92球目 個人練習はおろそかにしない(本賀の場合)
本に囲まれた部屋の中、
「だって、怖いものは怖いよ……」
空高く上がった
「ハァ。困った時は読書やね」
彼女は目をつむって、本棚から適当な本を取り出す。本の中には、今の悩みを解決するヒントが隠されているものだ。
※※※
鷹杉奨『女性教師がマンティコア化したら学校中がモンスターだらけに』(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921786938/episodes/1177354054921996904)
ドアを開けて、家を出ようとしたら、頭がぶつかる。
イッター! 私が大きくなってるから、いつもの通りに出たらダメよね。あー、イライラする。2階から目薬、
ドアを思いっきりバーンと閉めたら、ドアの表面がひしゃげてしまった。まるで2tトラックに
※※※
「二階から目薬!」
彼女は本を閉じて、すぐ隣の兄の部屋をノックしに行く。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん! ちょっと手伝ってほしいことがあるんよ」
「何やねん。忙しいのに―」
浪人中の兄・
「ずっと勉強やっとると、集中力切れちゃうでしょ? そこで、私の自主トレに付き合ってほしいんやけど」
「自主トレ? 今から外に出るんは嫌やで」
「お兄ちゃんは外に出なくてええの。あの窓から手を出して、庭の私にテニスボールと野球ボールを交互に落としてくれたらええから」
彼女は廊下の物置から、野球ボール3球とテニスボール23球が入ったカゴを取り出す。テニスボールは、近所のテニス練習場の側溝に落ちていた物だ。
「ホンマに落とすだけでええんやな」
「うん。全部捕り終わったら、また私が兄ちゃんの部屋に持って行くから」
フライの捕球とボールの恐怖心の克服と階段ランニングという一石三鳥な自主トレだ。彼女の兄は落とすだけならと、背中をかきながら
兄の手からテニスボールが落とされる。彼女はグローブを出して、問題なくキャッチする。
テニスボールが9球続いた後、野球ボールが落ちてくる。9球とも落下点は全く変わらなかった。グローブを引っ込めなければ、ケガをしない。彼女は目とグローブを開いたまま、じっとしている。
彼女のグローブに重みがかかる。グローブの中身を見れば、野球ボールが入っている。
「やったぁ! フライ捕れたぁ!」
妹の喜ぶ姿を見た兄は、少し口元を
(夏大予選まであと72日)
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