私タンデムサーファーになります

ラニ

主婦かなこタンデムサファーになりました

私、菊池かなこ35歳。子供に英語教育をという旦那の発案から一年に渡るF1ビザを経てここ憧れのハワイに到着したもの、旅行のハワイと住むハワイのギャップにうんざりした毎日を送って早3週間。ワイキキは観光客価格で値段が高い!地元のスーパーも日本より物価が高い。そして何よりもやることがない。。。

子供を学校に送ってから帰ってくるまで家で韓流ドラマを見る事にもう飽きた!これじゃあ、日本に戻った時には浦島太郎。女子力も全くいらない。化粧も、ヘアセットも、ピンヒールも全く必要がない。せめて、友達でもいたら違うのだろうが、この中華街の中国人の日本語と同じレベルの英語では恥ずかしくて自分から話すことなんてできない。。

こんなんじゃいかん!フェイスブックに青い海と晴れ渡る空でも送って日本のみんなに幸せアピールしないと。。駐車場代金高いけど、ハワイアンセンターに駐車して観光客に紛れて写真でも取りに行こうかな。。

人混みは嫌いだ、特に幸せそうなハネムーンカップル。十年前の自分もそうだったけど、今は旦那は日本で不倫中。そうだ、おかしいと思った、急に英語教育だとか何とか言って私たちをハワイに住まわせて。。

それにしても、なんて綺麗な海なんだろう。

「コンニチハ、カワイイね。オチャシナイ」

また、変な外人がナンパしてきたな。どんな顔か拝んでやろう。。。

や、やばい。カッコ良い。

「I can't speak Japanese]

「ダイジョウブデス。ニホンゴ話せるよ」

し、しびれる。外人のたどたどしい日本語とこの長い睫毛、そして何この胸板。。

「少しならオチャできます」

あ、私は何を言っているんだ。これじゃあ、簡単に引っかかる日本人観光客ではないか。。

「うれしいね。あっちいこ、ぼくはハビエラです。あたなは何ですか」

「わ、私の名前はジェシカです」

あ、しまった。嘘ついちゃった。しかも、どう見てもアジア人なのにジェシカだって。。バカだわ。それにしてもすごい綺麗な瞳

「ここでオチャしよ」

え?ここ?ワイキキのビーチで持参のお水。なんてワイルド。。

「サーフィンすきですか?」

「はい、好きです」

嘘つけ、私したことないけど。。

「あした、8じにここであおうね。サーフィンしよ。これがぼくのでんわです」

まあ、きっと嘘だろうけど、明日の8じにきていたら脈あり??でも、水着がない!この後、ワイキキのVCで水着買わないと。ビキニ?それとも控えめな私をアピールするためにワンピース?何この気持ち?何だかワクワクしてきたぞ


まだ7時半なのにきてしまった。十年ぶりに着たビキニ、おへそにのったこの脂肪。後ろ姿など怖くてミレやしない。それよりもハビエラは本当にくるのだろうか。。。

「おまたせしました、カワイイね。このニキビ」

あ、なんてカワイイの言葉の間違い!!それにしてもなんだかでっかいサーフボードを持っているけど何なんだ?

「OK,じゃあ、いきましょ」

「どこに?」

「オキニ」

?私もこのボードに乗るの??

「はい、ここのって。もっと前。OKおしりがいいね」

は、恥ずかしい、このハビエラ様の綺麗な小さな顔の前には私のおしりが見える状態でパドリングをしているってことなのね。後ろが見えないけど。げ!前から大きな波が

「たすけて」

「ムネヲそらして」

「OK。NO problem.気持ちいいね。look at this beautiful ocean]

海水ってなんて浄化するんだろう。体がさっぱりする。何だろう、この波の音。心が落ち着くってこんなこと?何だろう、すれ違うサーファーが笑顔で通り越していく。

日本でママ友マウンティングにピンヒール、新作のバッグに子供の成績に。。何このアロハな気持ち

「OK.回るよ」

回る????

「はい、立って」

「え?」

ハビエラ様が私の腰を持って立たせてくれた!なんて素敵なの。ボードの上に二人で立っている!!こんなサーフィンってあるのね。

「OK,ジャンプして」

「3・2・1」

「ひえ〜」

何?私今の一瞬でハビエラ様の肩の上までのってるの?サーフィンしながら?人間の肩の上?

「OK、ぼくの頭を支えながらstand up」

何を言っているの?え?

「やるならイマデショ」

頭をもって肩の上に立つね。え?すごい、私肩の上に立ってる!!

「ダイジョウブデス。アシをもっているから、ミギテを離してシャカポーズ。you can do it]

釈迦ポーズって南無阿弥陀のポーズ?これ?

「きゃー」

ここは、どこ、私は死ぬの?海面に落ちて板が見える。どうしよう。

「hurry up]

ハビエラ様が手を引っ張ってくれた。ふー。。さっきのあれは何だったんだ。。夢?それとも何?

「ジェシカはタンデムサーファーになれるよ」

あー。。私はかなこじゃないんだった。ジェシカだった。タンデムサーファーってこれ?なれるわけないでしょ。

「YesI think so」

あれれ?私何を言っているんだ!!!

「コンテスト8・15にワイキキであるからがんばるです」

「sure!]

あれれ?私何言っているんだ。sureだって。ジェシカだって。8・15だって。後2ヶ月しかないでしょ。。

そして私の日々の生活が一変した。さよなら韓流ドラマと炭水化物。ウェルカムハビエラ様と、タンデムサーフィン。

「ジェシカ、everyday yogaやってください」

「それと、5kgヘルおねがいします」

要するに、体を柔らかく、そして痩せろと。よくわからないけど競馬の馬みたいになれってことね。。

「ラジャー」

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