第30話 病院の監視カメラ
僕の知人の病院で働いている看護師の女性の方Mさんの体験談です。
どこの病院でも一つや二つこんな話はあるでしょう、その病院でも誰も使っていない病室のナースコールが鳴ったり、誰も使っていないエレベーターが動いたりと、所謂小さな怪奇現象は頻繁に起きていたそうです。
ある日の夜勤の事です。三階にあるナースステーションに詰めて監視カメラのチェックをしていた時でした。二階の廊下を歩く女の人が写っていました。黒くて長い髪に白い患者衣、スリッパも履かず裸足の様でした。
どの病室の誰とは特定できなかったのですが、同じ場所を行ったり来たり何かを探している様にも見えました。
徘徊かと思い、一応様子を見に行くことにしました。監視カメラが写していた廊下に行くと誰もいません、辺りを伺ってみても人の気配はありませんでした。病室に帰ったのかなと思い、Mさんはナースステーション戻りました。
また監視カメラを見てみると、まだいるではないですか、監視カメラに例の女の人が写っています。おかしいな、ちゃんと見たはずだけどなと思いながらまた二階に行きます。
するとやっぱり、いないんです。今度は誰かいないか声を出してみました「だれか……いますか?」と呼びかけると、「助けて……」という声が背後でします。
振り向いて見るとあの女の人が立っています。顔色があまりにも青白く、苦痛に歪んだ表情はただ事ではなさそうでした。
「助けて……」女の人が左手を差し伸べます。手首にミミズ腫れの様な跡が無数についています。自殺を何度も試みたような痕でした。Mさんは怖気に震えたそうです。
「大丈夫ですか?」とMさんが声を掛けると「あ……私……死ぬかも」突然自分の左手に口を当て、ミミズ腫れに噛みついたのです。そのまま熟れた柿を食べる様に手首を食いちぎりました。
血まみれの口でまた「助けて……」と言って女の姿はかき消えました。Mさんは腰を抜かさんばかりで恐怖に慄いたそうです。
その後は二階の監視カメラに髪の長い女が写っても無視することにしたそうです。
実話怪談 死相他 弾 @bulls-ai
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