4回表 敵は我の体重に在り!? VS獣化と肥満化の六甲山牧場高校(2回戦)

201球目 理事長夫人の辞書に正々堂々はない

 八木やぎ学園に超高反発バットを渡したのは、柳生やぎゅう理事長夫人だった。



 次なるインチキのために、彼女はカボチャの怪人風の野球ボール魔神コスプレをして、六甲山ろっこうさん牧場高校へ向かう。



 六甲山ろっこうさんナインはボダコキャプテンのノックを受けていた。理事長夫人はオペラの演者のように、声を張り上げる。



「聞け、六甲山ろっこうさん牧場の野球部諸君! そなたらに、この野球ボールの魔神が力を授けよう!」



 彼らは口を開けて、全く動かない。すると、馬獣人の女子が頭を震わせて、魔神に猛突進してきた。



「トウッ! オレ達はそんな助けいらんよ。戸神とがみ、あれ見せろ!」


「うん。りょーかい❤」



 戸神とがみと呼ばれたホルスタイン獣人女子が、ベンチの冷蔵庫から牛乳瓶を出してきた。



「この牛乳飲んで、私達ぃ、パワーアップしとるの❤ だから、魔神さんの助けはいりませーん❤」


「せやせや、帰れ帰れ!」



 魔神はヤギ獣人と羊獣人の角に押され、ボールを彼らに渡すことができない。魔神はボールヘッドの中で舌打ちしてから、きびすを返す。



「しかたあるまい。そこまで言うのなら、今日は帰ろう」


「あっ! この牛乳、飲んでほしいのぉ❤」



 戸神とがみから受け取った牛乳から、甘い香りが漂ってくる。フルーツ牛乳だろうか。



※※※



 理事長夫人は、六甲山ろっこうさn牧場付近のトイレの中でコスプレを解き、その牛乳を飲んでみた。



「あら、美味しいじゃない。さすが牧場高校ね」



 彼女は鼻歌の上機嫌でトイレを出て、手を洗う。ふと鏡を見れば、自分の顔がいつもと違うことに気づく。



「あら? え? はっ、いやあああああああああああ!!」



 彼女は自らの体を見て、トイレ内に響く叫び声を上げた。



(続く)

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