忘却曲線とは、経過時間と記憶の残り方の相関を示した曲線のこと。
一般的に記憶というものは時間の経過とともに失われていくものです。
だから、忘れたくない記憶は覚えなおさないといけない。復習することで、忘却曲線は忘れ方が緩やかな別の曲線に変化します。
この主人公は、虹を見て「雨上がりの忘却曲線」と呟きます。作中でも言われている通り、それは詩的な表現ではあるけれど。
虹って絶対に2本で出るんですよ。
水溜まりが逆さまに町を映す雨上がりの世界の中では4本か。
4本の忘却曲線。私はここに、絶対に無くしたくない忘れたくない記憶、主人公の執着を見ました。
美しい風景、美しい記憶、その中に巧妙に飾られて隠されている、絶対に失いたくないという激しい執着。
それって恋愛の本質じゃないかなと私は思うのです。
物語と世界観は、光が差す透明な世界観。だけどその中あるのはただ美しいだけの恋愛じゃない。
凄い表現力をもって作られた作品だと思います。是非とも読んでみてください。