。手を触れてみるとそこには岩の硬さが感じられず、抵抗もなく腕が突き抜けて岩の中へと吸い込まれてしまった。

「わわっ!? クレスさんが消えましたよ!?」

「あぁ~……あたし、こういうの前に見たことある気がするわ……」

「おやおや、こんなところに『幻惑の呪詛』が仕掛けられていたのかい? 地の精ノームが教えてくれるなんて、不思議なものだね」

 ヨモサは岩の中へと俺の全身が吸い込まれるのを見て慌てたが、レリィは過去に似たような仕掛けを見たこともあって落ち着いており、術士としての心得がある者達はそれが『幻惑の呪詛』によるものだとすぐに理解した。


 岩の中に入ってみれば、不自然なほど平坦に均された壁と地面が伸び、すぐ先には四角く切り取られた直方体の部屋が存在した。埃を被った簡易的な寝台が三つほど置かれていて、さらに奥にもう一つ別の部屋があった。

 奥の部屋にはごく一般的な錬金術の実験器材が並べられた机と、実験用の大きな机……いや施術用の簡素な寝台というのが正しいか、どれもこれも覚えのある物が部屋の中には残されていた。

「ここは……第二拠点。あの当時のまま、魔窟になっても残されていたっていうのか?」

 信じ難い光景を前にしてどうにか絞り出せた言葉は、過去の記憶を自分に問い質して再確認するような間の抜けた独り言だった。

「クレス? 勝手に一人で進んだら危ないでしょ。聞いてる?」

「あらーん? なーんか物思いに耽ってないかしら? お~い、クレスお兄さ~ん」

「…………」

「反応なしですか? クレストフお兄様、どうしてしまったのです? 稀に見るづらをしているのですよ」

 レリィの気遣いも、メルヴィの呼びかけも、メグの煽り言葉さえ、気に留める余裕がなかった。

 かつての『底なしの洞窟』で、この第二拠点を足掛かりに地下の採掘を進めていた日々を思い返しながら、俺はその濃密な記憶の奔流に押し流されるように絶句していたのだ。


 ここで俺とビーチェ、屑石精霊も合わせた二人と一匹で過ごした時間。当時こそ鉱山開発のことで頭がいっぱいだったが、思い返せばあの時ほど充実していて幸福な時間は他になかった。

 ──あの頃はとても楽しかった。

 そんな事実に今頃気が付いて、不意にぼろぼろっと目から涙の滴が落ちた。

「えっ!? なんで!? どうして泣くの!?」

「わわわ~! クレスお兄さんってば、辛いことでも思い出しちゃった? よしよ~し、メルヴィの胸で思いきり泣いてくれていいわ~」

「はぁ……仕方ないわね。これは少し休憩が必要かしら……」

 慌てふためくレリィと、ここぞとばかりに強引に胸を貸そうとするメルヴィ。何が起こっているのかわからず呆然としているメグとヨモサはムンディ教授に連れられて、メルヴィはミラに首根っこを掴まれながら部屋を出ていく。


「えっと……あたしにどうしろと……?」

 何故か残されたレリィは困惑しながらモジモジとしている。そんな様子を見ていれば涙はすぐに止まり、溢れ出した感情も収まった。少しばかり感傷的になってしまったが、一時的なものだ。涙とてわずかに数滴、零れたに過ぎない。目も赤くなってさえいない。ただ、無性に懐かしさを覚えただけなのだ。

「よ、よし! クレス! えっとね。辛かったらさ、あ、あたしが胸を貸すから思いきり泣いていいよ! うん、そうすればきっと気持ちもすっきりするから──」

「いらん。もう感情は自制した」

 それだけ言うと俺は奥の研究部屋から出ていく。

「は……はぁああっ!? なにそれ!? 意味わかんないよ!? 泣きたいときは思いきり泣けばいいのに! そんなことだから、急に弱気になったり泣き出したり不安定になるんじゃないの!!」

 何と言われようがもう心は落ち着いてしまった。この状態でレリィの胸を借りるとか、それこそ無理だ。


「あら、坊や。もういいのかしら?」

「初めから問題などない。少し感傷的になった程度で騒ぎ過ぎだ」

「そうは言ってもクレスさんがいきなり泣き出したら心配しますよ……」

「幻想種にでも憑依されたのかと思ったのです。メグがお祓いをしなければと準備していたのですが、無駄になってしまいましたか」

 本当に大丈夫か、としつこく確認してくるヨモサとメグを押し退けて俺は部屋の入口に向かう。

「ちょっとぉ~……。レリィお姉さんてば、私が慰め役を譲ってあげたのに何もなしってどういうことなのぉ~?」

「知らないから! あたしだって、わけがわからないよ!」

 ぎゃあぎゃあと騒ぐレリィとメルヴィの二人は無視して、幻惑の呪詛がかかっていた場所まで出てくると、そこで外の見張りをしていたムンディ教授が振り返る。丈の合わない白衣姿でちょこんと佇む少年の姿が、いつもながら違和感の塊である。


「もういいのかね、クレストフ君。ここのところ激しい戦いも続いている。心身ともに、休まねばもたないよ?」

「ここは別に休むために立ち寄ったわけではないので。かつて俺が拠点としていた場所と同じなのか、それを確かめたかっただけですよ」

 落ち着いた場で、一対一で面と向かって話すときには、少年の姿とはいえムンディ教授の老師らしい貫禄が感じられる。自然とこちらも敬意を表した口調になってしまうが、ミラ相手にそうならないのは一度共に死線をくぐっているからだろうか。どちらがいいとも言えないのが微妙なところだ。

「それで、結論は?」

「間違いなく、ここはかつて自分が利用した拠点。当時のままで残されていた……」

 決定的だったのは幻惑の呪詛と使用済みの器材。ここに残された実験器材は、傷一つに至るまで俺の記憶にある通り、紛うことなき俺の私物だった。もうかなり昔のことではあるが、何度も繰り返し使った器材のことなら細かい特徴まで覚えている。そして、入口にある幻惑の呪詛も──。


(──解き明かせ──)

『幻影解呪』

 手持ちの幻影水晶ファントムクォーツで、『自分が仕掛けた幻惑の呪詛』を解呪する術式を使用すると、部屋の入口を隠していた岩壁の幻影が消失する。

「これが明らかな証拠。俺が定めた方法で、正しく消失する呪詛。これは疑う余地なく俺自身で仕掛けた呪詛だということを証明している」

「なるほど。それはどうにも確からしい」

「なんとなくだが、次の敵が予想できた気がする」

「強敵かね?」

「今までになく」

 断言した俺にムンディ教授は渋い顔つきで答える。

「ならばなおのこと、ここは一度休憩を取った方がよさそうだ。拠点の入口には僕が改めて、空間系の隠匿呪術を仕掛けておくよ。部屋に戻って休むといい」

「俺は平気ですが?」

「他の皆が限界だよ」

 そういうことならば仕方ないだろう。次に戦うであろう敵を想定するなら、万全の状態で挑みたい。


 ムンディ教授の提案もあって俺達はこの拠点で休息を取ることにした。

 メルヴィが水浴びをしたがったが、未攻略の階層では危険すぎると判断して拠点の中で体を清めることにした。奥の部屋に召喚術で簡易的な風呂場を設ける。実験などの都合もあり奥の部屋には排水溝が作られているので、体の汚れを流した水を捨てるのも苦労はなかった。

 ただ一つ問題になったのは寝台が三つしかないことだった。追加で寝台を召喚しようにも、あまり広くはない部屋なので十分な空間がない。

 結局、メグとヨモサ、ミラとメルヴィ、俺とレリィがそれぞれ同じ寝台で寝て、ムンディは奥の部屋の施術台にクッションを敷いて眠った。

 皆、疲れていたのか横になると誰からともなく寝息を立てて熟睡した。レリィはかなり機嫌が悪い様子で、背中合わせの俺に対して何度か足を蹴ってきたが、彼女も疲れていたのか間もなく眠りについた。

 魔窟の中とは思えないほど静かで穏やかな休息の時間となった。




 久しぶりに夢を視た。

 寝入れば疲れ切って熟睡していた最近では珍しいことに、長く鮮明な夢だった。

 騒がしい精霊と、無口な少女が部屋の中で戯れている。小鬼ごっこなどという怪しげな遊びをしては、疲れ切った末に一人と一匹が絡み合いながら眠っている。

 精霊の透き通る水晶の翅は揃って畳まれ、少女の黒くぼさぼさな長い髪は寝台の上で扇状に広がっていた。そんな二人を呆れた表情で眺めながら、手元の帳簿や坑道の掘削図に書き込みをしている俺がいる。


 穏やかな空気、幸せな時間。二人と一匹が和むそんな光景を、青く揺らめく一対の眼が見守っていた。

 警備を命じられ拠点の入口を守りながら、落ち窪んだ眼窩に宿る青い炎は何を思ってその光景を見ていたのか。

 夢のような時間は長く続かず、地下洞窟には異変が起きる。


“敵を排除して、この場所を守らなければならない”


 それは彼にとって絶対の命令であり、唯一の望みでもあった。

 任務を完遂するためには身を削ることも厭わない。

 例え守るべき者達の姿がなくとも、この場だけは──。

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