ストーリー

綿麻きぬ

『ある』と『ない』

 誰も見向きをしないストーリーを紡ぎ続けた僕には何か意味があるのだろうか?

  

 こんな質問をしているのだから『ある』と答えて欲しいと思われるだろうが、僕が望んでいるのは『ない』だ。

  

 誰も見向きをしないストーリーでも誰かは見ている、そんな言葉はいらない。僕はそんな見られるほどのストーリーを紡いでない。僕のストーリーを見て何になる? なんで僕のストーリーを見せなきゃいけない。

  

 この世界の一部のストーリーなのだから自信をもって、そんな戯言はいらない。何故僕は一部を構成しなければならない? それは運命? そんなものはゴミ箱にでも捨てておけ。

  

 こんな天邪鬼みたいなことをいう僕の願いはすべてのストーリーに終わりを告げること。

  

 だってさ、この僕のストーリーを含めた本は永遠に続いていく。それに僕は恐怖している。

  

 考えてみてごらんよ。永遠だよ。僕の軌跡が。それはある種の恐怖をはらんでいる、と考えられないかい?

  

 あぁ、分かっている。普通はこんな考えをしないってことを。きっと僕は頭の狂った人なんだ。

  

 だけど世界は僕を排除しない。排除してくれた方が僕は楽だというのに。

  

 こんな僕を排除しない世界なんて僕の方から消してやる。そんなことを思ったってそんな力はなく、夢で終わるだけ。

  

 今日もそんな夢を見た。

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ストーリー 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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