第3話 悪

 8月に入り、暑さはピークを迎えた。樹は高輪ゲートウェイ周辺を散策した。🚉

 泉岳寺駅

 当駅から300m程に位置する都営地下鉄浅草線・京急本線の駅。当駅への連絡通路等はなく、乗り換えの際には道路を利用する必要がある。都営浅草線のみ定期券での連絡運輸がある。


 泉岳寺駅から少し歩くと泉岳寺に到着→高野山東京別院→東禅寺→高輪神社→高輪皇族邸(旧高松宮邸)→高輪大木戸跡→柴田錬三郎旧居→国道15号(第一京浜)→伊皿子坂→桂坂→洞坂→……👞革靴がボロボロだ。👟スニーカーを手に買った。久々にたくさん歩いて足が痛い。蚊に喰われたのか、腕が赤くプックラしてた。キンカンかムヒがほしい。

  

 入道雲がモクモクと出ており、逃げ水の向こうから美女がやってくる。生足に樹はうっとりした。日射病になりそうだったので甘味処に入ってラムネを飲んだ。汗がスーッと引いていく。店から出ると、北の空が灰色に変わり、生暖かい風が吹いてきた。夕立が来そうだ。


 辺見雅樹は高輪ゲートウェイ駅のホームに立っていた。妻の保奈美が死んだのは私のせいかも知れない。妻は列車のトイレで死体で見つかった。 


 2011年8月中旬に夕凪看護福祉大学女子柔道部は三泊四日の合宿中に東京都八王子市のホテルで女子部員4人と辺見雅樹コーチと男性コーチらが参加していた。同年8月19日から8月20日にかけて辺見コーチが関係者と飲食店やカラオケボックスで19歳だった女子部員、三村睦月へ酒を飲ませ、「ぐったりして一切動きの無い状態であり、ほとんど意識の無い状態」の睦月を背中に担いでホテルの部屋に戻り二人きりになった際に性行為を行った。


 2011年11月8日、夕凪看護福祉大学女子柔道部において辺見コーチによる女子部員へのセクハラ疑惑がマスメディアで報じられる。2011年11月29日、夕凪看護福祉大学は辺見コーチのセクハラ行為に関する調査結果について、未成年女子部員の飲酒を黙認し、その後セクハラ行為を行ったとし、辺見に対し懲戒解雇処分を発表した。

 妻を殺したのは睦月なんじゃないか?そんな風に辺見は思っていた。

 妻は、顔や首、背中などを刺されていた。


 夕凪病院で感染患者が死亡後に担当看護師だった三村睦月が感染したことが2月16日に発覚し、また他の入院患者への感染が発覚し、2月17日より外来診療を休診とした。2月18日には病院の職員や関係者や家族が日常生活で差別的な扱いを受けていると報告され、睦月が子供を保育施設に預けようとしたところ「しばらくは遠慮してもらえないか」と受け入れを拒否されたり、睦月の家族が勤務する会社で出勤しないよう求められたり、他の医療機関からの医師の派遣や患者の転院も断られるなどした。3月3日、夕凪病院はかかりつけ患者に限って一部再開した。

『病原菌、近寄らないで!』

『三村菌が感染るじゃないの!』

 先輩や同僚から辛辣な言葉を投げかけられ、睦月は職場に通えなくなった。そして、辺見への殺意が急上昇した。奴のせいで私は男性恐怖症に陥った。保奈美を殺したときに睦月は微笑んだ。

 すぐ、アンタを楽にしてあげる。

 睦月は男の背中を押した!

 

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高輪ゲートウェイ殺人事件 鷹山トシキ @1982

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