第2話 振り向けない幼馴染の話
未央は苦悩している。この何とも言えない想いと、どうしようもない関係に。
ほんと何なの?駿汰のやつ。朝から私の心臓を破裂させる気か?いくら幼馴染だからって毎日迎えに来てくれるなんて何なの?しかも昨日よりも朝寒かったのに二十分も待つなんて優しすぎじゃねーの?じゃなかった、頭おかしいだろどう考えても。しかもなに私の髪の毛束ねてくれちゃってんの?ポニテだよ、ポニテ。しかも駿汰のくせにかなり上手いし。
「あーもうイライラする!」
朝のことを思い出す度イライラが募る。もちろん、私に対してだ。駿汰は今もこんな私に世話を焼いてくれる。私みたいなやつと一緒にいたら青春なんてできない、恋なんてもっての外なのに・・・。せめて、お礼ぐらいちゃんと言えよ!と毎度のことながら思う。
「みっつん、悩みごと?すんごい顔してる。ボクでよければ相談に乗るよ?」
「あ、
「なんかねー、人一人ぐらい射殺しそうな目をしてたよー。大方、向こうで震えてるしゅんくんと何かあったんだと思うけど」
与一が指さす方を向くと、確かに駿汰が震えていた。
もしかして私、駿汰を困らせてる?いや、絶対に迷惑をかけている。あんな態度をとっている私と関わりたいはずがない。けど、どうしたらいいのー⁉・・・与一は邪魔してきそうだし、どっか行こうかな。
「いや、別に大したことじゃないって。じゃ、ちょっと席外すね」
「あーどうしようかなー。ボクはどうやったらみっつんがしゅんくんと仲直りできるか知ってるんだけどなあ。本人が別に大したことないって言うなら教えなくてもいいかなー」
「与一、それは本当か?」
「当たり前だよー。ボクは基本、嘘はつかないよ」
「そうか。少し話がしたいからこっちに来てくれえないか?」
そう言って私は与一の手を引いて(半ば無理やり)西階段に連れていく。別に?駿汰
と話せなくなるのが嫌とかではないし?ただ単に迷惑をかけたからちょーっと謝っておこうっていうだけだし。
けど、・・・この行動は少しまずかったかも。与一の顔が整いすぎて、なんというか・・・目立つ。でも大丈夫!西階段三階と四階の間の踊り場は誰一人として人が来ない!なぜか音もそんなに響かない!そんな最高の場所(私調べ)だ。
「じゃあ、まずはボクに事情を聞かせてもらえない?」
「悪いのはこのポニテなんだけどね・・・」
「なるほど、どうせみっつんのことだから髪を整えてもらったけど、振り向いてお礼を言うことが出来なくてそのまま顔が合わせられないってところか」
「まだほぼ何も言ってないのに何を勝手な想像を・・・まあ、合ってるんだけどね」
はは、っと笑いながら与一の顔色をうかがう。割と怖い顔をしていた。
「このヘタレ!人でなし!お礼をいうこともできないの!?」
なんか急に怒られた。与一、自分の考えをしっかり持ってる人だから、こういうことは割と怒ってくるんだよね。
けどしょうがないじゃん。駿汰の方を振り向こうとすると、急に顔が熱くなって心臓がバクバクいうんだもん!
幼馴染が振り向いてくれない話 瞭明 @ryoumei
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