第11話 中途採用
やっと以前よりもこなす時間が短く済むようになり(いまだに早めに職場に来てはいるが)、みんなが定時に帰れるくらいの仕事のスピードになった。少し自信もついてきていたある日、中途採用で人が入ってきた。その人は同業から転職してきたようで、仕事のノウハウなどは知っているそうだ。
その人の仕事ぶりをみて、どこの部署に配属するか決めるそうで、持ち場を代わるように言われた。初めてその場から離れた。
その仕事ぶりを見て唖然とした。
丁寧、正確、そして身のこなしが美しい。無駄がない。
同じ時間与えられているのに作業が次々とこなされていく。自分の倍以上のスピードで仕上がっていく。
その様子を見ていた上司も驚いたようで、目を見開いていた。
気づくとそのフロアにいた全社員がその作業を見つめていた。
「いやーこんなに仕事ができるとは・・・。」
「来たばかりなのに、さすがエリートは違いますね。」
周りでは様々な称賛の声が出ていた。
作業を見入っていると、背後に上司の気配を感じた。
耳元で、「これほどは求めていないが、もう少し早くできるように願うよ。」
一気に自信が喪失した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます