第2話 101人BLUFF開幕

さっそく振杉が会場に着くと、個人ブースに通されそこから開始するようであった。

BLUFFの正規版では、出目の個数の宣言をボードと赤いサイコロによって行い、最大人数は6人で、ボードは

1 ☆1 2 3 ☆2 4 5 ☆3 6 7 ☆4 8 9 ☆5 10 

11 ☆6 12 13 ☆7 14 15 ☆8 16 17 ☆9 18 19 ☆10 20

であって16以降などはほとんど使われることはない。

しかし、今日はなんと、

・・・249 ☆125 250 251 ☆126 252・・・

・・・299 ☆150 300

と300まである。


ここまでくるとむしろ笑ってしまうほど壮観である。振杉はストレスに満ちた笑みを浮かべ、着席した。


「それでは皆様、抽選で親を決めます。これは確実に乱数となっておりますのでご安心ください」


10秒ほどたって、またアナウンスが流れた。

「それでは、ご自分のブースに表示された番号順に1番からの開始です」


振杉は番号をみて愕然とした。自分のブースはなんと1番だったのである。


「こんなことってあるかよ・・・」


振杉は震える手を抑えながら考え始めた。101人BLUFFが決まってから2日で開始されたゲームであるが、もちろんその二日間で最低限の戦略は練ってきた。

まず、サイコロは合計で505個あり、1から5の出目の個数の期待値は168.3個、☆は84.2個である。まずは1から5は150個以上は出ていると考えてよい。ただ、☆が少ない状況では160個以下になることも簡単にありえる。

大切なのは、サイコロを大量に失う場面に遭遇しないことだ。

つまり、親番をいかに安全に過ごすか、というゲームだ。逆にいえば、安全に回避できるこの初手の親番は幸運といってよい。


自分の出目は

2233☆


なるほど、2か3がすでに3個ある。ここで3が160個といえば、最悪自分の番がまた回ってきたとしても、最悪でも4が173個以上という宣言になるはずだ。これは危ないがブラフを宣言してもよい。実際はそんなことにはならないだろう。よし。


「3が160個」

160 161 ☆81 162  163 ☆82

3


そして次の人に番が回る。ここで宣言されて3が160個なければいきなり退場、レベル0もありえる。動悸がはしるが、それはすぐに安心に変わった。


(2番ブース

出目:42314)


「4が160個」

160 161 ☆81 162  163 ☆82

4


2番のブースの人の声である。

ほとんどノータイムの宣言に会場に少しどよめきがはしる。


そして、20秒くらいたって、次の宣言が入った。

(3番ブース

出目:☆4544)

「☆が82個」


160 161 ☆81 162  163 ☆82

              ☆


一気に飛んだ!これは自分までほぼ確実に回ってこないことを意味する。

振杉はレベル0は避けられたと思って安堵した。

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