第145話 恩赦の錫杖
※関連ストーリー 『九死一生』参照
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悪魔祓いの四姉妹、三女エリザベスはクレストフとの戦闘で既にぼろぼろの様相であった。
「……でも、妙ね」
「あん? 何が?」
エリザベスの姿を見て首を傾げる氷炎術士メルヴィオーサに、猟師のエシュリーが気の抜けた返事をする。
そんなエシュリーを憐れむような視線で見て、メルヴィオーサは溜め息を吐いた。
「あなた……馬鹿なの? あの悪魔祓いの姿を見て、違和感を覚えないなんて」
「んなっ!? 誰が馬鹿だよ! あいつを見て何か違和感ってそりゃ、どっからどうみても……」
そう言いながら何もおかしなところを見出せないエシュリーは苦し紛れの回答をする。
「貧相な体だな……」
「よ、よよよ、余計なお世話ですっ!!」
青白い顔にほんのわずか朱が差して、エリザベスが本気で怒っているのが見て取れる。
「あ、あまり私を怒らせると……ら、楽には逝けませんよ? ここ、後悔することに、なります!」
引き攣った笑みで怒りを表すエリザベスは、先端が刃を有した円環となっている奇妙な杖を頭上に掲げ、全身の魔導回路を活性化させた。
仄かな白い光が黒い修道服から漏れ出し、召喚術の前兆現象である黄色い光の粒が辺りに漂い始める。
(――世界座標、『聖者の蔵』より我が手元へ――)
『踊れ円月輪!』
空中に出現した鋼鉄製の
「うわわっ!? なんか来たー!!」
「ふーん、そう来るのね」
慌てふためくエシュリーとは対照的に、メルヴィオーサは落ち着き払った態度で迎撃用の術式を発動した。
(――世界座標『大寒地獄』より召喚――)
猛吹雪の地獄を意識に浮かべながら、召喚元の座標を頭の中で指定する。
『突き上げよ、白魔の
術式発動の
氷柱が障害物となって円月輪の行く手を阻む。
「うわぁっ、うわーっ!! あたしを殺す気かー!!」
氷柱はエシュリーの足元からも生え出し、そのまま立っていれば串刺しになるところだった。
「だから初めに言ったでしょう。巻き込まれても知らないって」
メルヴィオーサは悪びれた様子もなく、エシュリーの立ち位置など気にせずに次々と氷柱を創り出す。
幾つかの円月輪は蛇行しながら氷柱を迂回してメルヴィオーサに襲い掛かったが、それも新たに出現した氷柱が行く手を阻んだ。
「さぁて~、今度はこちらから反撃させてもらおうかしらぁ」
「ぁん……いい感じね……」
太股に巻きつくように彫られた魔導回路に指を這わせ、恍惚とした表情でメルヴィオーサは術式を発動させた。
(――世界座標『トルクメニスの地獄門』より召喚――)
『逆巻け、炎熱気流!!』
空気を歪める高熱の陽炎が吹き荒れ、氷柱の間を縫って距離を詰めようとしていたエリザベスを呑み込む。
「――――!!」
炎の暴風に呑まれながらエリザベスが何かを叫んでいる。ごうごうと逆巻く炎の音で叫びはかき消され、エリザベスの姿も炎の中に消えていった。
「やった!? あいつ、炎に飲み込まれたぞ!」
氷柱の陰から顔を出したエシュリーが、エリザベスの消えた炎の向こうを指差す。安易に浮かれるエシュリーに対して、メルヴィオーサは油断なく炎の向こうを見つめ、次なる術式の集中に入っていた。
――炎の中から、複数の
狙いは正確で、メルヴィオーサとエシュリー目掛けてそれは飛来してきた。
煌きが見えた瞬間、メルヴィオーサは瞬時に術式を発動し、召喚した氷柱を盾にしてこれを防いだ。氷柱に当たって弾かれたのは、エリザベスが放ったと思われる円月輪であった。
「うぎゃっ!?」
メルヴィオーサの後方にいたエシュリーだったが、円月輪の一つが氷柱を避けるように飛んできて、彼女の肩を浅く切り裂く。
傷は浅いが、予想していなかった痛みに驚いて、エシュリーは大げさに後ろへとひっくり返る。
だが、それがエシュリーの命を救った。
それまでエシュリーの胸があった位置に、追撃の円月輪が二つ飛んできたのだ。いずれも速度は十分で、直撃すれば大怪我は免れなかっただろう。
「く、くそっ……やったなぁ……。うりゃっ、くらえっ!!」
エシュリーは弓を構え、炎を割って現れようとしていた人影に目掛け、鉄の矢を射かける。
連続して三本、放たれた矢は炎の中に消えて、一瞬だけ人影が揺らいだように見えた。
間もなく炎の中の人影は輪郭を顕わにした。
「……そんなやる気のない矢では、け、牽制にもなりません……よ?」
修道服のあちこちから煙を上げながら、エリザベスが炎を割いて現れる。エリザベスの手には三本の矢が握られていた。
エリザベスの様子を見てメルヴィオーサは舌打ちをした。
「やっぱりねぇ……あんまり効いていないのかしら? 私の呪詛は」
「え? ……まさか、あの炎に呑まれて平気なのかよ、あいつ!?」
苦々しい表情のメルヴィオーサと驚愕に目を見開くエシュリー。
エリザベスは戦闘前と変わらぬ引き攣った笑みを浮かべ、火傷一つない姿を見せ付ける。
「か、加護ですよ、加護。わ、わわ、私達の信仰に、主の加護がこ、応えてくれるのです」
修道服は焼け焦げていたが、服の破れから覗く肌は真っ白なままだ。
「信仰に、加護……ね。私、そういうの大嫌いなのよ。その加護、信仰心も合わせて……灰になるまで燃やし尽くしてあげるわ」
鋭く言い放ったメルヴィオーサは、再び太股の魔導回路を強く輝かせて精神統一に入る。
「わ、私達の信仰は、ゆゆ、揺るぎません……例え、炎に巻かれようとも……!」
メルヴィオーサの術式発動を阻止しようとエリザベスが走り出す。円環に刃をつけた錫杖を右手に、円月輪を左手に持って距離を詰める。
『――後の先の手の守護――使徒より贈る転ばぬ先の杖――』
エリザベスは信仰の言葉を呟きながらメルヴィオーサに向かって走り、先制の円月輪を投げつける。だが、わずかに遅れてメルヴィオーサの術式も発動した。
『貫き
氷柱が地面から伸び上がり、投擲された円月輪を全て弾き返す。さらに、先の尖った細い氷柱が幾本も空中に召喚され、走り来るエリザベスに集中して撃ち出される。
エリザベスは殺到する氷柱を錫杖で叩き落しながら、走る速度を緩めぬままにメルヴィオーサとの間合いを詰める。
「く、く、悔い改めなさい……!!」
完璧な間合いと踏み込みで放たれる必殺の一撃。
錫杖が頭上高く掲げられ、メルヴィオーサの首の頚動脈を狙って振り抜かれる。
『――業火の窪地!!』
どん、と紫檀の杖が地面を突いた。瞬間、エリザベスの足元の地面が陥没し、爆発的な勢いを持って巨大な火柱が立ち昇る。
「あ――――」
エリザベスの口から漏れ出る声もかき消して、真っ赤な火柱が踊り狂う。
『トルクメニスの地獄門』より召喚されし劫火は、攻撃目標を窪地に落とし込み、逃げることを許さぬまま火炎で炙り殺す呪術である。
その火力は赤銅熊さえ一瞬で焼き殺す水準の熱量を有している。
――しかし、何よりも驚くべきは、メルヴィオーサがやってのけた二段構えの術式発動である。
『大寒地獄』からの召喚に続いて、間を置かずに『トルクメニスの地獄門』からの召喚を実行する。
通常、ここまで早い速度で二種類の術式を発動するには、平行して二種類の術式の意識制御をしていなければならない。それは、思考の複雑さからして極めて困難である。
例えるなら、帳簿の算術計算をしながら、全く関係ない請求書の文面を読み上げるようなものだ。
この複雑かつ繊細な意識制御を実践できるのが、二級術士にして氷炎術士の異名を冠するメルヴィオーサであった。
「骨まで焼き尽くされて、灰におなりなさい」
揺らめく火炎を眺めながら、メルヴィオーサはゆっくりと息を吐いた。
これほどの火力で焼かれれば、加護も何もあったものではないだろう。
勝利を確信したメルヴィオーサの前に、炎の中から真っ黒な人影が歩み出てくる。
突き出された人間の腕は真っ黒に炭化しており、小さな火があちこち燻っていた。その腕が、ゆっくりとメルヴィオーサの首へと伸ばされてくる。
「な――!? 嘘、でしょ!?」
実戦での経験から、不吉な予感を覚えたメルヴィオーサは大きく後ろへと跳んで退く。
ゆらり、と火炎から姿を現したのは全身を炭化させたエリザベスだ。
だが、おかしい。異常である。ここまで全身が焼けているというのに、エリザベスの足はしっかりと地を踏みしめ、腕は明確な殺意を持って伸ばされてきたのだ。
『――後の先の手の守護……使徒より贈る転ばぬ先の杖――』
半死状態のエリザベスの口から、歌うように呪詛が漏れだす。
『――ああ、主よ、復活の奇跡を見せたまえ――』
メルヴィオーサ達の目の前で、驚愕すべき奇跡が起こる。
完全に炭化したはずのエリザベスの身体が、見る見るうちに赤い肉を取り戻し、白い肌へと変貌していく。
「うふ、うふふふっ……! 酷い、酷い、酷いじゃないですか……。人の命は、一つずつしかないんですよ? 大切に扱ってください」
徐々に、元の白い肌へと戻っていくエリザベスを前にして、メルヴィオーサとエシュリーは言いようもない恐怖に戦慄していた。
「……確実に殺した……焼き尽くしたはずなのに……」
「なんだよこれ……なぁ、こいつなんなんだよぉ!!」
メルヴィオーサの炎に焼かれて、エリザベスの修道服も聖帽も焼け落ちている。だが、焼け爛れた皮膚も、燃え尽きた髪の毛も、見る間に回復してしまったのだ。
「これは……加護なんて綺麗なものじゃない。いかれているわ……こいつ、自分に『死なずの呪詛』をかけている。一種の……
「え……? ちょっと待てよ、ならどうすんだよ、どうやってこいつ倒すんだよ!?」
「私が知るわけないでしょう!?
例えば不死者の代表格である
「……い、命は大切です。人も、獣も、虫も、命は等しく大切なものなんです。わ、私は、貴女達の命も尊重しています……ですから……」
再生を終えて、腰元に修道服の切れ端を引っ掛けただけのエリザベスが、祈るように優しげな声で語りかけてくる。
慎ましやかな胸に、あばら骨が見えるほどに痩せ細った体躯。不健康な青白い肌と銀色の髪までが完璧に復元される。
その病的な外見は『死なずの呪詛』を何度も使った弊害であろう。人体の構造に悪影響を及ぼしているのだ。
儚げな姿は憐れみを誘い、何とはなしに同情せずにはいられない。
だが――。
「――ですから、獣畜生と同じくらい大切な貴女達の命、虫けら同然に奪って差し上げます。だって、全ての命は等価に重んじるべきものですもの」
決して共感はできない。
人格すら歪んでしまった不死者の感性とは、そういうものである。
不死者エリザベスが、錫杖を手にメルヴィオーサとエシュリーに再び襲い掛かる。
『……愚かな子らに、赦しの懲罰を与え給え……』
不吉な言葉を含む呪詛を口ずさみながら、エリザベスがメルヴィオーサへと走り寄る。
「うっ……速い……!?」
紫檀の杖を構えて術式に集中しようとするが、エリザベスの動きの方が速かった。
横薙ぎに振るわれた錫杖を、メルヴィオーサは体勢を崩しながらもぎりぎりで避ける。
その際に浅く、メルヴィオーサの皮膚を錫杖に仕込まれた刃がかすめた。それだけで――。
「――あっ、あああっ……くぅうっ!? い……痛ぁっ……!!」
メルヴィオーサは背を仰け反らせて、堪えきれない痛みにのた打ち回った。
「く、くくく……悔い、改めなさい……」
メルヴィオーサに止めを刺そうとするエリザベスに、エシュリーが矢を射かけて牽制した。
だが、エリザベスは身体に矢が突き立つのも意に介さず、地面に横たわるメルヴィオーサに錫杖を突き下ろそうとしている。
「やめろーっ!! この、化け物がーっ!!」
立て続けに放たれた矢がエリザベスの手首に当たって、突き下ろした錫杖の軌道をメルヴィオーサから逸らした。
錫杖の先端はメルヴィオーサの眼前に突き立っている。
メルヴィオーサは一瞬の隙を突いて、地面を転がりエリザベスから距離を取る。
受けた傷は小さなかすり傷だ。だと言うのに、まるで腕を切り落とされたかのような痛みをメルヴィオーサは感じていた。
「これも、呪詛ね……なんて厄介な……」
その身に受けて、呪詛の特性はすぐに知れた。すなわち、痛みの増幅。
「じゃ、邪魔を……しないでくださいっ!!」
「うっ、ぎゃあぁあっ!?」
投擲された三つの円月輪が、エシュリーの腕と足と脇腹を切り裂いた。これにも呪詛の効力が乗っているのか、エシュリーは尋常でない叫び声を上げて悶絶している。
悶え苦しむエシュリーに、追い討ちをかけるように円月輪が一つ二つと投げつけられる。
その度に悲痛な叫びが上がり、エシュリーは狂ったように地面を転がり回った。
エリザベスは敢えてすぐには止めを刺さず、エシュリーを嬲り殺しにしようとしていた。
「……いけない……このままだとあの子、心が壊れてしまうわ……」
メルヴィオーサは意識を集中して、術式を発動させようとする。だが、痛みによって思考が掻き乱され、思うように術式に集中できない。
そうこうしている内に、エリザベスがメルヴィオーサの動きに気がつく。
さすがに放置できないと考えたか、エリザベスはメルヴィオーサの方にゆっくりと歩み寄って来る。
「と、とりあえず、貴女には……先にお、恩赦を与えます……。く、くくく、苦痛は一瞬ですよ?」
刃の付いた錫杖が、メルヴィオーサの喉元に押し付けられる。
刃が食い込み、つぅ、と赤い血が滴り落ちた。
とん、と。錫杖の刃が横にずれる。
そして、大量の血がばしゃり、と地面にぶちまけられた。
地面に溜まった血の池をしばらく眺めた後、メルヴィオーサは視線を上げた。
エリザベスはもう、メルヴィオーサを見ていなかった。
彼女はエシュリーの方を見て、言った。
「ど、どうやら……どうしても貴女から先に、お、恩赦を受けたいようです、ね?」
見れば、エリザベスの腹部から真っ赤な血が流れ出していた。
エシュリーが片膝をついて、力一杯に弓を引き絞っている。
つがえた矢の先端では、魔力を秘めた
エシュリーは必死に痛みを堪え、涙と鼻水も拭わぬままに矢を引いた。
「あ、あたしは……こんなところで死にたくない!! 死なないからな!! うわぁあああっ!!」
「む、無駄なことを……で、でで、ですが、赦します。い、生きるために、抗うのは……生命に許された権利です……から」
エシュリーに向かってエリザベスが一歩踏み出す。落とした錫杖を左手で拾い上げ、また一歩踏み出す。
「ひぃっ……。く、来るなよぉ……来るな、来るな、来るなぁっ!! ぅぁああぁあああ――っ!!」
力任せに撃ち放った矢が、エリザベスの右胸に突き刺さった。もう一歩踏み出そうとしたエリザベスの身体が斜めに傾く。
そこで初めて、メルヴィオーサは異変に気がついた。
「…………?」
エリザベスは胸に刺さった矢を引き抜くと、しばらくその場に突っ立っていた。
しかし、胸に穿たれた傷はおろか、腹部の傷も、肩の傷も塞がることなく、今も血を流し続けていた。
「――あ。そ、そんな、どど、どうして……? あ? この……矢……」
ようやくエリザベスも、自分の身体に起きている事態を理解したらしい。
これまで傷の回復は瞬時に行われてきていた。にも関わらず、今のエリザベスは矢傷を塞ぐことができていないのだ。
血が止まらない。それは、矢傷を受けたなら普通のことだ。
ただ、傷の深さに関係なく、空気に触れた血は固まるものである。
それがどういうわけか今この場においては、滴り落ちた血の一滴まで固まる気配を見せず、エリザベスの身体から流れ出し続けていた。
「ああああああっ!? な、なんて……なんて、あ、あああ、悪質な呪詛!?」
それは傷の回復を許さない、『流血の呪詛』の篭った
「だ、だだ、誰? 誰ですか? ここ、こんな、こんな卑劣な……呪いを……!!」
準一級の錬金術士クレストフ・フォン・ベルヌウェレが、魔導因子を蓄積した天然の紅玉を用いて創り上げた至極の一品である。
紅玉自体に魔導因子が貯蔵されているため、使用者が術士でなくともある特定条件下で呪詛が発動するようになっている。発動条件は、人の体内に潜り込み、血に触れた瞬間である。
しかし、これは何もクレストフが不死者の存在を予見して、エシュリーに渡していたわけではない。そもそもが対人武器としてかなり有効性の高いものなのだ。それが偶然にも、エリザベスにとって相性が最悪の武装をエシュリーが受け取っていただけに過ぎない。
「あ、あたしは……あたしは……死にたく、ないよう……」
エシュリーの方も限界だった。身体中に傷を作って、そのどれもが気狂いしそうなほどの痛みを植えつけているのだから。
だが、あと一射でいい。エリザベスを倒すにはあと一本、矢を心臓に突き立ててやれば止めを刺せる。
「……撃ちなさい! 止めを刺すのよ! その矢なら、この不死者を倒せる! 呪詛は、より強い呪詛によって上書きされるわ! その矢には、『死なずの呪詛』を凌ぐ、強力な呪詛が込められているから!!」
呪詛とは、得てしてより強力な呪詛によって上書きされる。中には、二重苦、三重苦といった呪詛の重ねがけも存在するが、それらは稀な組み合わせであり、大抵は強い呪詛の効果によって他の呪詛の効果は打ち消されるものだ。
呪詛の種類は問題ではない。重要なのは、いかに呪いをかけるか、注ぎ込まれた魔力の量と呪詛を打ち込む楔の鋭さ、つまるところ人を呪う悪意の強さである。
「だ、だだだ、黙りなさい……! ゆ、ゆゆ、赦しませんよ、あなた達……絶対に……殺さず、生かさず、な、嬲り殺しに――」
赤い閃光が、エリザベスの心臓を背中から射抜いた。
エリザベスの青白い体躯が大きく反り返り、膝から力が失われてその場に座り込む。
首はうなだれ、口からは鮮やかな血液が零れ落ちる。
こふり、と固まらない血を吐きながら、エリザベスは祈るように天を仰いだ。
「――ああ、主よ……愚かな子を…………赦し……給え――」
悪魔祓いエリザベスは、恩赦を願いながら逝った。
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