Azmidiskeー8ー

 会議場は――、正直、かなりざわついている。色々な意見は出ているようだが、全体に向かって話す以前の問題として親しい人間同士で意見の統一を計っているって感じだ。

 多分、まだ、現時点では目立ちたくは無いんだろう。

 殺害を提案しても、その後、合流の流れにでもなれば怨まれたりするかもしれないしな。逆に、合流派の連中も、合流した後で喧嘩沙汰なんかが起こった時に、あの時捨てるか殺すかすれば、なんて陰口を叩かれたくない。

 そんなところだろう。

 日和見主義って言うか、なんていうか。


 しかし、そんなざわつきでも、注意して聞いていると、支持する意見の傾向の違いがあるのに気付いた。

 ふうむ……。

 こうして見ると、アテーナイヱに留め置かれてたグループと、アヱギーナの村にいたグループでは、まだ若干の温度差みたいなものがあるようだな。

 どちらもアテーナイヱ人から、迫害や攻撃をされていたはずだが……。程度の問題か?

 うん、む、一言ではまとめきれない。


「人死にも出てるからな。姉御はああ言ってるし、俺達としても大将と姉御には感謝しきれない部分もあるが……やっぱり簡単じゃねえよ」

 ドクシアディスが、なにかを期待するように俺に耳打ちしてきた。

「で?」

 声を潜めもせずに俺は訊き返す。

 ドクシアディスは、慌てた様子で周囲の視線に応えながら、今度は俺を非難するような恨みがましい目で見た。

 ……ったく、言いたいことがあるなら、自分の口で言えっての。

 俺とドクシアディスの遣り取りを見たからか、キルクスが困り切ったような苦笑いを浮べて、か細い声を上げた。

「少しは援護してくれても……」

 かつては、力での支配に疑問を持っていなかった癖に、と、肩を竦めて見せれば、どこかベソかいたような顔をされた。

 どうにも、自分に甘い連中ばかりだな。

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