応援コメント

マルチバースからユニバースへ~誰が少女を蘇らせたか?~」への応援コメント


  • 編集済

    こんにちは。
    読み切るのがぎりぎりになってしまいました。当初とにかくまず急いで読んで、あとでもう一周…くらいの前提でいたので、全話に♡を押さずにきたのが悔やまれます。申し訳ありません。

    さて、フィギュアへの向き合いを通して心、生、存在、人間の精神へと迫るこの作品。本当に読み応えがあり、天上さんご自身の中にある深さを感じさせてくれるもので、ハイレベルなんて言葉では表せない高みにある小説だと感じさせています。
    ただ公募に出されるとのことで、僭越ながらひとつだけ読者として意見をさせていただければと思うのですが……「言葉の年齢」を、語り手の年齢に合わせたほうが良いのではないでしょうか?
    この第6章を語る汐音さんは、小学生ですよね。ですが大人でもそうそう使わないような、すごく高度な単語や表現をさらりと使う。これが大人になってからの回想ではなくリアルタイムの汐音の語りだとしたら、彼女の手持ちの言葉と教養では、今の語りは無理であると私は思います。
    もちろん、スケートと自分の関わりの中から深く考え、人生に向き合っている子だと思いますから、年齢でくくれない深い内面性を持っているのは当然と思います。でも、それを表現する語彙をどれだけ持っているのかというと、それはやはり本人の年齢や読書量、勉強量に沿ったものになるのではないかと。一人称の語りで使用される言葉は、作者と一致してはいけないのではと思うのです。

    いまだ長編へのチャレンジのない、オチ勝負の短編職人が生意気にすみません💦 でも汐音には難しすぎると思う単語のレベルを引き下げて、ほんの少し小学生側によせるだけで、もっともっと読みやすくリアルな共感を得る作品になる!と思ったものですから…いち意見として述べさせていただきました。失礼お許しください。

    (追記)
    私も、この小説が「子どもらしい語り」にまでなってしまうと、それはそれでまた違うだろうなと思っています。汐音の感性は一般の子どものそれと違う、より高度なところにあると感じましたので。
    ただ、リアルタイムの語りであったとしても、今書かれているのと同じことを小6の許容範囲の単語だけで表現することは天上さんなら可能ではないか?と思い、余計なことを申しました。
    とはいえあくまでも「大人になってからの回想ではなくリアルタイムの語りであれば、……」でして、回想であれば上記の意見は不要なものです。失礼しました。

    作者からの返信

    岡本さん

    第六章、最後までお読みいただきありがとうございました。
    お忙しい中、このような長大な小説をこうして最後までお読みくださったこと、感謝しかありません。

    仰る通り、汐音の語りはこの年齢に全くそぐわないものです。
    実は、この小説を書くにあたり真っ先に諦めたのが「子供らしい語り」でした。
    書き始めた当初は、(それこそ川上未映子の「あこがれ」や尾崎世界観の「母影」、今村夏子の「星の子」のように)ずっと小学六年生らしい言葉遣いで綴っていたのです。
    ですが、書き進めるにあたって、自分の書きたいことはどうしても小学生の語彙、言葉遣い、語り口では書き尽くせないと判断しました。
    書きたいことは間違いなく少女の感性そのものなのですが、それを彼女の現在の言語で語ることは不可能なのです。
    したがって、この小説を現在の語りという形から解き放つことを試みました。具体的には一種の叙述トリックです。この小説は汐音の現在の語りではなく、あの時はこうだったよねという回顧録なのです。そしてこの語りがいつのものであるかを、私は明らかにしていません。(中学三年生以降であることは明らかですが、高校生かもしれないし、成人を迎えているかもしれず、もしかしたらずっと年上、40歳とか50歳かもしれません)
    緻密な論理(たいして緻密でもないのですが…)と少女の感性を両立したく、このような形に賭けました。
    こうして岡本さんの違和感を生み出してしまっている以上、私の目論見は失敗しているのかもしれません。
    実際この小説が落選するのなら、間違いなくこの理由からだと思います。
    しかし、子供らしくない語りから子供の感性が彫刻されることもありうると思います。私はそこに賭けました。

    岡本さんから指摘された違和感は、ここに発表する際に一番指摘されることだろうなと覚悟しておりました。
    ですが、皆さんこのような場ではなかなか欠点を仰らないのですよね。私もそうです。なるべく当たり障りのない範囲で、長所を褒める……こういうカクヨム特有の「読み合い&褒め合い」文化はモチベーションにはつながるとは思いますが、本当の意味で作品を磨く力に繋がるかどうかは怪しいなと思っております。
    そんな中、岡本さんがハッキリと私の小説の短所を指摘して下さったのは、本当にありがたいことです。大変勇気の要ることだと思います。
    自分の語りたいことと、語りのバランスをどう取るか……小説というメディアを選択する上で、これからもずっと向き合っていかなければならないことだと思います。
    貴重なアドバイスを本当にありがとうございました。

  • 第6章、お疲れ様でした!
    シヴァからはスケーターたちの業を感じた……みたいなコメントを第5章のときに書いたと思うのですが。
    今回は同時に、天上さん自身の小説書きとしての業も感じました。小説という生き物を手なずけようとしながら振り回されて、けど最後には一緒に道を定めて歩いていく葛藤、とでもいいましょうか。
    僕も含めて多くの作家にも通じそうな感覚ですが、それをここまで明確に意識した作品は初めてでした。

    スケートリンクが放つ「夢」を追いながら、小説というジャンルそれ自体の深みを味わう体験、それが僕にとってのシヴァです。

    そして汐音ちゃん、おかえりなさい!

    作者からの返信

    市亀さん

    お読みいただきありがとうございました。
    今回は本当に、私の物書きとしての業を全てぶつけました。
    仰る通り、小説は生き物だと思います。
    手懐けるのがこんなにも難しいとは……まだまだやらなければならないことがたくさんあるなと感じました。

    市亀さんには第一章の頃から本当に丁寧に読んでいただき、感謝してもしきれません。
    見守っていただけて、汐音も幸せだと思います。
    本当にありがとうございました!

  • 杏さん、凄いです!
    小説と向き合う姿が半端ないな、と感じます。改稿は苦戦したのですね。応援コメントへの返信にも難儀している様子が伺えたので、「がんばって!」と思ってました。

    汐音の痛烈な声が聞こえたのですね。何か分かります。
    私も、初めて小説を書いた物を昨年自費出版したのですが、書き切ったと思っていたのに、出版前にもうその続編を書き始めてしまったのです。
    私がその小説の主人公のその後を追いたくなったのか、主人公の声が聞こえたのか分かりませんが、やっぱりその主人公にはこうなってほしかった、又はその主人公はこうなりたかったっていう声が聞こえたようで‥‥‥(それがカクヨムに初めて投稿した「Faith」という物語なんですけど)

    賞を獲る為とか、良い小説を書く為とか、そういう事も大切なのかもしれませんが、やっぱり自分が書きたいと思う事を書く事が一番楽しいし、大切な事だと思っています。

    一つ前のコメントの返信に「心の中にいるトーマとは別に、本当の刀麻という存在がいる」という事を書いて頂き、なるほどと思いました。
    私は(私は、なのですが)、突然場面が変わったり、昔の話になったりして時系列とか、これは誰なんだろ?って少し分かりにくい所がありました。
    コメントなどで書いて下さる解説っぽい事が、本文の中にやんわりと入れば、もっと分かりやすくなりそうな‥‥‥
    (すみません。そういうのが良いのかどうかは分かりません)

    長々と書いてしまって失礼しました。
    これから応募に向けて、また今後の挑戦、応援してます!

    作者からの返信

    ふうこさん

    後書きにまでコメントをいただき、本当にありがとうございます。
    ふうこさんが丁寧に読んでくださったことが伝わってきます。
    こんな風に読んで下さる方と巡り会えたことを、幸せに思います。

    ふうこさん、自費出版なさってたんですね!すごい…
    Faith、読んでみたいです。
    やはりキャラの声が直に聞こえてくるという経験は、深く作品にコミットしているとありますよね。その時は切羽詰まっていて妄想じみているのですが、そのエネルギーこそが作品を真の方向へと導く気がしてなりません。

    そして、貴重なアドバイスをありがとうございます。
    まさに仰る通りだと思います。
    本当の刀麻とイメージの少年の書き分けが甘く、大変分かり難いですね。場面転換も適当すぎて、読者への甘えが見えるな、と思いました。
    ふうこさんのアドバイスを噛み締めながら、推敲を行っていきたいと思います。
    最後まで頑張ります!
    本当にありがとうございました。