国を作るとは何か、町や村を作るとは何か、会社を作るとは何か。
あらゆる状況の中から、トップは何を決断すれば良いか、周りから畏れられ慕われるにはどうすれば良いかを、面白く且つ丁寧に物語へとはめ込んだ上質の奇譚。
物語の始まりは鬼も登場して現実味から離れた展開を見せるが、村の改善点などを見つけて改革に取り組んでいく流れを読み進めていくと、ジワジワと村人のリアルな悩みや喜びがあふれた村づくりの姿が見えてくる。やがては、読み手の自分まで「住んでみたいなぁ」と思わせる魅力に溢れかえっていた。時代背景や登場人物のイメージから、梁山泊の姿にも似た印象を持ったが、個性の強い人物は少なく、村人全員に親しみと共感が持てる綴りっぷりに作者の優しさが垣間見れる。
村と伝説は脈々と受け継がれていく……次の世代を担う村人たちの「続き」も読んでみたくなる素敵な作品★★★