第4話 心惹かれた者より
僕がこの街に来てからもう一年がたった。
あれから僕たち二人は好奇心に胸を躍らせ街を散策して回ったり、件の一番大きなお祭りに参加したり、街中の患者を診て回ったりなどして忙しく過ごしていた。
村の皆からの近況を知らせる手紙や、一風変わった仕送りなどにほほを緩ませながら今ではすっかり仲良くなった「黄昏の箱庭」の看板娘シャルと朝食をとっていた。
日課になりつつある彼女との食事は僕の何よりも代えがたい大切な時間だ。
あの時自分の心に素直になることができて本当に良かったと思う。
あれが僕の人生を大きく変えたことはわざわざ書く必要もないことだろう。
さて、ここまで自分の人生を一冊の本にまとめてみたけれど正直まだ書いていないこともある。
風車の街に来るまでの道のりの話や、この一年間での様々な出来事について、そしてこれからの事。
もしまた何かの形で僕の人生を文字にすることがあったら、それ等についてもかけるといいなと思う。
それでは最後に。
君も自分の心に耳を傾けてごらん、心の奥底に隠れた気持ちにほんの少しだけでも気づいてあげられるかもしれない。
そしてそれは君にとても大きなものを与えてくれるかもしれない。実際はどうであれ、ね。
「雄大な大地を源に、風車の街は僕たちを巻き込みながらまた回る。
拒むことはなく包み込みながら、笑顔で今日も回っている。」
君の心にもいつか風車の街が現れることを祈っているよ。
風車の街に心惹かれた者より
風車の街 白と黒のパーカー @shirokuro87
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます