最終話 狂犬インディーズ

ステージの端から向けられるスポットライトを浴びて、その暖かさで今にも汗が出そうだった。


暗い客席を見ると、普段からライブハウスでよく見かける顔もいくつか見える。


顔見知りの人達は、私が居ない状態でのアヤカ達のライブを何度か見ているのだろう。

久しぶりの私の登場に、驚いている人もいるようだった。


「みなさんこんにちはー!! 初めましての人は初めまして!!」


私はマイクを通して、舞台の下にいるみんなに挨拶をする。


「今日は新曲を披露しようかと思います! さっそくですが〜、一曲目から行っちゃいましょう!」


根暗な私も、ステージの上に立っている時は少しだけ積極的になれた。



一度だけバンドメンバーを見回して、それぞれと目を合わせた私は、前へ向き直ると含み笑いを浮かべる。


そして、私たちに注目してくれる観客に向けて、声高々にこう叫んだ。


「聴いて下さい。…狂犬インディーズ!!」



狂犬インディーズ・完

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狂犬インディーズ 雨宮羽音 @HaotoAmamiya

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