この夜を越えて

月も星も見えない夜は

見慣れたはずの景色も

闇に沈みこんだみたいで

妙に頼りなくなる


続けて大型台風が近づいている

まだ凪いでいる空気が

不穏な熱をはらんできて

息を苦しくさせる


ベランダのサンダルを中に入れて

小さな植木鉢も避難させた

物干し竿を下ろしてまとめて括り

やれることは、これで全部だろうか


人の出来ることには限りがあって

耐えてやり過ごすしか

道がない時も沢山あるけれど

それでも、この夜を越えて


この夜を越えた先にあるものを信じて


信じて


信じて。

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