第2話 突然の運命
「今までありがとう。。。ずっと一緒にいて守れなくてごめんね。。。」
涙ぐむ初恋の人の顔が忘れられずにぼくは中学生になった。初恋の人は今何をしているのか考えながら校庭を眺めていた。ただ、ぼくはまた初恋の人と会うことができると思っていた。
初恋の人のお父さんの職業は大工でお母さんは近くのスーパーでパートをしていた。お父さんは土曜日に小学校のサッカーチームでコーチとしても働いていた。ぼくはそのチームに3年間所属していたのでお父さんとも話をしていた。お母さんとも近所で会うこと多く会った時には必ずジュースを買ってくれる優しい人の印象があった。ぼくと初恋の人が付き合っていたのは両親には知られているため、ものすごくぼくに優しく接してくれた。そんな日々が永遠に続くとぼくは思っていた。
小学6年の冬から初恋の人のお父さんがコーチとして土曜日のグラウンドに来なくなった。ぼくは初恋の人に問いかけた
「最近コーチ来てくれないけど、お仕事忙しいの?」
初恋の人は言葉にはせず首を縦に振った。ぼくはなんで言葉で伝えてくれないのか疑問にも思わず他愛もない話を話していた。ぼくはコーチが仕事で忙しくて来れない事をチームメイトに共有した。たちまち仕事が忙しいことが学校中に広がっていった。初恋の人は友達から
「お父さんにがんばれって伝えといて!」
と言われていてみんな優しいなとぼくはおもった。しかし、その行動が彼女を苦しめていた。
時は過ぎ、ぼくたちじゃ小学校を卒業した。それまでぼくは初恋の人と何も変わらない日々を過ごしていたと思っていた。卒業式が終わったあと二人で歩いて帰っている初恋の人の顔はなんだか悲しそうだった。並んで歩いていたはずの初恋の人が突然ぼくの目の前を塞ぐ様に立ち止まった。
「うちね、もうれいとは一緒にいれなくなった。ごめんね」
ぼくは突然すぎて言葉を失った。初恋の人はその経緯を話し始めた。
「うちのお父さんが大工の仕事中にね事故で亡くなっちゃったの。でも、みんなに気を使ってほしくなかったから仕事が忙しいって嘘ついてたんだ。いなくなったお父さんのことをみんなが応援してくれるけどお父さんがいなくなったって実感を思い出して辛かったんだ。これからは、お母さんとおばあちゃんの家で生活することになるから、突然でごめんね。」
初恋の人の顔はいつも元気で笑顔が絶えないかわいい顔の印象だったから悲しい顔をぼくはこの時まで見たことがなかった。初恋の人は涙を流しながら笑顔で
「れいは弱虫で力もないからこの先うちがいなくて大変かもだけど、何かあったらうちを思い出して頑張ってみなよ。今までありがとう。。。ずっと一緒にいて守れなくてごめんね。。。」
初恋の人の最後の言葉だった。ぼくはあまりにも突然すぎてなにも話すことができなかった。コーチが事故でいなくなったことと初恋の人と会えなくなることもショックだった。ぼくは、コーチのことを周りに言ってしまい彼女にとって辛い事をしてしまったと後悔した。初恋の人とはそれ以来会っていない。
中学に進学してまた厄介な人と出会うことになった。
淡淡の青春日記 @Air_04
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