第3話 第一ゲーム
4番ブースの☆82個の宣言は、なかなか強気である。☆82個ないことなど普通にあるからだ。
5番ブースは長考に沈んでいた。
(5番ブース
出目:☆524☆)
そして、2分ほどたって宣言がある。
「☆84個」
☆82 164 165 ☆83 166 167 ☆84
☆
まじか・・・?なんて強気なんだ。☆84個なんて、ほとんど期待値じゃないか。負けてもいいのか?
(6番ブース
出目:53345)
1分ほどたって、震えた声で言う。
「3が168個です・・・」
☆84 168 169 ☆85 170 171 ☆86
3
なるほど、とはいえ7番ブースもこれは厳しいはずだ。168個はまだ期待値以下だ。ここで宣言などしたら一撃で退場もありうる。☆のほうが被害は少なくなる傾向にあるが、それでも一撃退場のリスクは大きい。
振杉は、他人事のように考えていると、7番の宣言があった。
(7番ブース
出目:43445)
「4が168個」
☆84 168 169 ☆85 170 171 ☆86
4
(8番ブース
出目:5☆☆44)
「4が169個」
168 169 ☆85 170 171 ☆86 182
4
ここからは期待値を超えた戦いである。もういつブラフが飛んできてもおかしくない、死地での戦いとなった。
(9番ブース
出目:54452)
長考。3分たったときアナウンスが入った。
「長考は許されません。これからは一人1分までの思考時間とし、それを過ぎるたびにペナルティとしてサイコロ1個を没収します」
会場にどよめきがはしる。9番ブースは静かに赤いサイコロを動かした。
169 ☆85 170 171 ☆86 182 183
5
(10番ブース
出目:51☆☆2)
「ところで1分はどこで計るんだ!ここには時計がないぞ!」
10番ブースの人が叫ぶ。
「ご自分の感覚でお願いします」
冷徹なアナウンスが入る。
「☆85個!!」
169 ☆85 170 171 ☆86 182 183
☆
怒鳴るような声で10番ブースの人が宣言する。
(11番ブース
出目:☆5☆24)
すでに☆の期待値84.2個も超えている。
「☆86個」
☆85 170 171 ☆86 182 183 ☆87
☆
振杉はだんだん緊張してきた。もうすぐ誰かが負ける。しかも初回はほぼ致命傷だろう。自分に☆が多かったら85個にブラフをかけるのも確かに怖い。それに170個と言ってブラフを宣言されて負けるよりは、☆85個で宣言して負けるほうがマシか・・・。
(12番ブース
出目:☆314☆)
「☆87個・・・」
☆86 182 183 ☆87 184 185 ☆88
☆
もはやかわいそうになるくらいの細い声である。
(13番ブース
出目:21455)
30秒ほどたって宣言が入る。
「ブラフします・・・」
アナウンスが入った。
「それではみなさん、公開してください」
振杉はすぐに隣を確認する。
101番ブースは5522☆
2番ブースは42314
自分は2233☆
これではまったくわからないが、少し☆が少ないか?
40秒ほどたってアナウンスが入った。
「1は80個
2は86個
3は74個
4は92個
5は97個
☆は76個
となりました。☆を数えた結果は中央のスクリーンに表示してあります」
1:156
2:162
3:150
4:168
5:173
☆:76
「12番ブースは差の11個のサイコロ没収となります。
これにてサイコロは尽きましたので12番ブースはゲーム終了となります。お疲れさまでした」
「そんな少ないことってあるか!?よく数えさせてくれ!」
「時間がありません。第二ゲームに移動します」
悲鳴にも似た大声がとたんに小さくなった。12番ブースのシャッターが降りたのである。
残り100人。サイコロ残り500個。
第二ゲーム開始。
101人BLUFF えのき @enoki_fugue
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