第158話 登場人物説明(本編読後確認用)

『クレストフ・フォン・ベルヌウェレ』

 錬金術を専門とする準一級術士。二十歳前の若さでありながら自前の工房を持つ。

 普段から装飾過多な姿格好で、黒い外套を羽織り、両耳には丸い石の耳飾りイヤリングを垂らして、腕には銀と宝石の腕輪ブレスレット、首には丈夫そうな布地に小粒の宝石を縫い付けた首輪チョーカーを身に着けている。


 ウラル鉱山で保護した貴き石の精霊ジュエルスピリッツにより、手持ちの財産である金銀宝石を全て喰われてしまった。お詫びとして、貴き石の精霊の故郷・宝石の丘ジュエルズヒルズへ導くことを申し出た精霊と契約を交わす。

 現在は、宝石の丘へ向かう資金調達の為、精霊の力を借りて鉱山開発を進めている。


貴き石の精霊ジュエルスピリッツ=通称ジュエル』

 美しい結晶を司る精霊。一見して十歳前後の少女の容姿だが、翡翠色の肌に銀糸の髪、大粒ルビーの紅い瞳と水晶の二枚翅が特徴的で、人外なのは明らか。宝石を喰うという習性から、文献では宝石喰らいジュエルイーターの異名で記載されることもある。


 推定年齢は二〇〇〇歳。長く生きてはいるが、食い意地の張った性格は二千年間変わることがなかった。一時は暴食が過ぎて『魂の監獄』という精霊などの幻想種を閉じ込めておく牢獄に入れられたこともある前科者。

 クレストフのことをボスと呼び慕う。


『地の精霊ノーム』

 広く世界に分布し、固体に関わる自然力において圧倒的な占有率シェアを誇る精霊。

 クレストフとは利益共有の関係にあり、庇護することで積極的に坑道の掘削に協力してくれる。

 彼らには掘削を行う彼らなりの目的がある。


『ビーチェ』

 洞窟へ生贄として捧げられた近隣にある村の少女。

 あちこち跳ねて伸び放題の黒髪、その隙間から覗く金色の瞳。左目の下にある泣き黒子が特徴的な十二歳の少女。

 成長過程に問題があった為、実年齢よりも心身共に幼く、舌足らずなところがある。

 他人に恐怖感を与えて威圧する『魔眼』の天然保持者。

 クレストフに利用価値を認められて、洞窟で生活するようになる。


『風来の才媛』

 魔導技術連盟に所属する一級術士。脚は長く、背の高い女。

 術士然とした恰好からは遠い、身体にぴたりと吸い付くような革のつなぎを着ており、胸は豊かで腰はくびれ、舞台女優のように整った顔立ちをしている。

 クレストフよりも一つ歳上だが、実際の年齢以上に落ち着き払った雰囲気を持つ。

 どこにでもふらりと現れ、的確に仕事を片付けることから『風来の才媛』と二つ名で呼ばれる。

 ただし、遅刻の常習者。


『深緑の魔女』

 魔導技術連盟の幹部にして一級術士。植物に関係する術式を専門としている。

 若草色のローブに身を包み、緩やかに波打つ栗色の髪が腰まで垂れ、長い睫毛と濃い褐色の瞳が特徴的な妙齢と見られる女性。実体は半世紀以上を生きる、連盟でも古参の魔女。


『竜宮の魔女』

 魔導技術連盟の幹部にして一級術士。数多くの竜種を使役している。

 緋色の龍鱗をあしらった軽装鎧に身を包み、一見して戦士かと思わせる引き締まった体つきをしている短髪赤毛で色黒の肌をした女性。


『王水の魔女』

 魔導技術連盟の幹部にして一級術士。主に腐食性の液体を専門に扱う。

 常日頃から陰気な雰囲気を身にまとっている、暗く沈んだ表情をした長い黒髪の魔女。彼女が表に出てくることは非常に珍しく、水面下で連盟の汚れ仕事を請け負っている。

 クレストフのことを毛嫌いしており、関係は悪い。


『伯爵令嬢 (エリアーヌ)』

 フェロー伯爵家の令嬢。長く艶やかな金髪を肩に流した少女。

 クレストフに資金提供したことをきっかけに、あれこれと関係を持とうとしてくる。


『自称騎士セイリス(三流騎士セイリス)』

 修行のために底なしの洞窟へやってきた自称騎士の女性。

 長い髪を後ろで一括りにまとめている。

 身に付ける軽銀の盾と鎧は、真っ白に塗装され金縁の装飾が施されており、振るう武器は頑丈なダマスカス鋼の長剣。

 クレストフに叩きのめされた後、騎士としての才能に目覚めた。それ以来、彼を心の師匠として目標にしている。


『盗賊エシュリー(猟師エシュリー)』

 宝石泥棒として底なしの洞窟へやってきた自称大盗賊の少女。体型は小柄で胸は薄く、日に焼けた小麦肌をしている。

 髪をまとめるのは土色のバンダナ、露出の多い革製の服を身に着け、腰には短剣を一本吊るしている。

 盗みに入ったところをクレストフに捕まり、社会的に抹殺される。

 行き場をなくした後は樹海をさまよい、獣に襲われたところを騎士セイリスに助けられる。以後、猟師としてセイリスと行動を共にするようになる。


『冒険者イリーナ』

 賞金首の行方を追って底なしの洞窟へやってきた自称冒険者の女。

 金属製の胸当てを身に付け、厚い黒革で縫われたレギンスをはいている。

 背中には飾り気のない鋼の長剣を背負い、真っ赤な髪留めの帯を額に巻く。

 洞窟にて賞金首の情報を得るものの、獣に襲われて命辛々逃げ出した。

 別口の仕事で医療術士ミレイアと知り合い、個人的にも手助けすることになる。


『医療術士ミレイア』

 魔導技術連盟の任務で底なしの洞窟を調査しに来た三級医療術士の女性。

 薄手の生地で織られた真っ白な法衣を身に纏い、複数の円環を先端に束ねた錫杖を手にしている。

 連盟からは洞窟で消息を絶った準一級術士クレストフ捜索の依頼を受けていたが、調査の最中に出会った少女ビーチェの境遇を気にかけ、任務終了後も冒険者イリーナと共にビーチェの行方を追い続ける。

 麓の町で騎士セイリスと猟師エシュリーに出会い、互いの利害が一致したことで共に底なしの洞窟へ挑むことになる。


『黒き聖帽の四姉妹』

 聖霊教会から派遣された悪魔祓いエクソシストの四姉妹。監獄破りの宝石喰らいとその契約者を裁くため、標的の潜伏先である底なしの洞窟へとやってきた。薄手の修道服を纏い、黒い看護帽を被る。胸元には十字架を模した銀の首飾りを下げている。この他、幻想術士団を悪魔契約者と断定。クレストフに次ぐ抹殺対象として認識する。

 長女マーガレット:保守的で慎重派。細かく波打つ黒髪を腰まで伸ばした色白の女。年長者で四姉妹のまとめ役。

 次女ジョゼフィーヌ:男勝りでぶっきらぼう。体格は大きく、肌は焼けた小麦色、髪は透き通る金色。肩の辺りまで伸びた髪を後ろで一括りにしている。

 三女エリザベス:病弱で気弱。ひどく痩身で、猫背で姿勢も悪く、病的なまでに青白い肌の色をしている。髪質が細く、ほとんど白に近い銀色をしている。

 四女エイミー:快活で無邪気。小柄で細身、髪は短く、肌は白い。一見して育ちの良さそうな少女だが残虐性の強い性格。


『タバル傭兵隊』

 タバル傭兵隊長を筆頭とした熟練の傭兵部隊。タバル傭兵隊長は、底なしの洞窟で拾得した霊剣泗水れいけんしすいを携える。


『エリザ武闘術士団』

 女拳闘術士エリザを中心にした武闘派術士の小集団。自身の肉体や武器を術式で強化して戦う。

 拳闘術士エリザ:袖丈の短い厚手の胴着に脛当て、額当てを身につけた軽装備。強化鋼の篭手をはめ、風火水土の基礎的な術式を用いた拳闘術を扱う。

 医療術士アニック:白い貫頭衣を着た青年。生体反応を活性化させて、傷を治癒したり、身体能力を向上させる術式を扱う。

 武闘術士オジロ:黒い外套を羽織った老人。風火水土の基本的な属性を武器に纏わせた武闘術を得意とする。

 

『グレミー獣爪兵団』

グレミー獣爪兵団:狼人おおかみびとグレミーを頭にした亜人の兵団。団員は鬣狗人はいえなびとのブチ、熊人くまびとのグズリ、馬人うまびとのボーズを分隊長とした三個分隊。グレミーはその右腕に、霊剣や妖刀にも比肩する凶器、妖爪鎌鼬ようそうかまいたちを装着している。


『レジーヌ調査班』

 四級術士レジーヌと二流騎士ヴィクトルが主立って組んだ、人数六名の洞窟調査班。

 一級術士『王水の魔女』の命令により、魔導技術連盟の任務で洞窟より湧き出した幻想種の調査にやってきた。

 騎士一人、術士五人の編成。探索術を得意とするレジーヌが班のまとめ役となっている。


『氷炎術士メルヴィオーサ』

 氷と炎に関する術式を得意とする魔導技術連盟認定の二級術士。紫色に染め上げた長髪が目立つ、華奢な腰つきで豊満な胸を持つ若い女。切れ込みの入ったドレススカートから覗く太股には、まるで欲情を誘うかのような意匠で魔導回路が刻まれている。連盟組織内の権力闘争に興味はないが、準一級術士クレストフに対しては個人的な執着がある。


『ファルナ剣闘士団』

 全員が霊剣、ないしは妖刀・妖剣の使い手。過去、奴隷剣闘士であった団長ファルナは、近づく者すべてに対して激しい憎悪を抱き、常日頃から凶悪に眇めた目で他人を威圧している。団員は妖刀・断ち首ののこぎりを担うファルナの強さに心酔して寄り集まった元奴隷剣闘士達。ファルナ以下団員は五名。担う剣は各々、妖剣・骨削りのやすり、妖剣・皮剥ぎのかんな霊剣霧雨れいけんきりさめ霊剣水鏡れいけんみかがみ霊剣寒風れいけんさむかぜ


『コンゴ魔獣討伐隊』

 魔獣討伐を生業にしている荒くれの戦士達。騎士と術士が同数、男女ペアで組んでいる。

 一般的である煌びやかな騎士とは一線を画す、粗暴な立ち居振る舞い。

 術士もまた屈強な体躯を有し、自らの体を武器に戦う武闘派である。


『国選騎士団』

 騎士隊長ベルガルを筆頭とする永夜の王国から派遣された騎士団。

 準一級術士クレストフの探索している宝石の丘が目当てで、国としても宝石の丘から得られるであろう莫大な利権を見逃すことはできなかった。


『傀儡の魔女ミラ』

 魔導技術連盟の一級術士で、魔導人形ゴーレムを専門に操る人形術士。

 若々しい幼女の肉体を象った魔導人形に、自らの意思を宿す。小柄な体格に不釣り合いな大きさのローブを着込み、その上にレースをあしらったボレロを羽織っている。

 騎士ベルガルとは旧知の仲。

 当初は宝石の丘の真偽を確かめる為に底なしの洞窟に潜っていたが、道中でクレストフの創作した魔導人形に興味を持ち、洞窟の最深部を目指すことにした。


『ハミル魔導兵団』

 魔導都市ハミル出身の術士集団。魔導剣や魔導鎧など魔導回路を刻んだ兵装に身を固めて闘う。中身はハミル魔導学院の可愛らしい女学生達。少女ばかりの兵団だが、四級および三級の術士が揃っている。兵団代表は学級長レーニャが務める。


『幻想術士団』

 精霊術士ダミアンが率いる、精霊と契約を交わした術士集団。全員が丈の長い紺の外套に、青い頭巾を深く被った怪しげな装いをしている。ダミアンの契約精霊は『三日月湖の水妖』、ほか精霊術士グレゴリーの契約精霊『三陸三海トラキアの風精』、同じく精霊術士ミルドの『水鏡の精霊リフレクス』などがいる。


『アカデメイア秘境調査隊』

 世界最古にして最高峰と名高い学術機関アカデメイアから派遣された、テルミト教授が率いる調査隊。太古の埋もれし文明を嬉々として調査する。アカデメイアでは学術の実践を推奨している。机に噛り付いてばかりいるのが学問ではないのだ。


『マルクスとユリア』

 いちゃいちゃしている騎士と術士の恋人二人組。

 妖剣・甘い罠ハニートラップを持つ騎士マルクスと探索術士ユリア。


『ナブラ兄妹』

 二流騎士の兄ナブラ・グゥと三級術士の妹ナブラ・ルゥ。兄は富と名声を求め、妹は自由な愛を求め、底なしの洞窟へとやってきた。鋼鉄製の刀と小盾で俊敏な攻撃を得意とするグゥ、敵の足を止める牽制攻撃を得意とするルゥ。息の合った、とても仲の良い兄妹。


『呪術結社赤札』

 使い捨ての札式魔導回路『呪符』を専門に扱う呪術結社。結社の幹部、アメノイバラノヒメは魔導開闢期の中頃に存在したとされる古代八百万の神々を研究対象としており、各地の伝説を巡り神々の片鱗を集めて回っている。

 構成員は女性術士が主体である。全員が赤い袴と白い胴着姿で、癖のない黒く滑らかな髪を背中に垂らして一括りにしている。


『黒猫チキータ商隊』

 商人の猫人チキータを隊長に、烏人からすびとのカグロが副官としてまとめる商隊。錬金術士クレストフが目指す宝石の丘、その旅路に同行して商売をしながら、あわよくば宝石の丘の利権も黒猫商会で手に入れようと、商会で組まれたのが黒猫チキータ商隊である。


『剣聖アズー』

 剣神教会が有する数少ない剣聖の一剣ひとつるぎ、アズー。動きやすさを重視した軽装の鎧を身に着け、立派な拵えの剣を背負っている。

 腕や肩、首元など、肌の見える部分には、鮮やかな青と緑で彫り込まれた聖痕が浮き上がっている。

 ある厄介な性質を持った魔剣の担い手が底なしの洞窟に入り込んだとの情報を得て、魔剣回収の任務により、クレストフと同行することになった。その実力は一流騎士と同格かそれ以上。

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