表裏
@bouningennnn
第1話 始まりの悪
「そこの君!今すぐ刃物を置きなさい!」
2人の警察官が血の滲んだ刃物を持つ少年に銃口を向けて刃物を置いてこちらに来るよう呼びかける。まだ16、7歳の少年のためにか、呼びかける声は少しの優しさと怒りが混ざっているように感じさせる。
「これは、あの、ちがくって」
少年は銃口を向けられている恐怖から、刃物を強く握り締めてしまう。少年の足元には血まみれの男が転がっている。そしてその奥には少女が1人、腰を抜かして少年らの様子を伺っている。
「早く助けて!私、死にたくない!」
少女が泣き叫び、助けを求める。
「早く刃物を置きなさい。大丈夫だから」
「僕は何もしてない、ただ、ただ...」
「話は署でゆっくり聞くから。さぁこっちへ」
少年は署という言葉に反応した。
自分は捕まるのか?警察署でこれから生活しなければならないのか?どれくらいの間?
少年の中で様々な疑問が生まれ、恐怖が溢れ出す。恐怖に埋め尽くされた少年の耳には警察官の声は届かなかった。
差し出された手に怯え、持っていた刃物を振り回す。少年の頭の中には捕まってしまう、加害者になってしまう恐怖しかなかったのだった。
「動くな!刃物を起きなさい!」
1人の警察官がしびれを切らして少年に近づく。それに恐怖した少年は刃物を警察官へと突き立てる。
「あぁぁぁぁぁぁ!!!」
少年はそのまま刃物を振り回し、警察官を刺してしまう。
「あ、あぁ、ごめ、んな、さい…」
「くそっ」
ダーンッ――
もう1人の警察官が地面に倒れ込んだ少年に向けて発砲した。
「あ、あぁ、、」
放たれた弾は少年の腹を貫通した。少年さ血の流れ出る傷穴を抑え、もがき苦しむ。今までに感じたことの無い痛み。少年は悟った。死を。なぜ自分がこんな目になったのかも、少女が助けてと叫んでいるのかも、警察に発砲されたのかも分からない。しかし、皮肉な事に死ぬという感覚は明白になっていたのだった。
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表裏 @bouningennnn
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