4.崩れる心

夕方アルバイトを終えると外にはパトカーが止まっていた。

「ちょっといいかな?」1人の警察官が話しかけてきた。

その時なぜだか、全く動揺する事は一切なく「いいですよ。」と告げ

そのままパトカーに乗った。

着いたのは警察署。「ちょっと話を聞かせて欲しい」と言われ、そのまま事情聴取が始まった。

「実は、君について話が来ているんだ。先日もその件でご両親に来てもらってる。」

「そうですか。」その時僕には一切の感情が無かった。

「こういう話が来てるんだけど、まず目を通して貰ってもいい?」1枚の紙には何時に何をしたかとゆう情報が細かく記載されていた。

「これについて間違いはない?」と聞かれ

「間違いないです」と答えると「向こうのご家族は君を訴える予定らしい」と言われ、初めて感情が動いた。

「あの、もし訴えられるのであれば、こういう事を自分もされたんですけど。」僕は自分の顔や身体の傷を見せ、今までずっと残していた誹謗中傷のLINEを見せた。

「勿論認めます。でも、理不尽にDVをした訳じゃありません。僕は彼女と別れたい。引っ越したい。時間も拘束され、事あるごとに悲劇のヒロインのような行動をされ、逃れられなくなりました。」僕は初めて真っ直ぐ人を見つめて自分の意見を言えた気がした。

「これはちょっと話が変わってくるな・・・」ある警察官の方が話だした。

「君を信用して言うよ。実は君に逮捕状が出されているんだ。」僕がウソをついていないと信じてくれたようで嬉しかった。

「できる事なら君を助けたい。でもね・・・どんな事があっても女性に手を出したら男はダメなんだ。」僕はその言葉を聞いた時に理不尽だとゆう気持ちよりも、悔しい気持ちが勝った。

続けて警察官は言った「逮捕状は取り下げる事ができる。だからね、1つこれは聞いて欲しい。今住んでいる場所から退去するように言われているんだ。この区内にもね。」その言葉を聴いた時、僕は熱量が上がって「そんな事できるなら最初から自分がしたいですよ!!」と泣き叫んだ。

それを聞いた警察官は「ちょっとタバコ吸いに行こう」と僕を外に連れ出した。

寒空に中、タバコの火種一点を見つめていると「お父さん元気?」と言われた。

「いや、どうなんですかね。分からないです。」

「実はね、僕らお父さんに凄いお世話になってるんだ。覚えていないと思うけど、君が凄い小さかった頃に会った事もあるんだよ。」

「そうなんですか??」僕は自分の父に人脈なんてないと思っていた。

父は警察官として長年勤務をしている。まさかこんな所に父の後輩が居たなんて思いもしなかった。

「お父さん、色々あって大変だったでしょ。」

「まあ・・・そうですね。」

「あの人、口下手だけど本当は家族に申し訳ないって思いが強いんだと思うよ。だから必ず助けたいんだって言ってたよ。」

僕は頭が回らず、ただ涙だけがこぼれた。

「僕らも勿論公平に行うけど、なんとか君が助かるように最善を尽くすから。今日は真っ直ぐ帰るんだよ。」そう言われ僕は家路についた。

家に着くと、あまりの悔しさから涙が止まらなくなり、そして初めて家族に迷惑を掛けている自分に悔しさが募った。

時間の流れが遅い。早くこの状況から抜け出したい。

僕は彼女と出会う所から全てを後悔した。

それから、自分の心が益々崩れていった。お金に困ってる訳じゃないのに消費者金融からお金を借りた。それも一気に4社も。

そしてそのお金を物ではなく、遊びで溶かした。自分の悔しさとはまるで違う行動を始めた時、全く睡魔も来なくなり、寝なくても大丈夫だと錯覚をしだした。

毎日ふわふわした気分。神経がドクドクしている。

自分は何でもできる。最強だ。そんな勢いすらあったが、それも長くは続かない。

突然死にたい衝動に駆られて自傷行為を行うようになった。

牛刀を振りかざした時から、クセになっている感じがする。

外に出られない、人の顔を見るのが嫌だ、今まで感じた事のない恐怖感に襲われていいた。

2週間に1回の病院の日、カウンセリングで話をすると「んー抗うつ剤を強めましょう」と言われ服用をする。

確かに元気になる。元気になるが、元気になりすぎて歯止めが利かなくなってしまう。

この頃から僕はうつ病ではなく、双極性障害になっていたのかもしれない。

数日後、両親が迎えに来てくれて、事情を話した。自分の病気にことも話した。

実家に帰ると妹が居た。家に帰ると「お兄ちゃんおかえりー!」と声が聞こえた。

妹は事情を知っているのか知らないのか分からないが、家を出る時は丸っきり違う妹だった。

きっと全てを知った上で、何事もなかったかのように話をしてくれていたんだろう。

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ダチュラ ー虚飾に満ちた躁鬱病ー Yutaka @kinoppy

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