北魏5  拓跋嗣侵攻2  

司馬楚之しばそしという亡命勢力があった。

彼らは陳留ちんりゅう郡のあたりに潜伏していた。


北魏ほくぎ軍の南下を聞くと、

彼らは使者を出して結託。

陳留エリアでの撹乱行為を開始。

周辺住民に災いをもたらす。


毛德祖もうとくそ王法政おうほうせいに五百人を預け派兵、

邵陵しょうりょうに駐屯させた。

また劉憐りゅうりんには二百騎を与え雍丘ようきゅうに。

司馬楚之らの防衛に当たらせる。


司馬楚之は白馬はくば県で劉憐を襲撃。

それは失敗に終わったのだが、

タイミング悪く、劉憐のもとに、

中央から物資が届けられた。

劉憐が物資を受け取りに、南に向かう。

その隙を見計らい、酸棗さんそうの民、王玉おうぎょく

守りが薄くなっていると北魏軍に密告。

北魏将の滑稽かつけいが車千台を率いて倉垣そうえんを襲撃。

兵士、官吏は城から逃走し、

城主の嚴㥄げんりょうは捕らえられてしまった。

北魏軍は王玉をかわりの城主として採用、

兵を与え、倉垣を守らせた。




初,亡命司馬楚之等常藏竄陳留郡界,虜既南渡,馳相要結,驅扇疆埸,大為民患。德祖遣長社令王法政率五百人據邵陵,將軍劉憐領二百騎至雍丘以防之。楚之於白馬縣襲憐,為憐所破。會臺送軍資至,憐往迎之,而酸棗民王玉知憐南,馳以告虜,虜將滑稽領千乘襲倉垣,兵吏悉踰城散走,陳留太守嚴㥄為虜所獲,虜即用王玉為陳留太守,給兵守倉垣。


初、亡命の司馬楚之らは常に陳留郡界に藏竄し、虜の既に南渡せるに、馳せ相い要え結び、驅け疆埸を扇じ、大いに民が患いと為る。德祖は長社令の王法政を遣りて五百人を率い邵陵に據せしめ、將軍の劉憐に二百騎を領し雍丘に至り以て之を防がしむ。楚之は白馬縣にて憐を襲うも、憐に破らる所と為る。臺の送る軍資の至れるに會し、憐は往きて之を迎う。酸棗民の王玉は憐の南せるを知り、馳せて以て虜に告ぐらば、虜將の滑稽は千乘を領し倉垣を襲い、兵吏は悉く城を踰え散走し、陳留太守の嚴㥄は虜に獲らる所と為り、虜は即ち王玉を用いて陳留太守と為し、兵を給し倉垣を守らしむ。


(宋書95-5_仇隟)




ようやく司馬楚之の名前が出てきた。晋の皇族で、後に北魏入りしてどでかい戦功を挙げ、押しも押されぬ北魏の上級将軍として活躍するようになるひとです。このまま出て来ないのかなーとも思ってたんですが、良かったよかった。


それにしても、いいお仕事してますね。確実に毛徳祖の注意を削り、身動きを取りづらくしていく。後の動きからしてもかなりの軍才だったであろうことが伺われる人ですが、ここでも「今、自分にできること」にフォーカスし、やれることをやっています。このひとの伝を読むのも、魏書におけるの楽しみのひとつなのですよね。まぁ順番に行くので、結構あとになりますが。


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