第24話 常識
集団の中で、当然身に付いているべきことが「常識」。集団が変われば、当然「常識」は変わる。でも、違う「常識」の者どうしがぶつかると、自分が正しいと思い込んでいる分、ろくなことがない。
昔から、学校の先生は非常識な人が多いと言われてきた。大学卒業後すぐに教壇に立ち、「先生」と持ち上げられているからだという。でも、それを責める人たちの「常識」は、果たして大丈夫なのか。
意見が言える日本人を育てるために中高生向きのディベート選手権が創設されたのは、一九九七年。彼らの世代が保護者となった今、モンスターペアレントも増えた。この成果は、教育界にとって皮肉でしかない。
ワイドショーでは、何か事件があると「検証」する。検証は本来、警察の仕事だ。でも、最近は警察発表の前に「記者会見」を要求し、独自に「検証」を進める。世の中の「常識」を代表しているような態度だ。
マスコミの「常識」や「正義」への批判はあるが、批判に応えて変わったとは思わない。一方、先生たちは確実に変わった。それに伴って自己規制を強いられ、ブラック企業と呼ばれる学校で働こうという若者も減った。
違う「常識」にてらして、自らの「常識」を変える社会は健全だ。どこかの知事が民間から呼んだ校長は、いつの間にかいなくなった。周囲のモンスターに鍛えられた先生には、民間の「常識」の助けはもういらない。
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