202球目 カラスはタカに勝てない

 今日は、番馬ばんばさんと真池まいけさんの追試がある(171球目参照https://kakuyomu.jp/works/1177354054895930927/episodes/1177354054921456023)。



 テスト教室の天井から、東代とうだいハムスターがスーパーモノクルで見て解いていく。その解答を盗聴器に向かって喋り、窓際のシジュウカラの俺が鳴き声で伝えるというカンニングを行う。



 なお、浜甲はまこうのテストは4択か5択形式なので、➀が正解ならツツピー、➁が正解ならツーピーツツのように、鳴き分けて伝えられる。



「ナンバースリー」


「ツーツーピーピー」



 俺の鳴き声を聞いた番馬ばんばさんが、マークシートの3の穴をシャーペンで塗りつぶす。いい調子だ。ちなみに、東代とうだいは7割の正答率になるよう、不正解を散りばめているらしい。追試で満点を取ったら怪しまれるからな。



「ここは俺らのナワバリガァガァ!」


「よそモンは出て行けガァーガァー!」



 ゲッ。俺の鳴き声をかき消すかまびすしいカラス達が、枝にとまってきた。烏丸からすまさん、追い払ってくれぇ!



「ガアアア! 俺っちの親友をいじめるなぁー!」



 烏丸からすまガラスが俺達の間に割って入ってくる。



「っるせぇ! バーカー!」



 カラス達にいたるところをつつかれ、烏丸からすまガラスは逃げていく。弱すぎる……。



「ピューイ! カラスよ散れ!」



 カラスより一回り大きいタカが降り立つと、カラス達は「逃げろー」、「チキショー、覚えてろー」と言って、遠くの電線へ飛んで行った。



 タカは俺をにらんでいる。やめてくれ、俺は美味くないぞ。



水宮みずみや君、頑張ってね!」



 タカはかわいらしいアイドル声を出して、火花の出るウインクをする。なんだ、タカの中にいるのは津灯つとうか。



「サンキュー、津灯つとう



 その後、津灯つとうタカと烏丸からすまガラスのパトロールのおかげで、妨害ぼうがいバードが来ることはなかった。番馬ばんばさんと真池まいけさんのカンニング作戦は成功できそうだ。



(続く)

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