蕭思話2 皦皦清節無かれど

次の人物について語るためにも、

蕭思話しょうしわはその先も少し踏み込んでおこう。


劉義隆りゅうぎりゅうが即位すると、

散騎常侍、尚書左僕射に選出された。

が、固辞。中書令、丹陽たんよう尹とされた。


ただこの頃、建康けんこうでは盗賊が横行し、

わずか二十日の間に十七件が発生。

蕭思話は責任を取っての辞任を申し出たが、

許可はされなかった。


454 年、使持節、

都督徐兗青冀幽五州豫州之梁郡諸軍事、

安北將軍、徐州刺史となる。

一言でいえば、どちゃくそ偉い。

が、任地に赴任する前に臧質ぞうしつが謀反。

その討伐のため、

都督江州豫州之西陽晉熙新蔡三郡諸軍事、

江州刺史に任ぜられた。


この事件が収まったあと、

荊州、江州、豫州の一部をえい州とした。

蕭思話も都督郢湘二州諸軍事、

鎮西將軍、郢州刺史となり、夏口かこうに赴任。


ただし、赴任後まもなくの 455 年に死亡。

50 歳だった。


征西將軍、開府儀同三司を追贈され、

持節、常侍、都督、刺史は元のまま。

穆侯ぼくこうと諡された。


蕭思話は姻戚として早くから信任され、

刺史としての歴任は十二の州、

監や都督を任じたエリアは九に及んだ。

どの地でも清廉な統治を

したわけではなかったが、

と言ってさほど悪逆な真似もしなかった。


人士を愛しもてなしたため、

多くの者が蕭思話を支持したという。




上即位,徵為散騎常侍、尚書左僕射,固辭,不受拜。改為中書令、丹陽尹,常侍如故。時京邑多有劫掠,二旬中十七發,引咎陳遜,不許。明年,出為使持節、都督徐兗青冀幽五州豫州之梁郡諸軍事、安北將軍、徐州刺史,加鼓吹一部。未行而江州刺史臧質反,復以為使持節、都督江州豫州之西陽晉熙新蔡三郡諸軍事、江州刺史。事平,分荊、江、豫三州置郢州,復都督郢湘二州諸軍事、鎮西將軍、郢州刺史,持節、常侍如故,鎮夏口。孝建二年卒,時年五十。追贈征西將軍、開府儀同三司,持節、常侍、都督、刺史如故,諡曰穆侯。思話宗戚令望,蚤見任待,凡歷州十二,杖節監都督九焉。所至雖無皦皦清節,亦無穢黷之累。愛才好士,人多歸之。


上の即位せるに、徵ぜられ散騎常侍、尚書左僕射為るも固辭し、拜を受けず。改め中書令、丹陽尹と為り、常侍は故の如し。時に京邑に劫掠の有りたる多く、二旬中に十七發し、咎を引きて遜かんと陳ぶるも、許さず。明くる年、出でて使持節、都督徐兗青冀幽五州豫州之梁郡諸軍事、安北將軍、徐州刺史と為り、鼓吹一部を加えらる。未だ行かずして江州刺史の臧質の反ぜるに、復た以て使持節、都督江州豫州之西陽晉熙新蔡三郡諸軍事、江州刺史と為る。事の平らぐに、荊、江、豫三州を分け郢州を置き、復た都督郢湘二州諸軍事、鎮西將軍、郢州刺史となり、持節、常侍は故の如くし、夏口に鎮ず。孝建二年に卒す、時に年五十。征西將軍、開府儀同三司を追贈せられ、持節、常侍、都督、刺史は故の如くし、諡して穆侯と曰う。思話は宗戚の令望なるに、蚤きに任待され、凡そ州十二、監都督を杖節せること九を歷したり。至る所にても皦皦清節無かりたると雖ど、亦た穢黷の累無し。才を愛し士を好まば、人の多きは之に歸す。


(宋書78-2_寵礼)




濁してる……全力で濁してるゥ! 当地の手腕には触れず、清廉でも悪逆でもなかったとのみ語るとか、なんかさぁ……なんかさぁ! まーただ、こういう「こなしてくれる」人がいたのは劉義隆にしても助かったのかもしれないですね。


さて、次話は南斉なんせい書からのピックアップです。つまり南斉高帝、蕭道成しょうどうせいの父。ほんとは宋書一通り触れてからにしようと思ってたんですが、この作品の本筋じゃないし、ここに接続しておいたほうがわかりやすいと思ったのでおいときます。

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