第39話 連絡は突然に
家に帰ってからも彩香さんと相良さんの会話を思い出していた。
守りたい……?
どういうことだろう。
そして私はどうしたら……。
考えたって私にできることなんてない。
だけど、彩香さんや相良さんに迷惑をかけないように目の前のことをしっかりやらないと。
私がミスをすれば、きっと彩香さんや相良さんが怒られる。
それに今日の朝礼の後に黒石部長に相良さんが呼び出されたのも気になるし。呼び出されたときの相良さんが私に向けた冷たい視線を思い出す……。
考えるだけで頭が痛い……。
私はベッドに横たわり、そのまま目を閉じた。
***
目が覚めて、ふとスマホに目をやるとメールが来ていた。
奈那からの報告メールかな……。
気がのらないままメールを開いた。
「美愛ちゃん、仕事忙しそうだけど大丈夫かな? 俺も下旬になったら仕事落ち着くから、お礼させてね」
イチくんからだ……。
嬉しい予想外にまた胸は高鳴る。
嬉しいけれど、やっぱり
でも、イチくんと2人でまた会える。
それだけで頑張ろうと思える。
「ありがとう。私も下旬なら少し落ち着いてると思う。でもお礼とか本当に気にしないでね」
私は返信した。
その瞬間、またメールが届いた。
今度こそ奈那……?
開いてみるとまた予想外の相手からだった。
「from:水嶋蒼斗」
蒼斗くん……?
「久しぶり! 美愛ちゃん忙しそうだけど元気かな? 社会人になる前にどこか遊びに行きたいなって思って、美愛ちゃん空いてる日あるかな?」
これまた予想外の内容だったが、社会人になる前に遊ぼうという蒼斗くんの気持ちもわかる気がする。
断る理由なんてない。
「メールありがとう。ちょうど息抜きしたかったところだったの。週末なら空いてるんだけどどうかな?」
蒼斗くんにも返信した。
営業部に異動してから毎日が張りつめていて、逃げ場がないような窮屈さを感じていた。
休みの日くらい、仕事のことを考えずに過ごしたい。
「それなら今度の土曜日13時に◯◯駅でどうかな?」
蒼斗くんからの返信は早かった。
◯◯駅って……思いっきりデートスポットじゃん!
蒼斗くんからの返信に心の中でツッコミを入れたが、考えてみれば例え男友達とでも、久しく2人きりでこういうデートらしい場所なんて行ってなかった。
「うん。土曜日、◯◯駅に13時ね。楽しみにしてる」
「俺も楽しみにしてるね!」
蒼斗くんからの返信はやっぱり早かった。
仕事のことが何も解決したわけではないけれど、今の私には仕事は仕事、プライベートはプライベート、と割りきって過ごすことも大切かもしれない。
蒼斗くんが残り少ない大学生活を思いっきり楽しもうとしているみたいに、私も休みの日は思いっきり楽しんで過ごそう。
そう誓うと、私は仕事に行く支度をした。
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