白と黒のパーカー

　来る十二月二十五日......サンタのおじさんは言いました。 「やべぇ、間に合わねぇ」 　現役のサンタさんであるサンタ・ノ・オジサーンは腰を壊し、聖夜の夜にプレゼントをすべての…

蚊の季節到来

　とある事情から両親がいない私を愛してくれたのは先生でした。

「ねぇ、リコち。好きな人、いる？」 　ごめんね、リコち。 　あなたがこの手の質問をすごく嫌っていること、本当はわかってた。 　それでももう抑えられないんだ。こんなにも一方的で独…

とにかく殺す、そして死ぬ。

「ねえ、好きな人......いる？」 何気ないただの質問。 多分会話のきっかけが欲しかったのだろう。 でも、私はこの質問が嫌いだった。 恋愛なんてわからない。 だからこそ軽々し…

小夜時雨、私の好きな言葉。 でもどうして好きになったんだっけ？ 忘れてしまったその記憶、そして折り合いのつけられない関係。 ふとした瞬間にそれらは回り想い出す。

朝、目が覚める。 小鳥は歌い踊りだす。 今日は地獄の月曜日、学校に行かねばなるまい。 はぁっと息を吐けば、白い靄が流れていった。

目の前に積まれたままの生乾きの洗濯物たち。 これらをすべて干してたたんでタンスに入れてくれていたのは君がいたおかげだったんだね。

麦わら帽子のお爺さん、ドンドン叩いて見つめてた。 心配性に歪ませた、くちゃくちゃ笑顔で「安心しなさい」

深夜自宅でネットサーフィン中、妙な怪談話ばかりが集められているサイトにたどり着く。 好奇心で覗いてみた記事の中には、偶然か自宅周辺での出来事。 ただの好奇心。今からでも連絡のつく…

吹く風が冷たい。 そう感じたと同時に胸の中にうずく得体のしれない黒い渦。 それらを吹き飛ばすように頭を振って、僕は自転車のペダルをこぎ始めた。

僕は最近、塾の帰りに少し遠回りして帰ることにハマっている。 家に帰りたくないわけじゃない、でもなんだかもう少し外の空気を吸っていたくて......。

全てを終わらせ、最期の場に臨む。 その時一陣の風が吹きこんだ。 色褪せることのない思い出を携えて。

踏切の前に立ち尽くし、顔を蒼く染め上げる。 些細なミスで会社からクビを切られた俺は、電車の流れる線路へと足を踏み入れた。

俺以外の人類が滅亡してから百年ほどが経った。 詳細はもう覚えていない。

私の趣味は世間に蔓延る様々な噂話や都市伝説の情報を集め、それを調査すること。 最近は外ればかりで、食傷気味だったところへ迷い込んだ話は信ぴょう性が高いと、意気揚々と調査するのだっ…

明日の朝までに終わらせなければならない仕事を片付け、私はコーヒーを片手にソファへと腰掛ける。 楽しみにしている雑誌を読んでいるところに、一通のメールが届いた。 「猫になってみませ…

私はお歌を歌うのが好きなの。 あなたは何が好きかしら？

それは何も持ってはいなかった。 何も知ることはなく、また何も教えられることはなかった。

探偵小説は好きだけれど探偵ものを書けるような豊富な知識などないと、逆に開き直ってネタ盛り込みで作り上げた何かです。 文字を書くのって楽しい、ただその意志を貫いたのです。 続くかど…

裏設定として、この世界は天気予報が外れることのない絶対的なもので「予報外れ」は異常な事態というものがありますが、そんなものは一切無視してくれてかまいません。 内容でそこに触れてい…

あなたが所持しているその武器又は道具にも壮大な物語が存在していたのかも知れません。 これはそんな、語られることのない思い出の断片を書き記す物語です。

今から丁度百年前、人類は夢を失った。

そこにはとても大きな風車があった。 でもそれはもう過去の話、今の自分には関係ない。 そんな風に割り切ったつもりでいた。 （本当に？） そんな僕に幼い頃の僕は問いかける。 （本当に…

　私は醜いらしい。 　何故なら鏡に映らないから。 　 　美しいものしか見る事の出来ない病を患った少女に待つのは希望か。絶望か。

　私は自分の死の形を考えることが趣味だった。 　つまらない平凡な死に方は嫌い、どうせ死ぬのならもっと特別な死に方がいい。 　こんな話、幼馴染のあいつなら楽しんで聞いてくれるよなぁ…

　崖側にポツリと建つ荒屋に住む双子の少女は、頭が一つで身体が二つだった。 　それでも一生懸命に生きてきた二人の運命は少しずつ狂っていく。

　日々を無気力に生きていた僕はその日余命宣告を受ける。空白に満たされた心に残ったのは在りし日の思い出だけだった。 　過去に一度だけ出会ったことのある湖畔の少女へ再び逢うために、僕…