エピローグ

 そして2年が経ち、僕は大学1年になっていた。


 その日、僕は遅い昼食を食べようと学食に来ていた。14:00 ともなれば混雑のピークからは完全に外れている。テーブルにはまばらに学生が座っていた。僕の目は、その中の一人の女子学生に釘付けになる。


 ショートボブの髪。やや面長の整った顔立ちの彼女は、机の上に置かれた紙に一心不乱に何かを描いていた。


 これは……マンガ? いや、それにしてはかなり雑な絵だ。しかも鉛筆描きだし。


 ああそうか、これは下描き……いわゆるネームってヤツだ。


 ふと、気配を感じたのか、彼女が顔を上げる。


「……!」


 僕と目が合ったとたん、彼女は驚愕の表情で凍り付く。 


「信じられない……」


 懐かしい声が、彼女の口から漏れる。


「あんた……ユウト? あたしの……イマジナリー・フレンドの……」


 あおいの右手から、鉛筆が落ちて転がった。

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イマジナリー・ガールフレンド Phantom Cat @pxl12160

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