第66話 失敗の意味

 「後悔先に立たず」という言葉がある。この言葉が広く知られているのは、世の中の失敗がそれだけ多いことを示している。「人間は機械と違い失敗するようにできている」とうそぶいても、失敗を帳消しにはできない。

 失敗といってもさまざまである。「友人との待ち合わせに五分遅れた」等の小さなものから「○○試験に合格できなかった」等の深刻なものまで、ひとくくりにして語るのは難しい。しかし、失敗という点では同じである。

 失敗した時に、まず考えるのが原因であろう。「なぜ失敗したのか」「何がいけなかったのか」……。すべての結果には原因があることを考えれば、失敗を防ぐ方法として必要なのかもしれない。

 「○○の法則」などというハウツー本は多い。原因と結果について考させてくれる内容だ。共通して書かれているのは、失敗しないために原因をなくすことではない。むしろ、成功するために何をするかが大切らしい。

 原因を追求して得られる反省は、「次は○○しないようにしよう」。この「ない」という否定語は、人の心を萎縮させる。失敗から学んだことを肯定的にとらえた方が、その後、のびのびと行動できる。

 失敗は常にある。用心はもちろん大切。しかし、もっと大切なのは、「この失敗のおかげで視野が広がった」という前向きの考え方だ。そんな人の後ろには、きっと誰よりも「幅の広い道」が広がっている。

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