上級魔法使いの村の娘が旅に出るそうです

ここ

第1話

「ちょっとコヨミ聞いてる?」

「あ、ごめんごめん聞いてなかった」

「もー!それでね、今度一緒に冒険者として旅に出ない?」

「え〜…疲れるのは嫌だよ…」

こう言ってくるのは同級生で幼馴染のミィ。地味に厨二病を患っているので結構めんどくさかったりする相手だ。

「そんなこと言わないで!私達は上級魔法使いよ?敵なんてすぐに倒せるわ!」

確かにそうだ。何故か分からないがこの村は火力ゴリ押しで敵を倒してしまう人ばかり集まってしまっている。特に私とミィは潜在魔力が高い方だ。ゴリ押しで大抵は行ける…だが!

「私はね、将来の夢は初心者村に行って毎日ゴロゴロしたいの。極楽主義者なの。そんな疲れることしたくない!!」

「あ・の・ねー!ここと初心者村ってどれだけ距離あるか知ってる?テレポーテーションの最高範囲までやっても5回分よ?ふざけたこと言わないでよ…」

「え?ちょっと待ってそんなことないはずだよ?1回で行けるでしょ?ね?そうだって言ってよ!」

「今の初心者村は変わったってこと忘れてたの?前のところはもう魔法耐性付きの高レベルのゴブリンとかばっかり出るわよ」

この村で生きていこう。そう決めた瞬間だった。

「と、とりあえずミィについて行くことにするね?ほら友達として当然って言うかなんて言うか」

「ふふっ。言ったわね?とりあえず知り合いにアークプリーストが居るからその子にもついてきてもらうわ。」

「待って、アークプリースト?そんな希少価値の高い子が知り合い?」

「えぇそうだけど…」

「ねえその子を売り飛ばして大儲けしてみない?」

「やめてよ!!私の親友なのよ!?」

チッ。残念だ。この子を売ればきっと何不自由無く生活できたのに…

「というか私はこの村の長の孫娘よ?そんなことしたらこの村が無くなっちゃう!」

「えー…あ!その子どこの宗教の子なの?今ならスノー教っていう宗教にご案内するわ!!」

スノー教とは素晴らしき女神、雪や希望を司る女神、ユキ様の宗教だ。この村ではほとんどの人が無宗教派なのでスノー教徒は私ぐらいだが…

「そのあなたの言うスノー教徒よ。ちなみに…あ、これは言い難いからひちょっと来なさい」

「え?いいけど…」

何か大切な話があるらしい。ちょっと楽しみ!ほんのちょっとねほんとに


「それで?大切な話って?」

「実はその子…コユキちゃんって言うんだけどね」

「ユキ様!?」

「えぇ!?なんでもうわかったの!?」

「コユキはユキ様が地上に来た時に使う偽名よ。これくらい当然なんだから」

そう当然だ。王国などに行くと結構メジャーな宗教なのでよくコユキ様専用と書かれた場所がある。

「そ、そう…それでね、そのコユキちゃんが私達と一緒に冒険したいらしいのよ!どう?冒険に行きたくなったでしょ?」

「……」

「え?ちょっとコヨミ?」

「今私達の冒険者登録しといたから。コユキさんはもう登録されてるよね?」

「え、えぇ…(急にやる気出したわねこの子)」

それよりステータスの確認だ。冒険者登録することでステータスが見れるようになる。自分が見たい、と思えば見れるので楽だ。昔はカードだったらしいが私はそっちでも良かった気がする。

「やっぱり魔力がかなりあったんだ…あとは素早さが高いみたい。あ、物理攻撃力もね」

「私は潜在魔力を除いて全体的に見たら平均的かしら。魔法攻撃力upのスキルがついてるくらいよ」

これなら私がアタックに出て後ろから魔法攻撃、という戦法になるだろう。ただ私達は上級魔法使い。そしてここは火力ゴリ押しの村。となると…

「あ、ねえ短い杖限定で杖の上で少し浮いてる剣になる魔法あったよね?」

「え?あなたそれ取得してるじゃない。急にどうしたの?」

こいつ戦略とか考えない系だ。よくこんな頭で冒険やらなんやら言えるな…

「それ魔法攻撃と物理攻撃の合わせ技でしょ?それを使ったらかなり強力な切り札になると思うのよ」

「でもそれって接近戦向きでしょ?遠距離の敵はどうやって…」

「え?素早さの数値を上げて近づいちゃえば良いのよ。何かあったらミィが居るしね!」

「まあそうだけど…」

「はいはいもう決まり!明日から旅に出るよ?」

「えぇ!?そんな急に?お爺様に許可取れるかしら…」

「こう言いなさい。村長になる修行をしてきます。コヨミちゃんもアークプリーストさんも居るし大丈夫です。それに私達の村の名前を広めていくのでお願いします!ってね」

「あなた一応この学年随一の天才だもんね…

ちょっと嫌な気もあるけど従うわ」

「良かった。それじゃあまた明日!村の門の前で集合よ?」

「ハイハイ…」

翌日の朝、何とか説得させ出発できることになったらしいミィとコユキ様…じゃなかったコユキが来た。

「えっと…コユキは回復魔法と支援魔法使えるんだっけ?」

「はい。あ!あと死後直ぐになら生き返らせることも可能です」

「ねえミィなんで今までこの子のこと黙ってたの?最高じゃない」

「だって〜…」

「ま、とりあえず出発よ!」

こうして私達の旅は始まった。といってもとりあえず今は村の近くの森の敵達を倒しに行くだけだが…まあいっか

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