第3話




(冷たいな、、また死んだのかよ。

まさか3回も死ぬ人生だとは思わな、、)


『いてぇ!!、、

ってあれ?死んでない。

そうだ、井戸に飛び込んだんだ。』


俺はどうやら井戸に飛び込んで強く頭を強打して、気絶してしまったらしい。

幸い、死にはしなかったようだ。


(俺ってこんな頑丈だったっけ、、)


15メートルはありそうな井戸だが、無事だった。


『2人は!?マリー!!!エル!!何処だ!?』


『ここよ、、大声出さないでよ、頭に響くのよ、。』


後ろからマリーの声がした。

マリーを見ると、マリーの腕の中には頭から血を流し、ぐったりとしたエルが抱かれていた。


『エル!!』


俺は2人に近寄り、エルの口元に耳を近づけた。


『・・・。息は、してるな。』


『良かった、。

さっきの悪魔、どうなったのかしら。』


地上からは音が全くしない。


(静かすぎて、逆にきみがわるいな。)


『とりあえず、エルが起きるまで待った方がいいかもしれない。』


『で、でも奴がまだ近くにいるかもしれないわよ!?』


マリーは震えた声でそう言った。


『それは多分ないですわ、。』


エルは体を起こし、苦しそうに答えた。


『エル!!良かった、。

ってことはあいつをまけたのか?』


『ええ、飛び込む際に三人にステルス魔法をかけました。』


『そんな魔法もあるのね!

助けてくれてありがとうエル。』


マリーがお礼を言うと、エルは辛そうな表情をした。


『いいえ、、

でもお爺ちゃんを助けられませんでした、。』


エルは震えながらそういうと、泣き出した。

それもそうだろう。

自分の故郷を焼かれ、今まで一緒に暮らしてきた村人は惨殺。

更に肉親を目の前で殺され、喰われ…


俺はさっきの吐き気が込み上げてきた。


(何弱気になってんだ俺!!

今一番辛いのはエルだろ。)


『エルのせいじゃないよ!!

俺なんて、守ることはおろか、立っていることすら出来なかった。

エルは凄いと思う。

確かにお爺さんを助けることは出来なかった。

でも、エルの勇敢な行動のお陰で俺とマリーは今生きてる。

本当にありがとう。』


『励ましてくれてありがとうございます、優。』


エルは少しだが元気を取り戻してくれたようだった。


(励まし方までダサいな、俺。)


『今は切り替えるしか無いわね、。

バベル王国へ向かうことにするわ。』


『それって家で話してた、転生者が居るっていう王国よね。』


『ええ。早速向かいましょう、、

あっ、』


エルは立ち上がろうとしたが、まだ足元がふらついていて、よろめいた。


『大丈夫なのか!?エル。

まだ少し休んだ方が、、』


『いいえ、ここも安全という訳ではないのです。

悪魔でなくても、魔物達に気付かれれば全員生き残るのは難しくなります。』


(そんな、、なんでこんなことに、、)


色々ありすぎて混乱する俺とマリーとは違い、エルは既に前を向き、現状と向き合っていた。


俺は改めてこの女の子に感心し、憧れを持った。


『じゃあ出発ね、。

優はエルを支えながら歩いて。

私は後ろを警戒しながら歩くわ。』


そうマリーは言うと、エルも頷き魔法を唱え、手のひらに光の玉のようなものを作り出した。


『行きましょう。付いてきてください。』


俺はこの三人の中で一番役立たずであることに気がついた。


(この2人がすごいだけだよな、、ははっ。)




こうして俺たち三人は、悪魔により崩壊させられたアリス村からバベル王国を目指す事になった。


理由は、避難というのもあるが、

一番は王都に悪魔が現れたという事を報告するためであった。


それにより、他にも被害を受ける町や村が増える事を抑制することが、人間が生き残るために今すべき事である。


平和を取り戻すためには、悪魔達を駆逐するしかない。





『あっ!あかりが見えるわ!!

きっと外よ!』


俺たちは5時間ほど地下を歩いた。

他にも地上へ出られるところはあったのだが、魔物に遭遇する可能性が高くなるため、ギリギリまで地下を歩く事にしたのだった。


『もう朝か、、

俺たちはどれくらい進んだんだ?』


『南西へ15キロほどでしょうか。

かなりスローペースでしたから。』




俺たちは地下水路を歩きながら王国へ向かう目的について話をした。


その際に決まった目的は、二つ。

一つ目は、王国への今回の件についての報告すること。


二つ目は、転生魔法を使える者を訪ね、俺とマリーを現世へ帰すこと、。


しかしそんな事が可能なのだろうか。

俺とマリーは現世で一度死んで、ここへ転生された。


その事に、マリーも薄々気づき始めていた。




『エルー、王国まではこのまま徒歩で行くのか?というか後どれくらいかかるのか。』


『いいえ、もう少し歩いた所に小さな村があります。

そこから馬車を借りて王国までいきますわ。』


『ほんと!!良かった〜もうくたくたよ。』


マリーは少し安心した様子だ。

確かに精神的にも疲労が溜まっている。

馬車での移動で多少は回復できるかもしれない。


『お、村が見えたぞ。』


1時間ほど森の中の小道を歩いていると、村に着いた。


家の数は少ないものの、雰囲気の良い小さな村だ。


『まずは馬車の交渉。

あとはエルの傷も軽く治療しなきゃな。』


『そうね!

ていうか、この村の人たちも危険じゃないかしら??

悪魔がいつ攻めて来るのか、、』


『それは案ずるな、俺たちがなんとかしてやらぁ!!』


マリーの話を遮り、見知らぬ男がそう言った。


『冒険者の方々ですか??』


エルが尋ねた。

確かに、背中には大剣をかけ、戦闘向けの服装。

そして何より筋肉隆々の大男だ。


『ああそうさ。

この村の近くの魔物をヤるっていうクエストで来たんだが、、呆気ないもんだぜ。

雑魚しかいねぇ。』


『ってことは魔物を撃退したんですか!?』


『あー?あったりめぇよ。

あんな雑魚、俺たちBランクパーティならすればヨユーだぜ。』


大男は自慢げにそう言った。続けて話始めた。


『それになぁ、俺たちは転生者様に魔剣を作って貰ったんだぜ??

悪魔だってなんだってどんと来いってかんじだぜ。』


(転生者に魔剣?

ってことは王国から来てるのか。)


『魔剣!?

伝説で聞いたことがあります、。

その伝説によると、魔剣とはある選ばれた人間にしか作る事が出来ない伝説の武器、、』


エルはとても驚いた表情で話した。


『そうだそうだ!そして選ばれたものしか使えんのだよ、ガハハ!!!』


『そうなのですね、、。

貴方方はとてもお強いのですね!』


『あぁ。そうだぜぇ??

まあ今王国では緊急事態だどうだって、魔剣をぼんぼん作り出して、冒険者に配ってるんだがな!!』


(そんな簡単なもんなのか、、?)


男に嘘を言っている様子は見られなかった。

どうやら魔剣なら、人間でも悪魔に対抗することができるようだ。


『俺はそろそろ仲間んとこに戻るぜぇ。

あんたらも魔剣が欲しいなら、王国にいくことだな!、ガハハ!!』


『ちょっと待ってください!!』



エルは大男を呼び止めると、アリス村での出来事を話した。



『ほうほう、そりゃあ災難だったなぁ。

もう悪魔がこっちの大陸に渡っちまったのか、。』


『そのようです。私たちは急いで王都に行き、報告をしなければなりません。

ですがこの村も危険。

だからあなたのパーティーにこの村を守っていて欲しいのです!!』


エルは懇願した。

俺とマリーも大男にお願いした。


『よかろう!!

ここは任せろ。

早速パーティーに伝えて来る。

お前らも達者でな!!』


『ありがとうございます!!

御武運を、。』


『王都に行くなら、俺たちが今日乗る予定だった馬車を使いな!

夕方にはこっちに着くだろう。』



俺たち三人は大男にお礼をした。

これでこの村に関しては少しの安心を持てた。


『まだ夕方まで時間はある、エルの治療に使えそうなものが売ってないか探そう。』


『ありがとうございます。

にしても優とマリーは頑丈ですね!』


『頑丈って、、まあ確かに全然傷が付いてないわね、私たち。』


『まあ怪我がないに越したことはないさ。』



俺たちは道具屋に入った。


『じゃあこのぽーしょん?ってやつでいいんじゃないかしら、、?』


『って、だれか金持ってるか、?』


・・・・・


『買えねぇじゃねーか!!

てかなんでエルは金持ってないんだ!?』


『私、お金持ち歩かない主義でして、。』


『それどんな主義よ、、』


(困ったな、、、盗むか?)


『あんたたち、ポーションが欲しいのかい?』


俺たちが途方に暮れていると、店主さんが話しかけてきた。


『はい、、でも誰もお金持ってなくて、』


『金髪のあんた、だいぶ怪我してるじゃないか。

しょーがないな、今回は特別サービスだ。

タダで持ってっていいぞ。』


『いいんですか、??

ありがとうございます、!』



俺たちは道具屋を出ると、エルは早速ポーションを飲んだ。


『それで本当に治るのかしら?』


『はい!ポーションは回復魔法をもとに作られていて、速効性もあるのです。』


『便利なもんだなぁ。』


感心していると、俺はあることを思いついた。


『そうだ!!

もしかしたら武器屋でも同じように困り顔をしてれば、タダでくれるんじゃないか?』


『サイッテー、、』


マリーは呆れ顔で俺を見ていた。


『えー、、名案だと思ったんだが、。』



マリーはだいぶ気乗りしていなかったが、エルもマリーも渋々俺の演技に付き合ってくれた。



『まさか剣を3本も貰えるなんてね、』


『やってみるものですね、。』


2人は微妙な顔で俺を見た。


『い、いいだろうがゲットできたんだからー!!』


(確かにちょっと良心が痛むな、。)



ぐぅ〜〜〜


・・・


『マリー、腹減ったのか?』


『う、うっさいわね!!そりゃ減るでしょーが!!』


マリーは顔を真っ赤にしながら俺にキレた。


『私もすこしお腹が空きました、。』


『確かに、、言われてみれば。』


・・・



俺たちは民家を訪問して、タダでパンを貰った。


『私たち、、完全に乞食じゃない!!』


『全くその通りだ、。

ま、まあ仕方がないさ!!

そろそろ馬車来てるんじゃないか?

馬車に乗ってから食べ…』


『はむはむ』


『お前も相当腹減ってたんだな、、エル』


『すみません、、






『立派な馬車だなぁ』


そうこうするうちに馬車は到着し、俺たちはすぐに乗った。


『おじさん、、料金って、』


『ん?前払いしてもらってますよ。』


『そうですか!!よかった、。』


俺は安心した。タダ乗りにならなかったからである。


『さぁ、バベル王国へ出発しましょう!!!』


エルの掛け声とともに、馬車は走り出した。

































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俺と幼馴染と異世界転生 HERO @OreOsananajimi

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