物心がつくかつかないかという4歳。私の記憶の中から全く消えていたのに、幼稚園に通い始めた頃の気持ちや絵本にワクワクしたことや、初めてホコリが舞うところを見て雪のように綺麗と思ったことを思い出しました。こどもは、モヤっとしてふんわりしたファンタジーの中にいるけど、ちゃんと1人の人として生きている。そんなこどもたちと同じ目線になって見守ってあげたいなと思う作品。
すこしだけ問題を抱えた保育園児の男の子の、ちいさな成長物語。見えないお友達(イマジナリーフレンド)のちょっとだけミステリアスな部分も、まあそういうこともあるのかなと自然に物語に溶け込んで作品世界を作り上げています。保母さんの、ちゃんと秘密を守り通してあげる芯の強さ、見えないお友達にもちゃんと最後まで読み聞かせをしてあげるやさしさが、とてもいいです。子どもに対する恩寵が、春の日向のように心地よい作品でした。
私がこのクラスを受け持った日から、その子がショルダーバッグを決して手放さない事に気づいていた。私は彼に絵本を読んであげる。読みやすい文体がいいです。