第11話:そんなお困りの貴方に…

その夜、僕は自室のベッドに横たわり考えていた。

将来の選択として父さんの居るカンパニーで働く事になったらどうなるか。

…ウォルスと関わる事になりそうだし、圧力かけてなんだかんだありそう。

僕はそれが嫌だった、理由はウォルスに関わりたくないからだ。

でも、断れば…父さんは仕事を失い、家族が路頭に迷うかも知れない…

僕が犠牲になれば、丸く収まるなら安いのだろうか…答えが出ない。

そんな事を考えていると、ベルベットが僕の顔を覗く。


「どうしたんだ、リヒター?何か悩んでいそうだな?」

「うん、ベルベット…相談だけど…」


僕は今日父さんから言われた事を彼女に説明すると、彼女は首を縦に振り話を聞いてくれた。


「つまり、リヒターは行きたくないのだな?」

「うん、ウォルスと関わりたくないからね」

「そして、お義父さんの仕事も失わせたくないと」

「そうだね、我儘だけど…その通り」

「ふ、任せろ。私に不可能はない」


するとベルベットは何処から取ったのか分からないが彼女の右手に本が出現した。

そしてその本を読みだし、何か調べている様だ…


「その本は?」

「闇魔法の辞書だ」

「そんなのあるの!?」

「当たり前だろ、闇魔法は数が多いからな…これはその分適切で効率的に敵を倒す為の結果だ。致し方ないだろ?」

「そ、そうだね…?」


そう言いながら彼女はページをペラペラと捲り、止まった。


「これが良さそうだな…リヒター、その男の名を教えてくれ」

「ドクトル・ハービィだよ?」

「よし、待っていろ」


そう言って彼女は何か言葉を発し、彼の名を言った。


「よし、終わりだ」

「どんな魔法をかけたの?今回は詠唱してたけど…?」

「ん?あれは詠唱ではないぞ、あれは魔法名を言っただけだぞ?」

「え、そうだったんだ、全く聞き取れなくって…」

「ふふ、あの魔法は今のリヒターには知って欲しくない魔法でな、だから今は秘密だ。だが、安心しろ、1週間で効果が分かるぞ…チャーム」


そう言って彼女は横たわる僕の唇に指をあてる。

その姿は…挑戦的と言うか、挑発的と言うのか…凄く…そそられる…

ベルベットからはスパイシーな匂い…刺激的だけど甘い匂いがする。

あれ…何か…クラクラする…


「さぁ…報酬を貰うぞ…リヒター」


そう言って彼女は僕に覆いかぶさり、口付けをする…

彼女から甘い味を感じ、頭がふわふわしている、気持ちが良い…

唇を離すと、そんな状態の僕を見た彼女は微笑みだす


「リヒター、どうした?さっきから…目がとろけそうだな?」

「ベルベット…」

「安心しろ、私がしっかりと…面倒をみてやるぞ?」


そう言って彼女は服を脱がせてくる、けど…僕は嫌がる事もせず、彼女に流される。

シャツのボタンを上から一個ずつ外していき、彼女は僕の体をまじまじと見つめる


「さぁ…お楽しみの時間だ…リヒター、今からお前を…」


ドゴーン!!!


大きな音を立てながらドアが開いた。

そこに立っていたのは、タオルを体に巻いたレイだ、しかし彼女の顔は般若等と言う生易しい言葉では言い表せない程、怒り狂った顔をしている。


「ベルベット…貴方…何リヒター君に魅了の魔法を使ってるのかしら?」

「見て分からんのか?彼と楽しもうとしているのだが?邪魔をするな」

「邪魔?あら…私は貴方を滅する事が出来る力を持っているのは知ってて言ってるのかしら…?」


レイはいつもの優しい顔を装ってるが、あの学校で断罪してた時の顔と同じだ…

ベルベットは僕の上から降りると彼女に近づいた、まるで戦う気が有るかの様に…


「面白い、やってみろ…白は黒に勝てない事をここで明確にしてやる…!」


彼女達が喧嘩をまた始めたが、僕はふわふわしていて、気持ちよくてそのまま眠ってしまった…

翌朝、家がどうなってしまったのか、母さんから何を言われたか、僕は幾ら払う必要になったのかは、僕は思い出したくはない。

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