5 “あとがき”とやたらと分量の多い参考資料(1万1千字超えます。興味のある方だけお読み下され📚)

1 あとがき


 最後さいごまで、おいただきありがとうございます♡ 魔女まじょ★ゆきです。

 わたし実際じっさい事件じけんもとにしたはなしいてみたかったんですよね〜。ノンフィクションはハードルがたかいから、事実じじつもとにしたフィクションですね。

 今回こんかいはその、ずっといてみたかったテーマをぶつけてみました。

 本作ほんさく春川桜子はるかわ さくらこちゃん(クールビューティー桜子おうこちゃん)の境遇きょうぐうは、モデルがありまして、題材だいざいは『尊属殺そんぞくさつ重罰じゅうばつ規定きてい違憲判決いけんはんけつ』の事件じけんです。大学だいがく法学部ほうがくぶはいったらかならなら判決はんけつで、法学部ほうがくぶ出身者しゅっしんしゃでこれらないひとは『もぐり』といっても過言かごんではないほど。

 わたし高校こうこう時代じだいならっていた『政治せいじ経済けいざい』の教科書きょうかしょにもってたくらいだから、そうとう有名ゆうめいです。いま高校こうこう教科書きょうかしょにはってないですかねぇ?

 もしこのような境遇きょうぐうにあったら、わたし父親ちちおやころしちゃいますね。

 一方いっぽう合法的ごうほうてき救済きゅうさい手段しゅだんかんがえてみました。今回こんかいは15さい少女しょうじょだったので、児童じどう虐待ぎゃくたい防止法ぼうしほう使つかえてらくチンでした。

 物語ものがたりとしては、一定いっていのルールがあるからそれをてはめないといけません。といってもとく苦労くろうすることもなく、自然しぜんにスパンスパンとはまっていってくれました。

 つぎ執筆しっぴつする、もうひとりの春川桜子はるかわ さくらこちゃんサイドのおはなしのために、いくつかの伏線ふくせん仕込しこんでおきました。

 最後さいごのオチまでわかっちゃったひともいるかもしれませんが、まあそれはそれということで。


 以下いか参考資料さんこうしりょうです。興味きょうみのあるかただけ、また、興味きょうみのある部分ぶぶんだけおください。

 なお、本編ほんぺんおよび参考さんこう資料編しりょうへんその内容ないよう(法律ほうりつ実務じつむ対応たいおうそのもろもろ)にかんしまして、『疑問ぎもん』『質問しつもんなどがあるかたはお気軽きがるにご質問しつもんください。極力きょくりょくこたえしたくぞんじます。ただし、深刻しんこく法律相談等ほうりつそうだんとうにはおこたいたしかねます。『わたしたよらずプロにたよれ!』と。だれ相談そうだんしていかわからないときは、地域ちいき弁護士会べんごしかいなどに電話でんわすると、相応ふさわしい先生せんせいおしえてくださるようです。

 わからないことを調しらべるとき、わたしはウィキペディアを愛用あいようしております。先程さきほども、『ドラゴンバスター』『パルテナのかがみ』というファミコンソフトを検索けんさくしたらヒット! ウィキすげえ! もちろん『児童虐待じどうぎゃくたい』にかんする記述きじゅつ詳細しょうさいでございました🔎


参考資料編さんこうしりょうへん

尊属殺そんぞくさつ重罰規定じゅうばつきてい違憲判決いけんはんけつ事件概要じけんがいよう

②チラッ、っと解脱げだつ いや、解説かいせつ 自力じりき救済きゅうさい禁止きんし原則げんそく緊急きんきゅう行為こうい

法律ほうりつ条文じょうぶん


2 尊属殺そんぞくさつ重罰規定じゅうばつきてい違憲判決いけんはんけつ事件概要じけんがいよう


 最高裁さいこうさい昭和しょうわ四八年よんじゅうはちねん四月しがつ四日よっか大法廷だいほうてい判決はんけつ


事実じじつ概要がいよう

 被告人ひこくにん中学ちゅうがく二年にねんのとき実父じっふ姦淫かんいんされ、以後いご一〇年じゅうねん以上いじょう夫婦同様ふうふどうよう生活せいかついられて数人すうにんまでんだ。たまたま職場しょくば正常せいじょう結婚けっこん機会きかいにめぐりあったが、実父じっふはあくまでも被告人ひこくにん支配下しはいかにおいて醜行しゅうこう継続けいぞくしようと、一〇日とおかあまりにわたり脅迫きょうはく虐待ぎゃくたいした。このため被告人ひこくにん懊悩おうのう煩悶はんもんきわみにあり、いわれない暴言ぼうげん触発しょくはつされて、このようなまわしい境遇きょうぐうからのがれようと実父じっふ絞殺こうさつし、自首じしゅした。

 刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう尊属殺そんぞくさつ起訴きそされたが、第一審だいいっしんは、同条どうじょう憲法けんぽう一四条じゅうよんじょう一項いっこう違反いはんとしたうえで、過剰かじょう防衛ぼうえい成立せいりつ心神しんしん耗弱こうじゃくみとめてけい免除めんじょした(宇都宮うつのみや地判ちはん昭和しょうわ四四よんじゅうよねんごがつ二九にじゅうくにち)。しかし控訴審こうそしんは、刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう合憲ごうけんとする最高裁さいこうさい判例はんれいしたがって同条どうじょう適用てきようし、刑法上けいほうじょうゆるされる最大限さいだいげい減軽げんけいくわえて三年さんねん六月ろくげつ実刑じっけい判決はんけつくだした(東京とうきょう高判こうはん昭和しょうわ四五よんじゅうごねんごがつ一二じゅうににち)。

 被告ひこく弁護人べんごにんは、刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう違憲いけん主張しゅちょうして上告じょうこくした。


 👧この事件じけん争点そうてんとなったのは、ぶっちゃけ、『被告人ひこくにん執行猶予しっこうゆうよがつくのか? 実刑判決じっけいはんけつになってしまうのか?』

 尊属そんぞく殺人さつじんざい法定刑ほうていけいは『死刑しけいまた無期懲役むきちょうえき』、当時とうじ殺人罪さつじんざいは『死刑しけいまた無期むきしくは三年さんねん以上いじょう懲役ちょうえき』。

 執行猶予しっこうゆうよ三年さんねん以下いか懲役ちょうえきでないとけられません。

 一審いっしん宇都宮うつのみや地方裁判所ちほうさいばんしょは、刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう違憲いけんとし、『過剰防衛かじょうぼうえい成立せいりつ心神耗弱しんしんこうじゃくみとめてけい免除めんじょ』。

 過剰防衛かじょうぼうえい(刑法けいほう36じょうこう)は、犯罪はんざい成立せいりつするけれど情状じょうじょうにより、けい減軽げんけいまた免除めんじょすることができるとさだめています。

 心神耗弱しんしんこうじゃく(刑法けいほう39じょうこう)は、『そのけい減軽げんけいする』とさだめています。減軽げんけいは『死刑しけいだと、無期むき懲役ちょうえき(しくは禁錮きんこ)または10ねん以上いじょう懲役ちょうえき(しくは禁錮きんこ)に減軽げんけいされます』。

無期懲役むきちょうえきは、7ねん以上いじょう有期ゆうき懲役ちょうえき減軽げんけいされます』

 わせわざで『けい免除めんじょ』とは、なかなか寛大かんだい処置しょちですが、妥当だとうだとおもいます。

 控訴審こうそしん東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは、刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう合憲ごうけんとし、法律上ほうりつじょうゆるされる二度にど減軽げんけいくわえて(無期懲役むきちょうえき→①懲役ちょうえき七年しちねん→②懲役ちょうえき三年さんねん六月ろくげつ)『懲役ちょうえき三年さんねん六月ろくげつ実刑じっけい判決はんけつ』をくだしました。

 三年さんねん六月ろくげつだと執行しっこう猶予ゆうよけられないのです。

 最高さいこう裁判所さいばんしょ大法廷だいほうていは、刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょう違憲いけん判断はんだんしたうえで、『懲役ちょうえき二年にねん六月ろくげつ執行猶予しっこうゆうよ三年さんねん』の判決はんけつわたしました。

 どうでもいことだけれど、『減軽げんけいくわえて』って表現ひょうげん、おかしくない?

 なお最高裁さいこうさい通常つうじょう第一だいいち第二だいに第三だいさん各小法廷かくしょうほうてい(最高裁さいこうさい判事はんじかくめい)でひらかれるのですが、憲法けんぽう判断はんだん重要じゅうよう事件じけんかんしては最高裁さいこうさい判事はんじぜん15めいによる大法廷だいほうていひらかれます。


判旨はんし

 憲法けんぽう一四条じゅうよんじょう一項いっこう平等びょうどう要請ようせいは「事柄ことがら性質せいしつ即応そくおうした合理的ごうりてき根拠こんきょもとづくものでないかぎり、差別的さべつてき取扱とりあつかいをすることを禁止きんしする趣旨しゅし」である(最大判さいだいはん昭和しょうわ三九さんじゅうきゅうねんごがつ二七にじゅうしちにち)。刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょうについては昭和しょうわ二五年にじゅうごねん以来いらいとう裁判所さいばんしょ合憲ごうけん判決はんけつがあるが、同条どうじょう合理的ごうりてき根拠こんきょもとづくものであるかどうかをあらためて判断はんだんすると、その立法りっぽう目的もくてきは「尊属そんぞく卑属ひぞくまたはその配偶者はいぐうしゃ殺害さつがいすることをもって一般いっぱん高度こうど社会的しゃかいてき道義的どうぎてき非難ひなんあたいするものとし、かかる所為しょい通常つうじょう殺人さつじん場合ばあいより厳重げんじゅう処罰しょばつし、もってとくつよくこれを禁圧きんあつしようとするにある」。「尊属そんぞくたいする尊重そんちょう報恩ほうおんは、社会しゃかい生活上せいかつじょう基本的きほんてき道義どうぎというべく、このような自然的しぜんてき情愛じょうあいないし普遍的ふへんてき倫理りんり維持いじは、刑法上けいほうじょう保護ほごあたいする」。「そこで、被害者ひがいしゃ尊属そんぞくであることを犯情はんじょうのひとつとして具体的ぐたいてき事件じけん量刑上りょうけいじょう重視じゅうしすることはゆるされるものであるのみならず、さらにすすんでこのことを類型化るいけいかし、法律上ほうりつじょうけい加重かちょう要件ようけんとする規定きていもうけても、かかる差別的さべつてき取扱とりあつかいをもってただちに合理的ごうりてき根拠こんきょくものとだんずることはでき」ない。

 しかし「加重かちょう程度ていど極端きょくたんであって、前示ぜんしのごとき立法りっぽう目的もくてき達成たっせい手段しゅだんとしてはなはだしく均衡きんこうしっし、これを正当化せいとうかしうべき根拠こんきょ見出みだしえないときは、その差別さべついちじるしく不合理ふごうりなもの」として違憲いけんとなる。「刑法けいほう二〇〇条にひゃくじょうは、尊属殺そんぞくさつ法定刑ほうていけい死刑しけいまたは無期むき懲役刑ちょうえきのみにかぎっているてんにおいて、その立法りっぽう目的もくてき達成たっせいのため必要ひつよう限度げんどはるかにえ、普通殺ふつうさつかんする刑法けいほう一九九条ひゃくきゅうじゅうきゅうじょう法定刑ほうていけいいちじるしく不合理ふごうり差別的さべつてき取扱とりあつかいをするものとみとめられ、憲法けんぽう一四条じゅうよんじょう一項いっこう違反いはんして無効むこうである」。破棄自判はきじはん(懲役ちょうえき二年にねん六月ろくげつ執行猶予しっこうゆうよ三年さんねん)。


3 チラッ、っと解脱げだつ いや、解説かいせつ 自力じりき救済きゅうさい禁止きんし原則げんそく緊急きんきゅう行為こうい


 日本にほんはじめ、おそらくほとんどの先進国せんしんこくでは、自力じりき救済きゅうさい――みずか実力じつりょく行使こうしして権利けんり回復等かいふくとうをはかる――は禁止きんしされているはずです。それは何故なぜでしょう?

 以下いか事例じれいかんがえてみましょう。


 桜子さくらこちゃん(大人おとな)は、ブランドもののバッグに自作じさくストラップをけて愛用あいようしておりました。

 けれどもある、そのバッグはぬすまれてしまいました。

 以来いらい桜子さくらこちゃんはそのブランドのバッグをると、自分じぶんものではないかと確認かくにんするくせがついていました。

 盗難とうなんから10日とおかぎ、つい桜子さくらこちゃんは発見はっけんしてしまいました。自作じさくストラップ――🌸さくらをイメージしてつくったのにもかかわらず、友達ともだちみんなに『チューリップ』にしかえないとわれてしまうかざりがいているので間違まちがいありません🌷――のついた桜子さくらこちゃんのバッグです。

 ぬし金髪きんぱつのちゃらちゃらしたっぽいギャル👱

 『うぬうっ、ゆるせん!』と、桜子さくらこちゃんはバッグをもどすべく、ひったくりにかります。が、相手あいてもそれに気付きづ抵抗ていこうしつつ、

「ドロボー!」

さけびます。なんと! ぬす猛々たけだけしいとはこのこと。やがて、警察けいさつがやってきて、はなった結果けっか

 金髪きんぱつギャルは一週間前いっしゅうかんまえに、県外けんがい友人ゆうじんからやすってもらったとのことでした。

 ガーン! 彼女かのじょ泥棒どろぼうではなかったのです。むしろ自分じぶんほう白昼はくちゅう堂々どうどうぬすみをはたらいてしまいました。

 自力じりき救済きゅうさいみとめると、桜子さくらこちゃんは金髪きんぱつギャルから堂々どうどうぬすんでいということになってしまいます。これではリサイクルショップやらネットオークションでもの出来できませんね? 自分じぶんったものが、いつ合法的ごうほうてきぬすまれるのかわかりませんから。


 自力じりき救済きゅうさい禁止きんしには、重要じゅうよう例外れいがいがあります。正当せいとう防衛ぼうえい緊急きんきゅう避難ひなんです。このふたつを緊急きんきゅう行為こういといいます。


 自分じぶんっているバッグがいままさにぬすまれていたら、ぬし実力じつりょく行使こうしして、これを排除はいじょすることが出来できます。法格言ほうかくげんで『緊急きんきゅうほうたない』といいます。これが正当せいとう防衛ぼうえいです。

 正当せいとう防衛ぼうえい要件ようけん

急迫きゅうはく不正ふせい侵害しんがいがあること→いままさにバッグがぬすまれている

自己じこまた他人たにん権利けんり防衛ぼうえいするため→自分じぶんのバッグをぬすまれないため

③やむをずにした行為こういであること→厳密げんみつ利益りえき衡量こうりょう必要ひつようありませんが、っていた木刀ぼくとう頭蓋骨ずがいこつ陥没かんぼつするくらいぶったたいてやった、というのはちとやりぎでございましょう(過剰かじょう防衛ぼうえい)。


 緊急きんきゅう避難ひなんは、『他人たにんからの違法いほう侵害しんがい以外いがいたいする行動こうどうで、自然しぜん災害さいがいであったり、人食ひとくいヒグマがおそってきたので、らないひといえ敷地しきちはいってなんのがれたといったケース。避難ひなんされる相手方あいてがた違法いほう存在そんざいではないため厳密げんみつ利益りえき衡量こうりょうもとめられます。


4 参考資料さんこうしりょう 法律ほうりつ条文じょうぶん


 興味きょうみのあるひと興味きょうみのある部分ぶぶんだけながめてください。

 悪文あくぶん見本みほんともいうべき法律ほうりつ文言もんごん見習みならって、あなたも悪文あくぶんにつけよう!

(なお、これコピペしたわけではなく、すべ手打てうちです🍜 スマートフォンの履歴りれき変換へんかん機能きのうがあるので、それなりにらくしてはおりますが♪)


【日本国憲法】

(法のもとの平等)

第一四条 すべて国民は、法の下に平等であて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

ニ項、三項(省略)


【刑法】


(正当防衛)

第三六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

二項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。


(緊急避難)

第三七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

二項 (省略)


(心神喪失及び心神耗弱)

第三九条 心神喪失者の行為は、罰しない。

二項 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。


(自首)

第四二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

二項 (省略)


(併合罪)

第四五条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。


(有期の懲役及び禁錮の加重かちょう)

第四七条 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。


(共同正犯)

第六〇条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。


(幇助ほうじょ)

第六二条 正犯を幇助した者は、従犯とする。

二項 従犯を教唆きょうさした者には、従犯の刑を科する。


(従犯減軽)

第六三条 従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。


(酌量しゃくりょう減軽)

第六六条 犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。


(法律上の加減と酌量減軽)

第六七条 法律上刑を加重かちょうし、又は減軽する場合であっても、酌量減軽をすることができる。


(法律上の減軽の方法)

第六八条 法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。

いちごう(一号) 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。

にごう(二号) 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。

さんごう(三号) 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。

よんごう(四号) 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額かがくの二分の一を減ずる。

ごごう(五号) 拘留こうりゅうを減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。

ろくごう(六号) 科料かりょうを減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。


(秘密漏示ろうじ)

第一三四条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月ろくげつ以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

二項 宗教、祈禱きとう若しくは祭祀さいしの職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。


(強制わいせつ)

第一七六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月ろくげつ以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。


(強制性交等)

第一七七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門こうもん性交又は口腔こうくう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。


(監護者わいせつ及び監護者性交等)

第一七九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

二項 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。


(強制わいせつ等致死傷)

第一八一条 第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

二項 第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は六年以上の懲役に処する。


(殺人)

第一九九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。


(自殺関与及び同意殺人)

第二〇二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託しょくたくを受け若しくはその承諾しょうだくを得て殺した者は、六月ろくげつ以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。


(傷害)

第二〇四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。


(傷害致死)

第二〇五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。


(暴行)

第二〇八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。


【児童虐待の防止等に関する法律】

(目的)

第一条 この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念けねんを及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置そち等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策しさく促進そくしんし、もって児童の権利利益の擁護ようごすることをことを目的とする。


(児童虐待の定義)

第二条 この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行為をいう。

一 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。

二 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。

三 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しくおこたること。

四 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。


(児童に対する虐待の禁止)

第三条 何人なんぴとも、児童に対し、虐待をしてはならない。


(児童虐待の早期発見等)

第五条 学校、児童福祉施設、(中略)その他

児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、(中略)弁護士、警察官、婦人相談員その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

二項 前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策しさくに協力するよう努めなければならない。

三項 第一項に規定する者は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た児童虐待を受けたと思われる児童に関する秘密を漏らしてはならない。

四項 前項の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第二項の規定による国及び地方公共団体の施策に協力するように努める義務の遵守じゅんしゅを妨げるものと解釈してはならない。

五項 学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。


(児童虐待に係る通告)

第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、すみやかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

二項 前項の規定による通告は、児童福祉法第二十五条第一項の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。

三項 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示ろうじ罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守じゅんしゅを妨げるものと解釈してはならない。


【児童福祉法第二十五条第一項[要保護児童発見者の通告義務] 要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。(以下省略)】


【秘密漏示罪→刑法第一三四条】


第七条 市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所が前条第一項の規定による通告を受けた場合においては、当該通告を受けた市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所の所長、所員その他の職員及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。


(通告又は送致を受けた場合の措置そち)

第八条 市町村又は都道府県の設置する福祉事務所が第六条第一項の規定による通告を受けたときは、市町村又は福祉事務所の長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。

一 (前略)当該児童を児童相談所に送致すること。

二 当該児童のうち(中略)一時保護の実施が適当であると認めるものを都道府県知事又は児童相談所長へ通知すること。

二項 児童相談所が(中略)送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次にかかげる措置を採るものとする。

一 (前略)当該児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせること。

二 (前略)当該児童のうち第六条第一項の規定による通告を受けたものを市町村に送致すること。

三、四(省略)

三項 前二項の児童の安全の確認を行うための措置、市町村若しくは児童相談所への送致又は一時保護を行う者は、速やかにこれを行うものとする。


(出頭要求等)

第八条の二 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票しょうひょうを携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

二項 都道府県知事は、前項の規定により当該児童の保護者の出頭を求めようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時及び場所、同伴すべき児童の氏名その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。

三項 都道府県知事は、第一項の保護者が同項の規定による出頭の求めに応じない場合は、次条第一項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り及び調査又は質問その他の必要な措置を講ずるものとする。


(立入調査等)

第九条 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

二項 (省略)


(再出頭要求等)

第九条の二 都道府県知事は、(中略)保護者が正当な理由なく(中略)児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避きひした場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。(以下省略)

二項 (省略)


(臨検りんけん、捜索等)

第九条の三 都道府県知事は、(中略)児童の保護者が正当な理由なく(中略)児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避きひした場合において、児童虐待が行われている疑いがあるときは、当該児童の安全の確認を行い、又はその安全を確保するため、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄かんかつする地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、当該児童の住所若しくは居所に臨検させ、又は当該児童を捜索そうさくさせることができる。

二項 都道府県知事は、前項の規定による臨検又は捜索をさせるときは、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。

三項 都道府県知事は、第一項の許可状(以下「許可状」という。)を請求する場合においては、児童虐待が行われている疑いがあると認められる資料、臨検させようとする住所又は居所に当該児童が現在すると認められる資料及び当該児童の保護者が第九条第一項の規定による立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避したことを証する資料を提出しなければならない。

四項 前項の請求があった場合においては、地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所又は捜索すべき児童の氏名並びに有効期間、その期間経過後は執行に着手することができずこれを返還へんかんしなければならない旨、交付の年月日及び裁判所名を記載し、自己の記名押印きめいおういんした許可状を都道府県知事に交付しなければならない。

五項 都道府県知事は、許可状を児童の福祉に関する事務に従事する職員に交付して、第一項の規定による臨検又は捜索をさせるものとする。

六項 第一項の規定による臨検又は捜索に係る制度は、児童虐待が保護者がその監護する児童に対して行うものであるために他人から認知されること及び児童がその被害から自ら逃れることが困難である等の特別の事情から児童の生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあることにかんがみ特に設けられたものであることを十分に踏まえた上で、適切に運用されなければならない。


(警察署長に対する援助要請等)

第一〇条 児童相談所長は、第八条第二項の児童の安全の確認を行おうとする場合、又は同項第一号の一時保護を行おうとし、若しくは行わせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。都道府県知事が、第九条第一項の規定による立入り及び調査若しくは質問をさせ、又は臨検等をさせようとする場合についても、同様とする。

二項 児童相談所長又は都道府県知事は、児童の安全の確認及び安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ迅速じんそくかつ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。

三項 警察署長は、第一項の規定による援助の求めを受けた場合において、児童の生命又は身体の安全を確認し、又は確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行しっこうを援助するために必要な警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。


(親権の行使に関する配慮等)

第一四条 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百二十条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒ちょうかいしてはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。

二項 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪、その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責を免れることはない。


【民法第八二〇条(監護及び教育の権利義務) 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。】


(親権の喪失の制度の適切な運用)

第一五条 民法に規定する親権の喪失の制度は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護の観点からも、適切に運用されなければならない。


【民法第八三四条(親権喪失の審判) 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅しょうめつする見込みがあるときは、この限りでない。】


【児童買春かいしゅん、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律】

(定義)

一、二項(省略)

三項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録でんじてききろく(中略)に係る記録媒体きろくばいたいその他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態したいを視覚により認識にんしきすることができる方法により描写したものをいう。

一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮こうふんさせ又は刺激するもの

三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更ことさらに児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部でんぶ又は胸部きょうぶをいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの


(児童ポルノ所持等)

第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

二項以下(省略)

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葉桜の君に――クールビューティーは静かに殺意を秘める―― 魔女っ子★ゆきちゃん @majokkoyukichan

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