「DARK STYLE」

低迷アクション

第1話

 


「一体、どうしたって言うんだ?あの子等は…?」


「もう、終わりか…」

 

戒厳令下の首都圏にあるバーで人々の嘆息に悲痛な声が重なる。緊急事態宣言が出されて不要不急の外出が禁止されている最中だが、孤独や絶望を感じる人々は皆、心の拠り所を求めて集まる。


だが、自分は違う。ただ、酒を飲みたいだけだ。隠れ家にある冷蔵庫の食料品及び、飲料品、特に酒はだいぶ前に無くなった。


平素では、友愛を謳う人間共も、混沌とした非常時には狂喜を見せ、我さきにと自己を守る事を優先する。


食糧と生きる事に必要なモノの買い占めを偉い奴等は禁止した。人々は守らなかった。

当然だ。政府の奴等は自分が常に安全な所に身を置いてから、それ以外の奴等に指示を下すものだ。


外出を控える全世界の警告を…人々は守らなかった。我先に避難所を探し、遅れる弱者を見捨てた。ここにいるのは、残され、行き場がなく、暗いバーにたむろする者達…


絶対に安心、安全を唱えた政府は、最早、用済みだ。世界は無秩序を謳歌し、多くの人が死ぬ事が予想された。


その通りに行かなかったのは…


映像を中継するレポーターの声が暗い室内にうるさいくらいに反響していく。


「かつて、我々が予想に夢想した終末の敵は、巨大な怪獣や宇宙人達の圧倒的な都市破壊でした。ですが、それは間違っていました。原因不明の疫病による世界的パンデミック…


害虫による農作物の大量喪失、飢餓、自然災害…そして極めつけは天空から現れた

“巨大な黒い柱”…


専門家によれば、ゆっくりと下降するあれが、地面に到達した瞬間、巨大なエネルギー爆発が起こり、地球は完全に消滅するとの事です。それに阻止するため、軍た…いえ、彼等はもう役に立ちませんね…正義のヒーローに、ヒロイン達が戦っています。我々が想像した通りに…」


都市一つ分の大きさの黒い柱が大気圏外からゆっくりと降りてきた時、疲弊しきった人類は真の意味での絶望を味わった。


軍がすぐに世界中から核ミサイルをぶつけようとスタンバイしたが、タイミング良く天から響いた声によれば(キチンと、世界中全ての国に理解できる言語で…)


「無駄な抵抗をするだけ、この柱を降ろすスピードを上げる」


と言われ、攻撃を封じられた。滅びがゆっくり落ちてくるのを、ただ、待てと言う最大の絶望を与えられた訳だ。


それでも抗いを辞めなかったのが、“彼等”だ。春からの番組改編?いや、失礼…悪の組織や異界からの侵略者達を討伐した変身?スーパーヒーロー、変身ヒロインが世界中から集まり、柱に向かって攻撃を仕掛けていた。


ある変身ヒロインは、その華麗な衣装をまばゆく輝かせ、仲間と一緒に光弾や鋭い一撃を与え、黒いスーツに装甲服、異形の体を纏ったヒーロー達は、その肉体を駆使し、柱を止めようと黒い塊に取りついている。


正義を信じ、人々を守る、人類存亡をかけた、正に負けられない戦いに、その身を削るのだ。


こんな…ただ、怯え、自己の安全だけを考える糞ッタレ共のためにだ…

コップに残った酒を飲み干し、吐き捨てる。


「守る価値もねぇっ!馬鹿どもが…」



 バーを出て、ゴミや紙くずが舞う無人の通りをゆっくり歩く。その歩調に合わせるようにビルの屋上や通りを追随する影が増え始める。


昔のツテの不確かすぎる情報によれば、相手は“神”に近い存在らしい。まぁ、あれだけ、

どデカい柱を用意出来るのは、それくらいの連中だろう。


人智を超えた能力を持つヒーロー達の存在のおかげで、誰かがやってくれる事、

他人任せに全力な人間共が嘆くのは、最早、神レベルの彼女、彼等達の力を持ってしてでも、黒い柱の進行を止められないと言う事だ。


勿論、それ以上の力がアレにはあると考えるのが、常識的な判断だ。所謂、セ・オ・リ・ー通りならだ。


人通りはないが、自分のような日陰者は習慣から抜けきれない事を再自覚する。身を隠すように、裏通りへ歩みを向け、しばらく進むと、隣に並んだ黒い影が声をかけてくる。


「“カナリヤ”、目標の特定及び選定は完了!連中は要塞並みの守りだぜ?」


かつての呼び名は少し、こそばゆい。引退してからもう3カ月は経つ。奇跡的に生き永らえたとは言え…敗残者の立場だが、隣の影は気にする様子もない。考えてみれば、連中は外国産、基本、やられても、行先は精神病院か刑務所の奴等…負ければ、即爆死か死亡と言う

我が国の風習は理解できないだろう。


「OK、頭数は揃ってるな、ご同輩?失敗は出来ねぇぞ?」


「失敗?冗談は寝て言えよ」


「フフッ、それもそうだな」


低く笑う。この終末で、軽口を叩けるのは、常人では無理だ。そのまま進む先、路地裏の

終点には同じように佇む影達がこちらの到着を待っていた。準備はもう整った。後は…


「さて、行くとするか?」


カナリヤの笑い声に全員が頷いた…



 目的地までは仲間の特殊輸送ヘリを使う。ネット報道によれば、依然として、正義の連中達は交戦中だが、柱は降下を続けており、夜明けまでに世界は終わるらしい。


夜間と言う事もあり、カナリヤ達の行動を阻むモノはない。ヘリはステルス装甲に覆われ、レーダーに映らない。最も、世界中が黒い柱に夢中でこちらに注意を払う奴など誰もいないか?


灯火管制で明かり一つない市街を抜け、山間部の化学工場跡地に到着したヘリは降下せず、

荷物のように自身達の身を夜空に躍らせる。


改造手術を受けた奴に、突然変異は良い。だが、後は常人、荒れ放題の地面に着地するのは楽じゃない。再集合したメンバーは少し数が減っていたが、時間はない。錆びついた倉庫街の中心を目指す。


「無人の廃墟にしちゃ、整備が行き届いてんな。場所は間違いねぇっ」


楽しそうな声を出す仲間の1人は、もう変装していた顔が崩れ始めている。しかし、

他の奴等も似たようなもんだ。変装の必要がないカナリヤ達としては、侵入する前から攻撃されそうでヒヤヒヤだが…‥まぁ、何とかなるだろう。


やがて、一つの工場跡地で全員の足が止まる。


「とりあえず、インターホンは何処かな?」


軽口を叩く仲間の頭に赤い光点が灯った。気が付けば、周りを黒い迷彩服で固めた兵士達が囲む。


「おいでなすったぞ?」


「ハッハ~、はえー、はえー」


向けられた数十挺の自動小銃をモノともせず、笑う集団に兵隊達は無言で頷き合うと、おもむろに一番最初に赤い光を付けた1人の頭を撃ち抜く。


ゆっくり崩れ落ちた奴さんは、しばらく動かなかったが、すぐに笑い声を上げ、不自然な動作で立ち上がる。他の奴等も体を揺らし始めた。いよいよ、ショータイムの始まりだ。


「コイツ等…まさか…」


その、まさかだ。カナリヤが隠し持った銃を出す前に、顔を引き破り、異形の…本来の姿を露わにした同胞達が兵士達を血祭に上げていった…



 「オイ、久しぶりに暴れられるなぁっ、そうだろ?カナリヤ!」


笑った、いや、多分笑ったように顔を揺らした甲殻類の人型怪人が楽しそうに、肉片のついたハサミを揺らす。


銃弾を撃ち込むカナリヤとて同様だ。だが、本来なら組む予定のなかった仲間達、向こうは

人外、こっちは少し道を外れたけど、一応人間の人外…


戦闘力も耐久力も段違い…現にカナリヤのご同輩達の何人かは相手の放つ銃弾に倒れている。先頭は怪人や怪獣連中に任せるのが得策のようだ。


「どうでもいいけどっ、エビちゃん(ザリガニベースだ!とすぐに反論される)失礼、目的はきちんとを忘れるな?殺戮メインなら、そこらの人間を片付ければいい。だが、

今回は違う…だろ?」


「オーライ、わかってるよ」


実際、そう、長くはかからないだろう。襲撃グループの数に反して、建物内の部屋数は広くない。問題なく、進めばだ。


人間以外の悲鳴と固いモノが砕ける音に一瞬の危惧が現実化した。


やがて、静かになった室内からゆっくり歩いてきたのは、1人の警備兵…体は味方の肉片で色濃く装飾されている。


「何だ?皆、死んだのかよ…相手にも能力者がいたのか?それともヒーロー連中?」


怒りとも悲しみとも取れない微妙な声量でザリガニ怪人がこちらに尋ねる。

それに対し、カナリヤはゆっくり首を横に振る。ここを守ってる奴等は恐らく滅亡連中の

協力者→神様(らしいし、昨今の世じゃ、日常茶飯事だが)を信じて、


連中の組み立てた、下らない小悪党じみた企みに手を貸した人間…特殊部隊上がりはいるかもしれないが、これは違う…カナリヤは低く呟く。


「どうやら、連中は本当の神様らしいな…ドラマとかで見た事ない?神とか天使が人間に

憑依する行為…代行者とか代弁者って言うらしい…」


こちらの声に相手は血塗れの顔でゆっくり頷いた…



 「お前達は見たところ、日陰を歩く者…今、無駄な努力をしている正義の連中とは対をなす存在…何故、連中を助けるような真似をする?」


「おたく等がやる、人類滅亡とやらをされると俺等、おまんまが喰えなくて日干しになっちまうんでね」


「愚かな…」


兵士に宿った神?(まぁ、めんどくさいから、それでいいだろう)が低く笑うのと同時にザリガニ怪人が飛びかかる。瞬間、神が手を翳すと、強烈な光が怪人の全身を包む。


決着は一瞬ですんだ。頭だけのザリガニが、カナリヤの足元に転がる。


「畜生、やられちまったな…」


頭だけの怪人がこちらに話しかける。この状態で、まだ生きてるのが凄い。


「後は頼むぜ?兄弟…」


「ああ…任せとけよ」


頷くカナリヤに、ザリガニはギョロ目をウィンクさせた後、動かなくなった。


「これで、残りはお前だけだな…愚かな事をしたモノだ」


神の憐みを含んだ声に、静かに頷くカナリヤは両手に携えた銃を捨てる。最先端の技術を集めた怪人を一瞬で葬れる敵に銃弾は効かないだろう。ある一定の場面では…


「人間は本当に愚かだ。自分で自分の首を絞め続け、あげく、滅ぶとわかれば、慌てて他に縋り、それも無理とわかれば、他を批判し、いじけて指を噛む。


私も間違えたモノだ。このような出来の悪い粗悪品を作るとは…だが、それも過ぎた事…

この再編のための破壊は予定通り進む。今は我が所業をゆっくりと反省し、再びの創生に…」


「寝ぼけて、勝手に自演乙の反省モードかましてんじゃねぇぞ?タコが!」


カナリヤの怒鳴り声に神の言葉が止まる。そのまま、ゆっくりと神に近づき、怒鳴りを継続する。


「俺がまだ、まともだった餓鬼(ガキ)の頃に聞いたぞ?お前は自分の姿に合わせて、俺等を作ったんだろうが?何を今さらっ…!?テメェの性癖歪みを子供のせいにすんなや?


それにあれだろ?人間共に絶望した訳じゃねぇよな?ビビったんだろ?自分に近い、いや、

それ以上の能力者に神に匹敵する柔肌ねーちゃんとかロリっ娘の登場でさ?


あの柱だって、連中が本気出せばイチコロ!


だから、こんなチンケな悪党が考えるような企みを実行した。アンタの後ろの扉の中に

その答えがある。違うってんなら…」


喋りの途中で、自身の首が締め上げられ、そのまま中に浮く。手を上げている神の表情に変化はないが、充分な怒りが首を潰さんとする握力を通し、伝わってくる。


「本当に愚かだ。お前達は…私が臆するとでも?ならば、見せてやる。本当に愚かなのは

お前達が招いた事だという証拠をな!」


血濡れの迷彩服からスマホを出した神がこちらに翳す。バーで見た中継映像の続きだ。

柱を止めようと奮闘する正義の連中の前に人が集まっている。彼等の前には石や瓦礫がうず高く積み上げられていた。


「今、再び、天からのメッセージが私達に届けられました。内容は“お前達にチャンスを与えます。今、柱を止めようとする愚か者達に石を投げなさい、さすれば天国への…”馬鹿みたい、こんなの、こんなの…」


音声はそこで途切れ、後は中継者の嗚咽と泣き声が伝わってくる。まぁ、熱心な信者としてはショックだろう。神がこんな小・悪・党に成り下がった訳だからな。でも、正直、期待しすぎっていうもんだろう。そもそもは自分が困った時に助けてくれるなんて、都合が良すぎる。そりゃ…


「神だって、滅ぼしたくなる。全く、その通りだ。君の考えてる通りだ。見たまえ、彼等の

浅ましさを、君達、悪でさえ立ち上がる状況で、なお助かろうと、瓦礫と石を集めた。


そして、実行、これが証拠…愚かな人間さ」


「心を読むなよ、だが、あいつ等の誰1人、投石を始めてないぜ?」


「今に始める。一緒に見よう。そうすればわかる。」


神の声に呼応するように、集まった群衆の1人が襲る襲ると言った感じで石を持つ。それに続くように1人、また1人が石を持ち始める。だが、誰も投げない。皆、合図を待ってる。


自分がやりたくない。でも、やらなければいけない。だから、キッカケを、誰かが投げれば自分も投げる。責任を他人になすりつける、いつもの“大衆の手合い”を待っているのだ。


その光景を正義の連中は肩越しに見ている。だが、動きを止めない。何故なら、それは…


(信じてるからだろうな…全く、馬鹿を守るのは同じ馬鹿という事だ)


カナリヤの考えに神は頷いた後、口を開く。勝利の余裕を充分に響かせている。


「そこまでわかっている君が、何故?戦いに来た?自殺願望者でも、そこらに転がっている戦闘狂でもない、何故だ?」


喋りながら、スマホを見せ続けていた。映像には石を持つ群れを掻き分け、1人の少年が現れ、同じように石を持っている姿が流れている。


「ハッ、逆に尋ね返せば、何故?そんな事が気になる?俺達はお前等の口調で言えば、愚かな大衆の中のバグ中のバグだろ?」


大き目の石を持った少年は戸惑う大人たちを他所に柱に向かっていく。


「気になるな。間違いを犯さないために不要な要素は作らないようにしたいからね」


正義の、彼と同い年くらいの変身ヒロイン達の顔に暗い影がさす。そこに近づく少年…


「なるほど、勉強熱心は感心だな。じゃぁ、答えよう。俺が戦うのは、それがSTYLEだ。スタイル、わかる?人の道から外れたのは無法だが、それなりに寄り添い?肩を預ける場所があるから戦える。


俺達は外れたけど、ちゃんとした理屈が、正しい道が社会にあるから、安心して悪い事も、ヒドイ事も出来るってね。そりゃ、どうしようもない連中さ。ちょっとの異常事態、アンタの思惑通りにパニックし、最後は縋るため、今まで縋っていた存在に石を投げようとする。救いがたく弱い連中だ…」


神が低く笑うのと映像の少年が腕を上げるのは同時だった。


「でもな…絶対にそうとは言い切れない。自己保身の世界でも、あの正義の奴等のように

能力がなくたって、立ち上がる奴等がいる。勝てる訳ねぇのにな。俺等はそれを上手に食い物にするのが生業、スタイルだ。だから、この戦い、奴等が負ける訳にいかねぇし、困るんだ。こちらとしてもな。正に負けられない戦いだよ」


「残念だが、それは間違っている。どうやら、お前には、完全な敗北の光景を見せないと駄目らしいな。さぁ、まもなくショウタイムだ」


少年が石を投げる。放物線を描いたそれは地面に迫った柱に当たり、鈍く固い音が響いた。

静まり返った群衆に、彼は振り返り、不思議そうに言葉を発した。


「おじさん達、何してるの?このために集めたんでしょ?」


彼の声に、静まり返った群衆は怒号を上げ、走り出す。皆が柱に向かって石を投げ、正義の味方達に呼応していく。


口をあんぐり開けた顔の神(いや、少し嬉しそうか?)に押し殺した笑いを込めるように

ゆっくり言葉を押し込める。


「一体、何を期待した?人間は何処までも救いがない?ちがうね、お前がベースだろ?もっと自信を持てよ。俺達みたいにチンケな悪党なんかになるな」


カナリヤの声に神の手の力が少し緩む。映像に夢中でこっちに気づいていない。

医者は無事、処置を終えたと言うから、安心だが…万・が・一・が起きない事を期待しよう。


気を取り直したように、こちらに向き直った神が再び力を込め、血濡れの笑顔を見せる。


「多少、予想外の出来事が起きた事は認めよう。だが、プランは変わらない。こちらには切り札がある。それを妨げる君は今死ぬ。最後に言いたい事はあるかね?カナリヤ君?」


「ある!尊敬する先人の言葉を借り、教えよう!神を…我がSTYLE、第1のルール、

命を捧げる覚悟がないなら、戦いなどするな!カナリヤは何の略かわかるか?


か・な・り・ヤ・バ・い!だ、おわかり?GOD?」


言葉と同時に自身に今まで経験した事のない激痛が走り、体から火花が散る。腹に仕込んだ

脳髄直結作動式徹甲弾がカナリヤの腹を突き破り、神の素体となった兵士の頭を粉砕する。


ゆっくり崩れ落ちる相手を踏み越え、息も絶え絶えな身体を引き摺り、目的の扉を開けた。


中にいたのは1人の少女…神に匹敵する力を持った魔法少女の妹…コイツを人質にとるという古風小悪党バリの単純さにキレたのが、そもそもの襲撃理由…


扉ごしに聞こえていた騒動と腹から色々撒き散らしたカナリヤに可愛いお眼目を震わせた彼女に無言でスマホを差し出す。神が次なる一手(例えば、死体に憑依するとか)を繰り出す前に解決しなければいけない。血交じりの肺胞を吐き出し、言葉を選び、選び、かつ早急に要件を伝える。


「細けぇ事は聞くな、今、お前のねーちゃんに繫がるから、ただ、一言、無事って言え。

それで全て解決。お家に帰れる。わかったな?」


震えながら頷く少女に踵を返す。彼女の涙&嬉しそうな声を聞き、解決を確信、そのまま足を引き摺る自分に予想外の台詞が聞こえ、足を止めた。


「怪我してる。おじさん…手当しなきゃ」


(全く、コイツ等は…)


振り返ればポケットからハンカチ(絶対、治らない事が保証できる)を取り出した少女が

こちらに差し出す。ため息一つ、少し乱暴に引っ手繰り、外に出た…


 

朝焼けが見え始めた空を必要以上に煌めかせた光が柱に向かっていくのが見えた。この分なら、柱が粉々に吹き飛ぶのは時間の問題だ。これで終わる。全て元通り…


硬い地面に膝をつき、呟く。


「勝ったぜ…」


残念だが、自分は見れそうにない。別に良い…正義に味方した悪として、生き恥を晒すのはSTYLEじゃない。寝転がる自身の耳に幽かに聞こえてくるサイレンは先程の少女が呼んだ救急車ではなく、


警察である事を、カナリヤは切に願い、ゆっくり目を閉じた…(終)


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