月にまつわる様々から未来を詠むことの出来る一族〈月詠み師〉。これは彼らとその周囲を取り巻く人々の物語である。
この物語は驚く程に生活の匂いがする。その土地に生きている人々の息づかいさえ感じるような、温かな異国情緒を感じられる。特に主人公がとある家で日々を過ごす描写は心地よく、狩りの場面は荘厳で静かな世界に息をするのも忘れそうになります。長居してしまう理由がわかるほど、心地よい時間が流れるのです。
だけど、この物語はそれだけではなく、胸にせまるような残酷さも書いている。どうにもならない現実をそれでも必死に生きた人間の物語が確かな文章で紡がれている。
これは〈月詠み師〉ムウだけではない、ラダンの物語でもある。そして、流れる時代を生きた人間の物語でもある。
一人一人丁寧に描かれた物語の行く末を見守りたい作品です。
始めて拝見した時から、文章一つ一つの表現に驚かされ、いろいろと参考にさせて頂いている良作です。
読み上げる文章のいずれでも、まぶたを閉じれば情景がありありと浮かんで来る言葉の数々。あたかもその幻想世界を自分が旅しているかの錯覚に囚われます。
さらに、登場人物がそこで生活している様を、小さな表現の至る所から感じられ、派手なバトルや激しい会話の応酬などがなくても浸れる名作と言わせて頂きます。
昨今の異世界ファンタジーのノリへついて行けない方や、リアルとは違う幻想世界を主人公と共に冒険していきたいと言う読者様必見!
ぜひこの作品を、マイページへと追加しましょう!