杜瑗   激烈ジジイ   

杜瑗とえん。字は道言どうげん交阯こうし朱䳒しゅそく県の人だ。

とは言え、もとは京兆けいちょう郡の人である。

祖父の杜元とげんの代に寧浦ねいほ郡に赴任し、

そのまま現地、交阯こうしに根を下ろした。


交州こうしゅう府に仕え、

日南にちなん九德きゅうとく、交阯郡の太守を歴任。


このころ、九真きゅうしん郡を統べていた

李遜りそん李寧りねい親子は剛の者であり、

かつその武力を背景に実権を握り、

交州でわがまま放題していた。


李遜をねじ伏せるため、

交州刺史の滕遯之とうとんしが出陣を企図する。

先んじてそれを聞きつけた李遜、

二人の子を派遣、水陸の要所を封鎖。


ここで、杜瑗に出番が回ってくる。

手勢を集めて出撃、李遜を撃破、斬る。

また李寧を州境で捕獲した。

この功績から、龍驤將軍となった。


滕遯之は十年あまり

刺史として交州にいた。

その期間は南の国、

林邑りんゆうとの闘いの日々だった。


だが、そんな滕遯之が北に戻ることに。

病気でも患ってしまったのだろうか。

ともあれ、主将なき交州。

林邑にとっては絶好のチャンスである。

王の范胡達はんこたつが出撃、

日南、九德、九真の三郡を攻め落とし、

交阯城を包囲した。


滕遯之は既に遥か彼方。

杜瑗、自力でどうにかするしかない。

三男の杜玄之とげんしと力を合わせ、

緊急の防護柵を敷設。

その上で戦いを挑み、見事勝利した。

さらに九真、日南へ追討。

各地でも勝利を重ねる。

そのため范胡達は林邑に撤退した。


交州防衛の功績から、

杜瑗が新たな交州刺史となった。


それから間もなく、中央では

劉裕りゅうゆうが決起、桓玄かんげんを討ち果たす。

これによって杜瑗も冠軍將軍に。


盧循ろじゅんが海伝いに

廣州こうしゅうに接近してきた時には、

使者が杜瑗のもとに遣わされていた。

よしみを通じたい、というものだ。

が、杜瑗、拒絶。使者を斬り殺した。


410 年、84 歳で死亡。

えっ待って!?

ここにある武功の大半、

慕容垂ぼようすいの晩年よりも上の年齢で!?


ともあれ、右將軍を追贈された。




杜瑗字道言,交阯朱䳒人也。本屬京兆。祖元,為寧浦太守,遂居交阯。仕州府為日南、九德、交阯太守。初,九真太守李遜父子勇壯有權力,威制交土,聞刺史滕遯之當至,分遣二子斷遏水陸津要,瑗收眾斬遜,州境獲寧。除龍驤將軍。遯之在州十餘年,與林邑累相攻伐。遯之將北還,林邑王范胡達攻破日南、九德、九真三郡,遂圍州城。時遯之去已遠,瑗與第三子玄之悉力固守,多設權策,累戰,大破之。追討於九真、日南,連捷,故胡達走還林邑。乃以瑗為龍驤將軍、交州刺史。義旗進號冠軍將軍。盧循竊據廣州,遣使通好,瑗斬之。義熙六年,年八十四,卒,追贈右將軍,本官如故。


杜瑗は字を道言、交阯の朱䳒の人なり。本は京兆に屬す。祖は元,寧浦太守と為り、遂に交阯に居す。州府に仕え日南、九德、交阯太守と為る。初、九真太守の李遜父子は勇壯にして權力を有し、交土を威し制さば、刺史の滕遯之の當に至らんとせるを聞き、二子を分遣し水陸の津要を斷遏せんとせば、瑗は眾を收め遜を斬り、州境にて寧を獲す。龍驤將軍に除せらる。遯之の州に在せること十餘年、林邑を相い攻伐せるを累ぬ。遯之の將に北に還ぜんとせるに、林邑王の范胡達は日南、九德、九真の三郡を攻め破り、遂に州城を圍む。時に遯之の去れること已に遠く、瑗と第三子の玄之は力を悉くし固守し、權策を多く設け、累戰し之を大破す。九真、日南に追討し、連ねて捷さば、故に胡達は走りて林邑に還ず。乃ち瑗を以て龍驤將軍、交州刺史と為す。義旗にて冠軍將軍に進號さる。盧循の廣州を竊據せるに、使を遣りて好みを通ぜしめんとせど、瑗は之を斬る。義熙六年、年八十四にして卒す。右將軍を追贈せられ、本官は故の如し。


(宋書92-4_暁壮)




ジジイつえええええええええwwwwww


しかしおそらくは京兆杜氏、つまり杜預とよの同族ですよねこの人。そして中央と違って、割と土着の人間の世襲で回していそうな雰囲気があります。南端の守り、呉で言えば賀斉がさいみたいな感じの活躍ですね。そういや賀氏全然目立たないわね……。

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