医者の見解

リョウ

医者の見解

「先生、僕はあの娘を想うと胸が脈打つんです」僕は悩みを医者に相談した。「鏡を見ると顔が赤くなって、呼吸も荒いんです」

 僕自身この感情が恋だとわかっていたのだが、信頼のおける人間にはっきりと――それは恋だね。――と後押しして欲しかった。

「ふむ」医者は一呼吸置いてから、厳かに言った。「それは重症だね」

「はい」僕は期待した。厳かに、真剣に、――それは恋だ。――と言ってもらえれば、自信もつく。

「じゃあ君、今後はその娘に接近しないように」

「え、何故です?」

「それはアナフィラキシーだよ。接触もせず、想うだけで発症するなんて余程だ。接触なんてしたら、君はショックで死んでしまうよ。そうだ、今から君を入院させよう。そしたら接触の心配はないからね。隔離だ」

 それから僕は、すかさずやってきた職員たちに案内され隔離病棟に入れられた。

 しばらく時間が経って、医者がやってきた。すると僕の体調が悪くなった。医者が言った。

「君、それはトラウマから来るアナフィラキシーだね」

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医者の見解 リョウ @koyo-te

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