北魏6  拓跋嗣侵攻3

11月になると、北魏ほくぎ軍は総力をあげ

滑臺かつだい城を攻撃、東北の壁を打ち崩した。

この事態に王景度おうけいどは逃亡。

その副官である陽瓚ようさんが指揮を引き継ぐと、

彼は落城まで挫けることなく戦い抜き、

そして、戦死した。


竇應明とうおうめい石濟せきさいにて北魏軍の輜重隊を攻撃。

五百人余りと、その指揮官であった

連內頭れんないとう張索兒ちょうさくじらを斬った。

竇應明はそのまま滑臺に向かったが、

途中で陥落の報を聞く。

そのため目的地を尹卯いんうに変更。

そこで守りを固めた。


竇霸とうは翟廣てきこうに合流。

ともに滑臺を落した勢いのまま迫りくる

北魏軍に立ち向かう。

はじめこそ翟廣軍が押していたが、

一度引き返し、体制を立て直しては

再び攻めてくる。

これを約二日半に渡って繰り返し、

翟廣らは4キロほど押し込まれた。


しかも北魏軍は、

時を追うごとに兵力を増す。

最終的に翟廣らは矢も力も尽き果て大敗。

翟廣、竇霸、劉談之りゅうだんしらはそれぞれ、

身一つで逃げ出した。




十一月,虜悉力攻滑臺城,城東北崩壞,王景度出奔,景度司馬陽瓚堅守不動,眾潰,抗節不降,為虜所殺。竇應明擊虜輜重於石濟,破之,殺賊五百餘人,斬其戍主□連內頭、張索兒等。應明自石濟赴滑臺,聞城已沒,遂進屯尹卯,竇霸馳就翟廣。虜既剋滑臺,并力向廣等,力不敵,引退,轉鬭而前,二日一夜,裁行十許里。虜步軍續至,廣等矢盡力竭,大敗,廣、霸、談之等各單身迸還。


十一月、虜は力を悉くし滑臺城を攻むらば、城の東北は崩壞し、王景度は出奔し、景度が司馬の陽瓚は堅守し動かざれば、眾は潰え、抗節し降らず、虜に殺さる所と為る。竇應明は虜が輜重を石濟にて擊ち、之を破り、賊五百餘人を殺し、其の戍主の□連內頭、張索兒らを斬る。應明は石濟より滑臺に赴くも、城の已に沒せるを聞き、遂に進みて尹卯に屯ず。竇霸は馳せ翟廣に就く。虜の既に滑臺を剋せるに、力を并せ廣らに向い、力敵わず、引き退し、鬭を轉じて前み、二日一夜にして十許りの里を裁行す。虜の步軍は續いて至り、廣らは矢盡き力竭き、大敗し、廣、霸、談之らは各おの單身にて迸還す。


(宋書95-6_衰亡)




毛徳祖もうとくそを動けないようにして、数でゴリ押しする。北魏軍のやり口がめっちゃクレバーで怖い。この流れだと王景度責めるのも無体ですよねえ。いや責められざるを得ないわけだけどさ。


しかし陽瓚は、もしかしたら前燕に仕えてた陽裕ようゆうの一族だったりするんでしょうか。こういうマージナルなエリアで戦う人たちは、ほんに国と国とのせめぎあいに翻弄されていそうできついですね。

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