趣味と仕事

@ryu-2

夢が叶って…

 バスケが好きだった。


 暇さえあればボールをいじったり、試合を見たり。とにかくバスケバカだった。

 だから、バスケに関係した仕事をすることがずっと夢だった。

 残念ながら才能は無くプロになることはできなかったが、それでも一生懸命頑張って夢をたぐり寄せようとしていた。

 そしてついに念願であった、試合の解説のオファーが来たのだった。

 もちろん二つ返事でこの仕事を受けた。

 そして、解説席に座って味わったのは…

 地獄だった。

 いままで味わったことの無い緊張とか観客の目線が、えぐるように自分の身に突き刺さる。それでも何とか息をして、幼稚な解説をした。

 やめようとも思ったが、それではいままでの自分の存在理由すらも否定しているようで、嫌だった。

 …嫌だった。そんな理由で地獄を選んだのだ。

 結局その決断は、自分の首を捻り切る事となるのだ。地獄であれば普通か。

 結局その後は、解説をし続けた。もう引けなかった。

 バスケが好きなんて感情は、地獄の業火にでも焼き捨てられたのだろう。そんな青い感情はもはや無い。

 自分の好きの程度も知らず、趣味なんかを仕事にして、その好きすらも失って、残るの眩しいほどにまっすぐな嘘だけだろうか。

 もう、自分は嘘を言ってるのかも分からない。ロボットが仕事をする世の中とは現代と差異無いのでは?と疑問が浮かび、思考が止まる。


 あなたには好きなものがありますか?

 それは、仕事にしても、好きであれるのでしょうか?

 

 


 

 

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