第2話 転校生

私は小学二年生の春、新しい学校に転校してきた。


やっと一年通って友達も増え、授業にも慣れ、二年生になるのを楽しみにしていた丁度その頃。


突然引越す事になり、違う学校へ行かなければならなくなった。


今思うと転校生って響き悪くないなあ、と思うけれど、その当時の私はとても人見知りで、声も小さければ授業中は絶対に手を挙げない、恥ずかしがり屋な女の子だった。


絵が下手な事が嫌で、絵を描く授業はチャイムが鳴るまで泣いていた事もあった。


そんな私が、新しい学校で、知らない人達の中で暮らすなんて、、、嫌で嫌で仕方なかった。


転校初日、クラスの皆の前で自己紹介か~と思っていたら、まさかの体育館へ呼ばれた。


そのままステージに上がらされ、紹介された。


もちろん緊張で頭は真っ白、今にも泣き出しそうだった。


緊張のせいか、その時の事はそこまでしか覚えていない。





いつの間にかクラスでの自己紹介も終わり、席に着いていた。


それから何日か過ぎ、少しずつ新しい友達が出来た頃。


ある1人の女の子が近付いてきた。


「美菜ちゃん、今日一緒に帰ろう!」


最近仲良くなった詩ちゃん。


転校してから初めて友達と一緒に帰れる!

嬉しくて満面の笑みで答えた。


「いいよ~!」


帰り道、殆どの生徒は校門を出てすぐの道を真っ直ぐ行くが、私は右へ曲がらなければならなかった。


だから校舎を出てから校門までのわずか数十メートルしか一緒に帰れる時間はない。


それでも私は友達と帰れることが嬉しかった。


「詩ちゃん、私この道すぐ右なんだ~ここでバイバイだね、、、」


そう私が言うと、詩ちゃんが驚いた表情で言った。


「え!!本当に!?私もここ右!!同じ方面の人初めて!!」


なんとその道を右に行く生徒は、全校生徒の中で私と詩ちゃんの2人だけだった。


思わず2人とも笑ってしまった。


「やったー!これから毎日美菜ちゃんと帰れるじゃん!!」


そのまま笑いながら歩いていると、


「ここ私の家だよ~」


「え、ここ!?うそ!!!私の家はあそこだよ!」


なんと、詩ちゃんの家の斜め後ろが私の家だった。


「近っ!!うそでしょ~!?やったー!!!」


「明日から一緒に学校行こ!8時にうち来て!」





こうして私たちは毎日一緒に学校へ行く事になった。



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今日も君に逢えるなら 美菜 @yuuu01191108

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