第三話 ①

目が覚めた。


部屋は散らかっている。


椅子は倒れ、壁は剥がれ、服は散乱。


ため息をつきながら立ち上がる。


何の理由もない。


本当にたまたま、目に入ったのが学習机だった。


歩み寄る。


もう机として使うには低すぎる。


机に腰掛けた。


さっき暴れたおかげで、数年ぶりに机の本来の表面を見ることができた。


そこには俺ではない、かつての俺の遺物が残っていた。


貼られたシール、分度器、鉛筆の削りカス。


机とシートの間には一枚の紙が挟まっていた。


記憶が無い。


あいつのだ。


手に取り、読み始める。


ぽろり、ぽろり、


この手紙は誰が書いたのだろう。


いや、あいつなのだろう。


じゃあなんであいつは俺に言わなかったんだろう。


ごめんな。


謝罪。


三年前、父さんが出て行った。


でも悲しくなんてなかった。


俺が夜、帰ってこなくなってから綾と口をきくことがなくなった。


でも悲しくなんてなかった。


昨日、母さんが死んだ。


まだ実感もなかった。


でも


「ごめん」


申し訳なかった。

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僕の中には死体が眠る ゆさゆさ @yusayusa652

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