なんとなしにクリックしたこの小説は何となくでも気軽に読める物でした。ミステリー好きも初心者も楽しめる、静かに座って読んでもいいし電車とかでも読める、そういう作品です
大きな陰謀も盛大な伏線もいらない、謎は面白く、無理もご都合主義も要らず、依頼人や犯人(というよりも仕掛け人)は各々の思惑があるちゃんとした人である、そういう純粋なミステリーです。
私は大きな陰謀やら伏線やらを張るミステリーが嫌いです。陰謀とは後からでも書き換えれる物であり、伏線とは如何様にも回収出来る、回収出来なきゃなかった事にされてムカつく事にもなりかねない。そういう作品は前提としてミステリーでありながら謎は解けない、解けれない物となり、一見して「なるほどそういう事だったか」ってなるが、よくよく考えたら何の深みもない後出しジャンケン、それに気づいてしまうと、読者はまるでピエロのような気分になるのです。
もし私と同じようにそういう作品が嫌いな方ならこの作品はきっと楽しめるでしょう
この作品の謎はちゃんと頑張れば読者であっても解読できようにできている。情報の後出しも無ければ変なこじつけもなく、ご都合主義もない。でも謎はそれ相応の深みがあって、自ら解くのはかなり難しいし、依頼人も探偵もちゃんとした人間っぽさがある。
純粋にミステリーが楽しみたいのであればこの作品はかなりお勧めです